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財布をくわえた裸の犬

2016年06月10日松井 宏之弁護士

私の事務所のすぐ近く,商工中金ビルの角に小さな彫刻があります。「財布をくわえた犬(どうしようかな?)」という故藤原吉志子氏の作品です。

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「財布をくわえた犬(どうしようかな?)」

胴長短足大きな顔をしたコーギーが,落ちていた財布を拾ったのか,それとも飼い主におねだりして咥えさせててもらったのか。がま口を咥えたまま途方に暮れたように固まっています。犬を飼っている人なら「あるある」と言ってしまう情景ですね。 屋外彫刻は風景と調和しつつ,彫刻が好きな人にも,彫刻に興味のない人にも受け入れてもらえる配慮が必要な芸術です。

ところが,美術館に置くような作品を街なかに置いてしまっているのが,現状では少なくない気がします。その最たるものは裸婦像でしょう。日本にはそれを街なかに飾ってきた伝統はありません。ですから,伊勢佐木町モールの入口近くの女性像は,上半身裸の不自然なポーズが可哀想に見えますし,シルクセンター前の「絹と女」や馬車道のアイスクリームの像は,美術館にあれば別なのでしょうが,街なかでは却って風呂場の風景に見えてしまうのは不思議です。それはある意味,作品に対しても失礼です。

誰もそんなことは気にしていないというのであれば,それこそ彫刻を置いた意味もなにもなくなってしまいます。屋外彫刻は街のシンボル的な意味もあります。芸術を気取る必要はないのです。シルクセンターには大きな「蚕」,馬車道には器に載ったアイスクリームでもいいではないでしょうか。芸術性が高いかどうかは知りませんが,考えただけでも楽しくなってきませんか。

写真1
写真2
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風景に調和しているかちょっと心配な事務所の看板

実は最高裁判所の前にも千鳥ヶ淵公園にも裸婦像が立っています。話題にもなりませんが,裸婦像さえあれば,芸術的で文化的な都市の仲間入りをしていると思い込んでいると勘繰りたくもなってきます。
いや,もしかすると,こんなことを考えているのは私一人で,日本人は心から裸婦像が好きなのかもしれません。確かに「財布をくわえた犬」も裸ですものね。

 

執筆者情報

弁護士名 松井 宏之
事務所名 松井法律事務所
事務所住所 横浜市中区海岸通3丁目13番地1
Webサイト http://matsuilaw.net/
 
 
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