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しあわせ眼鏡

2016年12月02日今井 菜美弁護士

ネット上で公開したブログやSNSへの投稿、皆さんどうされていますか。最近の私は、ブログやSNSからすっかり疎遠になっています。先日、恥ずかしいから昔の投稿は消し去ろう、全く利用していないSNSからは退会しようと思い立ちました。某SNSから退会することによって、SNS上のデータが消去されてしまう前に、一度過去の自分を振り返っておこう...と思いまして、昔投稿した記事を読み返しました。

私が投稿した記事(日記のようなものです)の中で、当時のバイト先の予備校の教材に掲載されていた随筆文の引用を見つけました。その随筆文は、河合隼雄氏の「音のない音」というエッセイからの抜粋でした。当時の私はその言葉に感銘を受け、そして先日再び感銘を受けたので、ここに紹介します。

「フルートは高い音の出せる楽器である。しかし、高い音をきれいに吹くのは実に難しい。(中略)音が高く上がっていくときには、体の感じは逆にむしろおなかの下の方へ下がっていって、それを支えるようにならないと駄目なのである。(中略)音にならない低い音が高い音を支えているような感じになるのだ。(中略)
人間の幸福というのもこのようなものだろう。幸福の絶頂にあるようなときでも、それに対して深い悲しみ、という支えがなかったら、それは浅薄なものになってしまう。幸福だけ、ということはない。もちろんフルートの音しか一般の人には聞こえないのだが、それが良い音色であるためには、音のない音がそれを支えているように、幸福というのも、たとえ他人にはそれだけしか見えないにしても、それが厚みをもつためには、悲しみによって支えられていなくてはならない。」
――― 河合隼雄著(1998年)「しあわせ眼鏡」海鳴社

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SNSへの過去の恥ずかしい珍投稿の数々を読んで自分自身で大笑い(あるいは苦笑)しながらも、私は、素敵なエッセイと再会する機会に恵まれ、「しあわせ」に感じたのでした。

 

執筆者情報

弁護士名 今井 菜美

 

 
 
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