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会長声明・決議・意見書(2016年度)

死刑執行に抗議する会長声明

2016年12月09日更新

 本年11月11日,福岡拘置所において,死刑確定者1名に対する死刑が執行された。
 死刑制度は,国家が個人のかけがえのない生命を奪う制度であり,罪を犯した人の更生と社会復帰の可能性を完全に奪い,社会から永久に排除する刑罰であって,誤判によるえん罪の場合には,取り返しのつかない結果を招く危険を内包する制度である。

 かかる死刑制度の問題点に鑑み,国連総会は,2014年12月18日,全ての死刑存置国に対し,「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議を過去最多の117ヶ国の賛成で採決した。このように,死刑制度の廃止はいまや国際的な潮流である。

 さらに,わが国は,これまで,国際人権(自由権)規約委員会や国連拷問禁止委員会等の国際機関から,死刑制度に関する情報の公開が不十分であること,死刑判決の全員一致制や死刑判決に対する自動上訴制等の慎重な司法手続きが保障されていないこと,死刑に直面している人に十分な弁護権,防御権が保障されていないことなどについて,幾度となく改善を勧告されてきたが,今日まで,それらの勧告に対する見るべき改善はなされていない。

 日本弁護士連合会は,本年10月7日,第59回人権擁護大会において,「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択しているが,同宣言を契機として,いままさに,死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革に関する議論を始めることが必要である。

 これまで,当会においても,死刑制度についての国民的な議論が尽くされないまま死刑が執行されることについて,再三の抗議声明を発出してきたところであるが,当会は,改めて,今回の死刑執行に抗議し,死刑の執行を直ちに停止して,死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革に関する国民的議論を開始するよう求める。

2016年(平成28年)12月8日
神奈川県弁護士会
会長 三浦 修

 
 
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