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ぼくらが旅に出る理由。

2022年11月18日清水 基弘弁護士

 「旅」に出たことはあるだろうか?「旅行」ではなくて。

 もうすっかり昔になってしまったが、ぼくが初めて「旅」に出たのは、今から約20年前。20代半ばころであった。どこへ行ったかと言えば、東南アジアだ。

 シンガポールから入ってマレー半島を北上し、マレーシア、そしてタイまで行った。途中ペナン島やサムイ島などあちこち寄り道しながら陸路でバンコクまで行き、そこからバンコクのカオサンを拠点にタイ国内を放浪して帰国した。

 いわゆるバックパッカーと呼ばれるスタイルで、大したお金も持たずに、バックパック背負って、自由気ままに行き当たりばったり。現地の生活に溶け込み、屋台飯を食べ、安宿に泊まる。そんな一カ月のひとり「旅」であった。

 なぜそんな「旅」に出たのか。

 テレビで観た『深夜特急』(原作:沢木耕太郎)の影響もあっただろうし、理由は様々あったが、自分の居場所がなく、日本を飛び出して現実逃避しなければ、このままでは生きていられないと思ったのが大きかった。そんな大げさなと思うかも知れないが、当時はそんな気持ちに突き動かされ、何かに追われるように出国した。

 知り合いがいるわけでもない。特に英語が話せるわけでもない。無職に近いただの日本人の若者。それでも東南アジアの人たちはあたたかく迎え入れてくれた。そのことがまず心から嬉しかったことを思い出す。

 この一カ月の「旅」で得た経験、出会い、成長。とてもではないが、この限られた紙面では語り尽くせない。それほど大きなものであった。興味本位でもいい、自分探しでもいい、現実逃避でもいい、理由なんてなくてもいい。日本を飛び出して「旅」に出てみたらいい。得られるものは計り知れない。

 旧司法試験で負った深い深い傷を東南アジアの風で癒してもらったぼくは、バンコクからの帰りの機内、「旅」の終わりを名残惜しむと同時に、次はインドに行くぞと心に誓ったのであった。

写真1

サムイ島のバンガロー

写真2

バックパッカーの聖地カオサン

 

執筆者情報

弁護士名 清水 基弘
事務所名 清水・安達法律事務所
事務所住所 横浜市中区日本大通60番地 朝日生命ビル5階
TEL 045-662-6662
FAX 045-651-2229

 

こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です

 
 
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