横浜弁護士会新聞

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2000年10月号(1)

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会名をめぐり熱い論戦 会員集会9/6
―2面に会長インタビュー掲載―
 九月六日、当会の会名を「横浜弁護士会」から「神奈川(県)弁護士会」に改名することの是非をめぐり会員集会が開催された。会員の関心の極めて高い問題とあって、会場から溢れんばかりの会員が出席し、賛成派・反対派双方から活発な議論がなされた。
 はじめに永井会長から、会名は市民、県民のものであり、会名は神奈川県全域を示すものでなければならないとして会名変更へ取り組む決意表明がなされ、これに続いて会名変更賛成派・反対派各二名づつのパネラーによるパネルディスカッションが行われた。
 改名賛成派の石黒康仁会員は、「横浜弁護士会」の名称で不都合を感じている人々の意見に耳を傾けるべきである、弁護士会の活動が外へうって出ようとしている現在、弁護士会の姿が正しく県民に伝わるようにすべきであり会名変更は時代の要請であると主張した。
 これに対し改名反対派の山田尚典会員は、会名変更をめぐる会員集会は今回で三回目であり過去に十分議論され尽くした問題である、弁護士の顧客は市民・県民に限らない国民であるから特段「神奈川県」としなければならない理由に乏しい、会名は県民のものではなく弁護士会のものであり一二〇年の伝統をもつ「横浜弁護士会」の名称を大切にすべきであると反論した。
 また、改名賛成派の遠矢登会員は、副会長時代に横浜市以外の自治体では横浜弁護士会が神奈川県全体の弁護士の加入団体だとわざわざ説明しなければならなかった実情を訴え、神奈川県内に事務所をもつ全弁護士が加入する団体なのに「横浜弁護士会」というのは違和感がある、横浜弁護士会以外は名古屋、金沢、仙台の三弁護士会を除き県名と一致している、「横浜弁護士会」では市民に横浜市の弁護士の団体であるとの誤解を招きやすいと主張した。
 これに対し改名反対派の三浦修会員は、この問題はすでに五年前に変更しないということで決着がついている、司法改革と会名変更問題とは関係がない、現在、ロースクール問題、法曹人口問題等司法改革が大問題となっているときに会名変更などやっている場合ではない、県民の誤解については、説明をすればよいことである、弁護士会は財政難であり今会名変更をする財政的なゆとりはないはずであると反論した。
 その後会場の会員から賛成、反対の両意見が相次ぎ、活発な議論が行われた。
 会名変更問題は二〇年前から当弁護士会に燻り続ける古くて新しい問題である。今回その議論が再燃した形であるが、名称は弁護士会のアイデンティティにかかわる重要な問題である。
 改名賛成派・反対派の今後の自由で活発な議論を期待したい。


 去る三月二四日の日弁連総会で広告に関する規定が改正され、一〇月一日から施行されることになった。改正された規定では、従来とは異なり、会則上広告は原則自由とされ、例外的に禁止される場合について、「弁護士の業務広告に関する規程」と「業務広告に関する運用指針」で詳細に定められている。
 このように、日弁連が広告の原則自由化に踏み切った理由は、市民に身近で利用しやすい司法の改革を提唱し、自らも進んでその改革を実現しようとしたことにある。
 要するに、この改正は、弁護士へのアクセスを容易にするため、弁護士に関する情報をできるだけ広く国民一般に提供しようとするパブリシティに重点がある。したがって、できるだけ規制しないことが望ましいということから、従来のように広告媒体についての個別具体的な制約はない。
 例外的に禁止される場合として、上記規程では、事実に合致しない/誘導・誤導のおそれ/誇大・過度な期待を抱かせる/特定弁護士との比較/法令・会則等違反/品位・信用を損なうおそれの六つの事項と直接的な勧誘広告を掲げている。
 また、広告をした弁護士の表示など広告をする場合の方法や違反行為に対する措置なども規定しているので、広告をする場合はこうした制約を十分に理解したうえで行う必要がある。その詳細は日弁連が編集した「弁護士広告―業務広告規定の解説」(商事法務研究会、一五〇〇円)を参照されたい。
 なお、広告をした場合は、当然のことながら広告の内容に見合った業務の提供がなされなければならない。そのためには広告の内容に見合う能力の研鑽や体制の工夫が今以上に必要となる。また、「先生」から「相談しやすい専門家」といったイメージの変化も起こるかもしれないなど、この広告の自由化が弁護士業務に与える影響は決して小さくない。
(会員  高橋理一郎) 


 弁護士費用等を保険でカバーする、いわゆる「権利保護保険」が各保険会社から売り出されたのに伴い、当会でも、保険の利用を前提に弁護士紹介業務を行うこととなった。これは日弁連の要請によるもので、各単位会は、「リーガル・アクセス・センター」という統一名称の紹介機関を設け、保険の利用者に対応することとなる。
 権利保護保険では、法律相談料・弁護士に支払う着手金・報酬金・日当などの他に、裁判所に納める印紙代等についても保険金が下りる。そのため、これまで印紙代や弁護士費用の負担を理由に依頼をあきらめていた人たちも、今後は事件の依頼ができることになり、この保険が普及すれば、弁護士業務に対する需要が飛躍的に伸びることが予想される。
 保険を利用する場合、弁護士は「報酬に関する説明書・契約書・報告書」など、保険会社に提出する種々の書類を作成する手間が生ずるが、弁護士に対する潜在的な需要の掘り起こしや、報酬等の確実な支払いを期待できることから、この制度を歓迎する声も多い。法律相談センターでは、今後制度の内容について周知徹底を図り、リーガル・アクセス・センターに登録する会員を増やしていく方針である。
(会員  松延 成雄) 


 関東十県会夏期研修会が八月二六日、沼津東急ホテルにおいて開催された(写真)。今回のテーマは、「名誉毀損・プライバシー侵害をめぐる法律と実務」。当日は、名誉毀損における相当性の抗弁、インターネットによる名誉等の侵害、犯罪報道による名誉等の侵害について、種々の事例分析を中心に発表がなされた。
 情報化社会を迎え、名誉やプライバシーとの衝突が増すことが予測される中、今後の我々の実務に大いに参考となる研修会であった。

山ゆり
 この夏十数年ぶりに美瑛の丘に立った。大きくうねる大地が作物に彩られ、遠くに十勝岳を臨む雄大な風景は何も変わっていない。しかし、美瑛は十数年の間に明らかに変わっていた。
当時、美瑛には観光施設などほとんどなく、開館したばかりの前田真三の写真ギャラリー「拓真館」が建つばかりであった。美瑛の丘は農地であり、通るのは砂利道の農道ばかりであった。バックパックを背負い、丸一日かけて丘を歩き回ったが半分も見ることが出来ず、その雄大さを体感した。
今、美瑛の丘はパッチワークの丘と称され、砂利道は舗装され、観光バスが縦横無尽に走り回る。展望台も設置され、名所には駐車場が作られている。そう、美瑛は観光地と変貌していた。
道路が整備され、観光施設が建てられることは決して悪いことではないであろう。農業のほかにこれといった産業のない美瑛を全国的に有名ならしめたのはその雄大で美しい風景であり、訪れる観光客の利便を図ろうとするのも無理からぬところである。しかし、道路が舗装され、展望台や駐車場が設置されればされるほど、そこに違和感が漂い始める。雄大な自然と農業の営みが織り成す偶然の造形美、それが美瑛の美しさであろう。その美しさと観光のための施設がどうしても調和しないのである。これらの施設が美瑛の丘に出来たしみや傷跡に見えてしまうのである。
今回、私は美瑛の丘を車で回った。整備された道路のおかげで半日で回ることが出来た。もう徒歩でこの地を回ることは出来ないであろう。自らこの自然と農地を汚すしみになったような気分であった。
(左部 明宏) 

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