横浜弁護士会新聞

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2000年12月号(1)

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会長  
 一一月一日、弁護士会館クレオにおいて、「法曹人口、法曹養成制度並びに審議会への要望に関する決議案」についての日弁連臨時総会が開催された。その模様については新聞等において報道されたとおり、執行部案が約七〇〇〇名の賛成の下に承認された。
 横浜弁護士会の一票は、常議員会の議決に従い、反対票に投じた。
 当会は従前から、法科大学院(ロースクール)の設立に反対し、また、法曹人口の飛躍的増大についても、質の確保の観点から反対しており、会として日弁連執行部提案の決議(案)に対して反対することは、その流れに従ったものである。
 しかしながら、決議(案)が約七〇〇〇名の賛成の下に承認された現在、横浜弁護士会として、今後司法制度改革に対してどのように対処していくかを決めなければならない。
 司法制度改革審議会は、司法試験合格者について年間三〇〇〇人程度と述べており、法曹養成制度として法科大学院(ロースクール)の設立をほぼ決めている。この結論は、日弁連の決議の有無にかかわらず、変わらないと思われていたところであるが、日弁連が決議をしたことにより、その動きが加速されることは間違いない。法科大学院(ロースクール)は文部省等の構想によれば、二〇〇三年四月の開校が予定されており、司法試験合格者も一〇年以内に飛躍的に増加することは間違いない。横浜弁護士会としても、それに対する組織づくり、対策づくりを早急に行なわなければならない。
1,まず、法科大学院(ロースクール)についてであるが、現在当会と横浜国大との間で協議が進められている。
 まず、横浜国大に関して、横浜国大には法学部がないので、法科大学院(ロースクール)は無理だとの意見もあることは承知している。
 しかしながら、法科大学院(ロースクール)は法学部とは切り離して設立されるものである(因みに、アメリカには法学部はない)。
 横浜国大には、法学研究課という大学院が現在すでに設けられている。
 法科大学院(ロースクール)は、弁護士会が主体的・積極的に関与すべきであるところ、神奈川県ではその実現の可能性が十分にあると考えられる(因みに、東京の各大学の構想は大学中心の法科大学院である)。
 横浜国大には法学部がないので、むしろ他学部出身の大学院生を集めることが可能であり、かえって多様性を追求できる。
 以上の諸点から、横浜国大並びにそのほかの大学との協議は早急に進めなければならない。殊に、法科大学院(ロースクール)は全国各地に適正に配置されなければならず、その意味からも、神奈川県下に法科大学院(ロースクール)は必要であると思う。
 広島弁護士会・福岡県弁護士会等は既に地域の国立大学と協議を進めている。
 横浜弁護士会としては、実務家教員の派遣を含めて、今後も横浜国大との協議を進める必要があるだろう。横浜国大は来年一月一四日にシンポジウムを企画しており、当会としても何らかの関与をする予定でいる。
2,法科大学院(ロースクール)卒業生は、早ければ二〇〇五年三月に新司法試験を受験することになる。直ちに年間三〇〇〇人が合格することはないと思うが、法曹人口特に弁護士が急増することは間違いない。
 法曹人口が増大したときの弁護士会ということも当然今から考えていかなければならない。
 私は今後の弁護士会は一つの事業体、求心力のある・一体となった弁護士会になるべきだと考えている。今ここで詳説することはできないが、考えてみていただきたい。
 今弁護士会は大きく変わらなければならない。


 今年の県民集会が来たる一二月一二日、関内ホールにて開催される。
 昨年の県民集会では、裁判所の現状についてとりあげたが、今年は私たち自身、弁護士の今後をテーマにした。まず、私たちが県民からどのように見られ、何を期待されているかを率直に聞くべく意見募集をした。応募者の中から八名の出席を得てプレシンポジウムを開催し、多くの興味深い指摘を受けた。相変わらず弁護士は大変敷居が高く、法律相談でも不愉快な思いをすることが多いという話、弁護士の公益活動を評価し、被害者の支援などもっと様々な分野で活躍して欲しいという意見、弁護士はまず自らもっと健康で楽しい生活をして欲しいという励ましなどである。
 集会当日には、県民の方からの発言を受けて、作家の佐木隆三氏、神奈川新聞報道部長の大胡文夫氏、早稲田大学教授で弁護士経験も長い須網隆夫氏、さらに日弁連副会長の山田幸彦氏、当会の高橋理一郎会員ら多彩なパネリストが応答し持論を展開する。司法制度改革審議会の中間報告が出されて間もない中での議論であり、私たち自身の今後のあり方について大きな示唆を受けることになろう。
 また、ディスカッションに先立ち、弁護士の仕事と生活の実情を知ってもらうために、ビデオ「弁護士ドンちゃんの長ーい一日」を上映する。ストーリービデオという新しい試みだが、多くの若手会員の尽力により画期的な作品ができつつある。出演者は、大部分が弁護士で、法律事務所職員、司法修習生の協力も得た。素人ばかりにもかかわらず、弁護士役でもない人も含めて、皆驚くほど「役にはまって」いる。家族に見せれば私たちの日頃の苦労の一端を理解してもらえるかも知れない。
 いろいろな意味で今年の集会は見逃せない。会員の皆さんがご家族、職員の方々と共に参加されることを期待している。
(県民集会実行委員会 副委員長 森田 明) 


 一〇月二七日午後五時二〇分より、当会館五階大会議室において、若手会員と理事者との懇談会が開催された。
 当日は、四四期から五二期までの若手会員二一名と永井会長を含む四名の理事者とが出席し、一一月一日開催の日弁連臨時総会議案と当会の会名変更問題について意見交換が行われた。意見交換はフリーディスカッション形式により、午後八時三〇分まで行われた。
 臨時総会議案に関しては、当会の方針が決定された後であったにもかかわらず、出席者各自が賛否を明らかにしたうえで活発な議論がなされた。法曹人口増員に否定的な意見もあったが、増員を許容したうえで、ロースクール制の導入ないしはその内容の是非と、否決した場合の社会的影響に関する意見が中心であった。
 会名変更問題に関しては、当日出席した若手会員らは、会名変更検討委員会による答申後に登録した会員が対象であったため、はじめに滝本副会長から従前の経過説明があり、その後に意見交換が行われた。
 変更の必要性を根拠とする賛成意見と手続上の問題を根拠にする反対意見とに大別されていたが、「神奈川県弁護士会には反対だが、神奈川弁護士会には賛成」との意見もあった。
 三時間あまりにもわたる意見交換は予定時間内では収まらず、懇談会終了後も場所を変え、夜が更けるまで続いた。
 今回の懇談会は、若手弁護士にも大きな影響を与える問題が山積みする中、日頃理事者と話をする機会が多いとはいえない若手会員の意見を会運営に反映させようとの意図から、理事者の協力を得て、若手会員有志により企画されたものである。当会に登録した会員のうち、四四期以降の会員が既に二〇〇名にも及ぶことからして、来期以降の継続的な開催が希望される。
(四九期  狩倉 博之) 

山ゆり
 魚の美味い季節となった。先日、とある店で、カワハギの白身に生の肝をからめた刺身を食べたが、なかなかのものだった。肝といえばアンコウだがゼラチン質の皮もうまい。皮といえばフグを思い出す
子供のころ、フグ皮を入れた味噌汁をこの季節よく食べた。身は高くて買えなかったのだろう。フグの白身はくせがなく淡泊だが、似て非なるのがオコゼである。オコゼはてんぷらがポピュラーだが、うす造りの刺身も美味である。ひょっとしたら、フグよりうまいかもしれない。うす造りといえば、ヒラメの刺身もいい
しかし、これらの魚は、どれも醜い。口だけが異様に突き出たカワハギ、存在自体がグロテスクなアンコウ、河の豚と呼ばれるフグ、鬼のような醜貌のオコゼ、つぶれた形のヒラメ、最初に、食べた人は偉い。よくもこれらの魚の味を引き出す料理方法を考えたものだ
最近、仕事で行詰まると、この紛争は、あっさりポン酢で解決するのがよいか、野菜と一緒にチリにしたのがよいか、はたまた味噌でじっくり煮込むのがよいか、などと考える
仕事をしていてうれしいのは、外見はフグやオコゼでも、味のある解決ができたときである。えらそうなことを言っているが、かくいう私は、煮ても焼いても食えない、ナシ抜きのヒトデというところである。
(栗田 誠之) 

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