横浜弁護士会新聞

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2001年1月号(1)

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横浜弁護士会会長   
 あけましておめでとうございます。
 いよいよ二一世紀を迎えました。
 昨年の暮れには、テレビで二〇世紀を回顧する番組が数多く放送されていました。これを見ていると、二〇世紀の前半は日露戦争・第一次大戦・第二次大戦等といった戦争の時代であり、後半はIT革命をはじめとする科学技術の驚異的な発達の時代と言えると思います。今を生きる私たちからみて、たった一〇〇年前に日本はロシア(帝国ロシア)と戦っていた、それも飛行機もなく、殆んどを歩兵が戦っていたということは、とうてい信じることができません。
 二一世紀、つまり今後の一〇〇年がどのようになっていくのかは、私にはとうてい予測できません。唯、どのような時代であれ、人間が人間として、自由に生きていける世界でなければいけないと思います。
 そのことのために、弁護士・弁護士会がどのように関わっていけるのかを私たちは考えなければなりません。
 いま日本の司法制度は大きく変わろうとしています。政府は内閣のなかに司法制度改革審議会を設置し、同審議会は昨年一一月に中間報告をだしました。最終答申は今年の六月に出される予定です。審議会の動向を私たちは注意深く検証していかなければなりませんし、また時期に応じ意見表明をしていかなければなりません。
 いずれにしましても、いま検討している司法制度は五〇年・一〇〇年という長時間の利用にたえるものでなければなりませんし、真に市民のための制度でなければなりません。今までのような小さな司法を大きな司法に変え、法の支配の理念が社会の隅々にまでゆき届き、市民的自由が保障されるものでなければなりません。
 そのためには、私たち弁護士にも自己改革が必要ではないでしょうか。近い将来司法試験合格者は年間三〇〇〇名になり、法曹人口は飛躍的に増大するでしょうし、そのための法曹養成制度としてロースクール(法科大学院)も設立されることでしょう。
 ロースクール(法科大学院)構想に関しては、ご承知のとおり、横浜弁護士会は反対の立場をとりました。その大きな理由は、議論が未成熟であり、内容の吟味が不充分だったからです。しかし、日弁連執行部が提案した決議案は昨年の臨時総会で承認されました。
 ロースクール(法科大学院)が設立されるとするならば、神奈川県内にも是非とも設立しなければなりません。仮りに、神奈川県内にロースクール(法科大学院)が設立されなかった場合、長期的に見れば、横浜弁護士会の実務レベルが低下する可能性を否定できないと思います。
 このような考え方から、いま弁護士会として、横浜国大との協議を進めています。
 協議を進めるに従って、初めてロースクール(法科大学院)を設立することの困難性を感じています。
 その意味から、横浜弁護士会が設立に反対してきたことの重さをいま痛感しています。
 しかしながら、ロースクール(法科大学院)は二〇〇三年四月には設立されると言われています。速やかに検討し、弁護士会が「主体的・積極的」に関与し、よりよいロースクール(法科大学院)を設立するための努力を続けなければなりません。
 また、法曹人口の増大に関しても、消極的に評価するだけでなく、大きな司法を実現するためには必要なことであると理解すると共に、人権擁護活動をする仲間が増えるという積極的な評価をし、二一世紀の弁護士像を構築していかなければならないのではないでしょうか。
 法曹一元を常に視野に入れ、裁判官の給源としての役割を担っていこうと思います。
 二一世紀の司法制度を創るために不断の努力を続けていこうではありませんか。

山ゆり
 鼻歌は幼児向け番組で流れていた歌。終わりのない「いない、いない、ばあ」。食後はテーブルから床まで拭き掃除。やっと眠ってくれたと起案を始めれば夜泣きも始まり、突然の発熱に右往左往。次は自分が熱を出す…この苦労を大人になっても覚えていてほしい、というのは無理な話。お父さん、お母さん、どうもありがとう。おかげさまで私もここまで大きくなりました
振り返れば、出産前の一〇ヶ月は、自分のためだけの時間を持つことができる最後のパラダイスだった。しかし、この一〇ヶ月間を無事に過ごすのは、実は大変なことだ。出産前日まで仕事をしたという話も耳にするが、体調が急変することもある。産後、同室だったお母さん達も、何かしらのトラブルに遭遇していた。重い記録や打ち合わせ時のたばこなどは辛いものだ。仕事の合間に横になって休むことはまず不可能だろう。ついでに言えば、休業中の会費の負担も重かった
女性の弁護士が増えることは確実だ。仕事の仕方は人それぞれだが、妊娠・出産時の対応について、本人は当然のことながら、会としても考えなければならない時期が遠からず来るのではないだろうか。仕事上の不都合を避けるために出産自体を避けてはもったいない。子供とはもちろん、多くの人々との素敵な出会いが待っているのだから
覚悟の上とはいえ、育児をしながら仕事を続けるのは大変だ。が、渦中にいると言葉にするのは難しい。今できることは、「風邪をひかないで」とひたすら祈ることと、支えて下さっている方々に感謝することだけである。 
(市川 統子) 


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