横浜弁護士会新聞

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2001年2月号(2)

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横浜弁護士会労働組合−執行委員3人の共同体制で出発
 昨年五月二五日、当会事務局の本部正職員から成る横浜弁護士会労働組合が結成された。そこで、組合結成の経緯とこれまでの組合の活動内容、今後の課題について、話をきいた。
労働組合結成に至る経緯
 私自身は当会に就職して九年目になります。一〇数年前に組合結成の動きがあったと聞いたことがありますが、現実の結成には至らなかったようです。今回私たちが組合を結成した理由の一つは、給与問題での不具合があります。特に、平成一一年六月に改正された職員就業・給与規則の改正に伴う生涯賃金の大幅な削減です。労働基準法三六条協定が平成一〇年度以降締結されていないこともあります。また、過去の時間外手当の算出方法に間違いがあったり、平成一一年度、一二年度分のベースアップの問題もあります。こうしたことを一人で処理することはできないので、労使間の対等な関係を築こうとみんなで相談し、正式に労働組合を結成することになりました。結成にあたってはいろいろな機関に相談に行きました。
組合の構成・機関
 組合員一七名で、執行委員は私を含め三名で、組合を代表する執行委員長はいません。三名の執行委員の共同代表体制が妥当だと考え、今のところはあえて執行委員長を置いていません。
これまでの活動内容
 まず、理事者との団体交渉です。昨年七月一九日に第一回を、その後は月一回のペースでこれまで五回の団体交渉を行いました。そして組合員に執行部の組合活動等を知らせるため、「横弁組合新聞」を七月二八日に創刊し、これまでに第八号まで発行しています。そこには団体交渉の報告やその他必要な情報を掲載しています。
 また、三つの部会を作り、規則等、給与・福利厚生、他会の情報などについて検討をしています。
これからの課題
 これまでの団体交渉で感じたことは、理事者が毎年代わるので職員関係の引き継ぎが十分に行われてこなかったのではないかということです。そして今後心配なことは、交渉の継続性が維持されるのかという点です。ですから、交渉の継続性を維持するために、例えば当会の総務委員会に職員問題関係の部会を作ったりするなど、単年度ではなく事務局について検討する部門を考えて欲しいと思います。
 今年は就業・給与規則の改正、特に職能給の問題について他会の規則等を参考に交渉していきたいと考えていますが、何よりも多くの会員の先生方に私たちの労働組合のことを良く知って欲しいと思います。


 昨年一二月八日、当会館三階において、心身に障害を持つ人たちやその家族らの法律相談に無料で応じる「障害者の人権一一〇番」が実施された。九日の障害者の日にちなんだ催しである。電話三台とファックス一台を設置。常時四〜五名の弁護士が、神奈川県と横浜市の福祉課職員の協力を得ながら相談に応じた。
 新聞やテレビの報道もあり、相談件数はファックスによる相談も含めて三七件にも上った。相談内容は障害者の生活保障など人権に関わる問題のほか、一般的な民事上の問題もあった。また、就労を含む労働相談も昨年より多くあったことも特徴である。法律上の問題とは関係のない治療方法などを問うケースもあったが担当弁護士が丁寧に対応した。
 このような活動に参加するにつけ、社会にはまだ多くの偏見が存在することを痛感させられる。障害者がいわれなき誤解を受けることのないよう、いま私達に何が出来るか問われているように思う。
(会員 菊地 哲也) 


 昨年一〇月二日から少年事件の勾留質問等の際に家裁で当番弁護士制度が口頭告知されるようになった。少年事件への当番弁護士派遣要請が倍増し月四〇件を超え、当番弁護士は一日一件以上の確率で少年事件に当たる。
 当番弁護士は受任義務があり、今後少年事件を避けては通れない。そこで、一二月五日、当番弁護士登録者向けの少年事件実務研修会が刑弁センター運営委員会・少年問題委員会共催で開かれた。
 講師の水地啓子会員は、少年事件手続も大筋は刑事事件と同じであり、気持ちの持ち方を少し変え少年を取り巻く環境を考慮し、家裁の手続を理解すれば特別な点はない、人生の後輩たる少年を畏れず常識的な観点で接すればよいと述べた。同じく講師の金子泰輔会員(=写真)は自身の附添人活動の経験を語り、少年事件は少年の今後にウェートがおかれるので何が最善の方針か意見を持つことが大切と述べた。
 少年事件は忙しい、分からない、経験がないなどと受任を躊躇する意見も目立つ。しかし附添人の需要は確実に増加する。少年事件を躊躇しない姿勢が今後不可欠である。
 なお「改正」少年法は四月一日施行されるが、これに合わせ研修会も準備中である。
(少年問題委員会委員  阿部 雅彦) 


新規登録弁護士研修
貴重な講義/倒産事件の処理
 作年一二月七日夕刻、横浜弁護士会館において、横浜地裁の近田正晴裁判官による「申立代理人としての倒産事件の処理について」と題する新規登録弁護士研修が行われた。
 近田裁判官は、横浜地裁で破産事件を担当しており、その講義は、破産実務の初歩的な知識から、消費者破産の現状、裁判所の現場の運用、代理人に対する要望、再建型倒産事件の難しさまで、多岐にわたった。
 私は、登録して間もない新人で知識が少ないこともあるが、実際に自己破産事件を受任している日々の業務に直結していたために、この研修は非常に勉強になった。実際に自分が扱っている種類の事件の研修は、その必要性ゆえに特に頭に入り易いと実感した。また、現場の裁判官、それも横浜地裁の裁判官に、その担当している実務についての話を聞けたのも貴重であった。
 今後も裁判官の協力をえて、このような研修が行われることを切に望みたい。
(会員  両角 幸治) 
児童虐待問題研究会
児童虐待の実態について
 昨年一二月一日、少年問題委員会の「児童虐待の実態について」に参加しました。
 講師は、科学警察研究所の内山絢子氏でした。同氏は、科学警察研究所で少年非行の原因研究をしてきましたが、女子非行の端緒が親からの性的虐待にあることや埼玉県でおこった幼女連続誘拐事件をとおして、次第に家庭の親子関係の問題や児童虐待について関心を持つようになったとのことでした。
 講演内容は、同氏が行なった二つの統計調査の結果と性的虐待について警察で実際に扱った事例について全国をまわって見聞きしたことに基づく実態分析で、とても貴重で有意義なものでした。
 児童虐待問題研究会は、弁護士会の研修としてはめずらしく、弁護士以外の出席者が多い研修会で、この日も、児童相談所や病院、保健所、福祉事務所等の児童虐待に関わる様々な機関から出席者が来ていました。
(会員  高橋 温) 


 昨年一二月一五日、弁護士会館五階大会議室において、神奈川県弁護士協同組合主催によるバザーが催された。
 年末恒例になったバザーは、会員から提供された品物を協同組合員等が売り子となって販売するもので、その売上は備品購入等に使用される。
 当日は、開始時間前に約六〇名ほどの行列ができ、混乱を避けるために入場制限を行うほどの盛況ぶりであった。例年人気の品物については、公平を期するため一人が購入できる数を制限するなどしたが、それでもあっという間に売り切れた。他の食品雑貨類も含め、終了予定時間を待たず、開始二〇分あまりで完売となった。
 橋本吉行バザー実行委員長の音頭による一本締めで締めくくられた本年の売り上げは、従前どおり、各種の備品等購入の目的に使用される予定である。 
(狩倉 博之) 


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