横浜弁護士会新聞

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2000年4月号(3)

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立入調査の実際と問題点について
 二月一八日午後三時から五時まで弁護士会五階大会議室にて「虐待問題研究会」が開催された。この研究会は、横浜弁護士会少年問題委員会児童虐待部会が中心となって、二カ月に一回程度の割合で定期的に開かれている。
 研究会には、児童相談所・保健所・医療機関・養護施設・福祉関係者など、多岐にわたる子どもの問題に関する専門家が三〇人から五〇人集まり、多様かつ専門的な研究成果を上げている。
 これらの専門家たちが、毎回の研究会でリレー方式で各専門分野からの報告と、それに対する質疑応答・議論が活発に行われている。神奈川県は、東京・大阪・愛知などと並んで虐待問題については先進的かつ著名な専門家が多く、この研究会がこの専門家たちの横の連携を作り、さらに高い研究成果を上げており、その交流の場としてこの研究会がある。
 今回は、救済のために現場で大変苦慮している「立入調査」という大切な問題をテーマに取り上げた。最初に、川崎中央児童相談所の児童福祉司渡辺啓二氏から事例報告を含めて現場での実際の運用と問題点などの報告があり、その後他の相談所等からの事例等についての発言がなされた。
 立入調査は、児童福祉法二九条で児童相談所職員等に認められた強制力を伴う権限であるが、法律上の整備が不十分であることや強制力行使をする立場にありながら援助役も果たさなければならず立場の矛盾の葛藤があることなど今後解決しなければならない問題も山積していることも明らかにされた。
 また物理的な状況や家族状況が不明なまま踏みこまなければならず、さらに保護者の強い抵抗も予測されるため、児童や職員の安全性の確保も重大な課題であり、暴力団の人間がいる家に踏み込む緊迫感のある立入調査の恐怖がリアルに報告された。ところが、警察は署によって対応がまちまちで、十分な協力を得られないこともあり、児童相談所の職員の苦労がうかがえた。
 子どもの問題は、弁護士との関わりに於いても、今後さらに問題が大きく広がっていくことが予想される分野であるとともに、子どもの問題の専門家との交流がはかれる貴重な機会であるので、今後の研究会のさらなる活発な活動が期待される(次回は四月二五日に開催予定)。

 昨年六月成立した「住宅の品質確保の促進等に関する法律」について、本年四月一日の施行期日を直前にして、一月二六日、弁護士会五階会議室でその説明会が開かれた。講師として日弁連から犬塚浩委員、建設省から三浦文敬課長補佐の出席をいただき、会員九一名が参加した。
 まず、犬塚日弁連委員から法の内容に関する説明があった。法の骨子は瑕疵担保制度の充実、住宅評価制度の導入、評価住宅に関する紛争を処理する紛争処理機関の設立、の三点あり、瑕疵担保制度は、評価住宅に限らず全ての新築住宅の売買・請負契約に、民法の特例として適用されること、住宅評価制度は任意の制度であるが、相当数の住宅建築に利用されるだろうこと、住宅紛争処理機関は弁護士会が担うものであること、等が説明された。
 三浦課長補佐からは、弁護士会が担うことになる住宅紛争処理機関に対する助成制度や実施のスケジュールなどについて説明があり、紛争解決に必要な諸情報や費用については全て助成し、弁護士会や会員には負担を掛けないようにすることが強調された。
 熱心な質疑応答が行われ、定時に終了した。
 この住宅紛争処理機関については、既に常議員会などで議論が行われ、当会としては、この処理機関に指定されるべく積極的に申請をする方向であることが確認されている。
 三月二二日に開催された臨時総会においては、「神奈川住宅紛争審査会」の設置に関する会規案等が審議され成立した。
 当会が紛争処理機関として指定され、「神奈川住宅紛争審査会」が発足すると、評価住宅に関する紛争のあっせん・調停・仲裁を当会が行い、しかもその紛争処理委員には、各事件ごとに必ず少なくとも一名の当会会員が就任しなければならなくなる。一回の審理には報酬五万円が予定されている。
 実際の審査会のオープンは本年九月以降になり、当初はさほど審査件数も多くはなかろうが、制度の普及により神奈川県内でもかなりの数の紛争処理が予想される。
 これらに対応するため、また審査会の運営にかかる費用は全額助成されることからも、この審査会を会館外に新しく賃借する事務所におくことも検討されている。
 横浜弁護士会の市民サービス体制の全体的改革も視野に入れ、市民に利用しやすい弁護士会を実現するために、弁護士会の行う大型ADR(裁判外紛争処理機関)として、大いに発展させていきたいと念願している。
 会員のご協力を期待する。
(副会長 星野 秀紀) 

常議員会レポート
事件承継支援規則の制定等可決
 第一一回常議員会は出席者一九名を得て開催された。
第1号議案
臨時総会招集及び提出議案承認の件
   臨時総会議案として、左記議案を提出することの当否が審議され、いずれも承認された。
  1、横浜弁護士会住宅紛争審査会設置会規制定の件、
  2、横浜弁護士会会館規則(会規第8号)一部改正の件、
  3、弁護士業務上の預り金の取り扱いに関する会規制定の件、
  4、横浜弁護士会弁護士業務妨害対策支援会規制定の件、
  5、横浜弁護士会調査室設置会規制定の件、
   臨時総会は、平成一二年三月二二日午後一時に開催されることが決定した。
第2号議案は、撤回された。
第3号議案 横浜弁護士会民事裁判手続運用委員会設置規則制定及び委員選任の件
   昨年末、新民訴法運用特別委員会が期間満了をもって廃止されたが、新民訴の運用について、今後も継続して地裁との協議をする必要があるため、設置する必要がある旨説明がなされ、承認可決され、委員の選任もなされた。
第4号議案 横浜弁護士会事件承継支援規則制定の件
   共済委員会で検討されていたもので、病気等の理由により執務できない弁護士の手持ち事件の処理に関する規則であり、主に市民サービスの観点から制定されるものである。一部修正の上承認可決された。
   この規則は、全く新しい規則であるとともに、詳細にその条件が定められており、会員としては充分にその内容を理解して欲しい規則である。
第5号議案 人権救済申立に関する要望の件
   いじめ等により、就学が阻害されたことを理由として、学校にはいじめの解消努力並びに充分な就学環境を保障する義務があるとの観点から、学校には人権侵害があったとして、「要望」を行なうことについて審議された。
   会規では、「要望」という処分がないことや、学校の行為が人権侵害に該当するか等、多数の意見が出され、更に検討が必要ではないかとの意見により、継続審議となった。
第6号議案 横浜弁護士会各種委員会委員等選任の件
   人事委員会の推薦を受け、異議なく承認された。
第7号議案 日弁連・関弁連関係各種委員会等候補者推薦の件
  人事委員会の推薦を受け、異議なく承認された。
第8号議案 裁判所・行政関係各種委員会委員等候補者推薦の件
  人事委員会の推薦を受け、異議なく承認された。
第9号議案 入会申込者の入会許否の件(弁護士法五条三号申請)
   小委員会を設置して、検討の上次回常議員会に報告し、審議することになった。
   なお、申込者の大学には大学院はあるものの、法律学の大学院がないため、形式的にも該当しない恐れがあるとの説明がなされた。
第10号議案 パート職員採用の件
  パート職員の退職に伴う補充で、承認された。
緊急議案1号 弁護士業務妨害に対する支援の件
   業務遂行上脅迫を受けている弁護士から、業務妨害対策委員会に対して、支援要請があったため、会として支援すべきか否かについて審議され、支援することで承認可決された。
[報告事項]
一、ピロティー工事に関する件
   本年六月一日から工事を開始すること、大凡の予算規模、並びにその他の補修工事もこの機会に併せて行いたい旨報告された。
二、倫理研修会実施の件
(副議長  箕山 洋二) 

常議員からズバリひとこと
 一年の任期もあと一回の常議員会で終わりである。テキパキと進められる議事は早くタバコ休憩をしたいがための(?)議長、発言したいことは山とあるもののグッと我慢しておられる副議長、鶴の一声を度々発せられて議長や執行部からも一目置かれていた長老のK会員、条文の文言の検討にマニアックなまでの執念を傾けて臨んでおられた元副会長のF会員をはじめ、個性的なメンバーが多かった常議員会は、私のような最若年にとってはとても有意義であった。
(四九期 石井 誠) 

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