横浜弁護士会新聞

back

2001年10月号(1)

next
当会に「財務室」「事務局運営室」設置へ
総合改革委員会が会長に答申
 総合改革委員会は、八月二九日、「財務室」と「事務局運営室」の設置を須須木永一会長に答申した。この答申は、会長より同委員会に対しなされた、財務及び労務に関する委員会を設置する場合のそれぞれの構成、権限についての諮問に対するものである。
会長の諮問に委員会が答申
 財務問題と事務局の問題について、単年度の理事者がこれを担当している現状では長期的展望に立った対応は困難であり、継続的にこれらを検討するシステムを作ることが必要であることは、会長の選挙公約とされていたところである。
 委員会では、この諮問に対し、部会を中心として、財務及び事務局担当の理事者経験者からのヒアリングや他会の規則を参考にするなどして検討を重ねた。その結果、両問題に関し、担当理事者経験者などの経験や各分野の専門的知識などを活用して、継続的・機能的に対応できる組織が必要であるという結論に達し、「財務室」及び「事務局運営室」という組織を設置するよう答申した。
 また、委員会は、併せて両組織につき具体的な財務室設置規則案、事務局運営室設置規則案を作成し、会長に対し提出した。
財務の調査・分析・提言、予算編成の調整活動を行う「財務室」
 まず、財務室については、当会の財務に関する現状の調査分析と改善方法の検討を行ない、将来的・継続的に健全な財務体制を確立するための方策を検討して、これらについての会長の諮問に答え、あるいは、積極的に提言するものとされた。
 また、具体的な職務として、会長の指示に基づいて、委員会やセンターの設置などの業務の新設や変更について財務負担の調査をしたり、パソコンのリースなど対外的な契約内容についての検討をするといった担当副会長の補佐的業務、さらに、予算編成等について、各委員会や法律扶助協会などとの調整活動をすることもできるようにすべきという答申となった。
事務局体制の調査検討、団体交渉等への対応を行なう「事務局運営室」
 事務局運営室の職務としては、事務局体制に関する現状の調査分析、職員の人事体制・職制等の確立や、労働条件の適切なあり方、改善・向上などに関する事項を検討し、これらについての会長の諮問に答え、あるいは提言をするという。さらに、会長からの委嘱を受けて、労働組合などとの申し入れや提案等について検討し、団体交渉等に対応することまでできるものとされている。
活動範囲や組織構成につき活発な議論
 このうち、財務室が予算編成についての委員会などとの調整活動を行うことや、特に事務局運営室が労働組合との団体交渉をすることについては、財務室あるいは事務局運営室が単独で担当することは適切ではないのではないかとの意見も強く、規則案の具体的な条項についても活発な議論が交わされた。
 しかし、これらの問題について担当副会長が関与しないことは通常考えられないことや、調整や交渉にも様々な段階内容があることなどから、基本的には運用に任せることとし、規則案では明示の条項は設けないこととなった。但し、団体交渉については、誠実団交の点も考慮し、原則として会長あるいは副会長が出席することを細則として定めることを予定している。
 組織の構成については、委員会通則の適用のある委員会として設置すべきではないかとの意見もあったが、この組織に求められる職務が、意思決定の場面より、いわば実働部隊的要素が強いことから、通常の委員会とは異なる性格の組織として設置する方が適切であるとの結論となった。名称も、この趣旨を明らかにするため「財務室」「事務局運営室」となっている。
 この名称からは、昨年設置された調査室が連想されるところであるが、財務室・事務局運営室には、その職務内容から見て、調査室ほどの日常的業務までは求められていないことから、調査室嘱託とは異なって、室員に対し有償とすることは考えられていない。
 また、機動性が求められる組織なので室員の人数は五名とし、継続性を持つために再任によって四年まで担当できるとの規則案となっている。
両室の今後の活動に期待
 以上のとおり、委員会では、財務・事務局問題にあたる組織について答申をまとめたが、これはいわば枠組み作りにすぎない。この職務を担われる室員の責務の大きさは言うまでもないが、このシステムを存分に生かして、まさに当会が司法改革の推進のための足元を固める一歩を踏み出していただきたく、財務室・事務局運営室にバトンを手渡したい。
(総合改革委員会 副委員長 水地啓子)
 なお、理事者は、委員会の答申を受け、両室の設置規則案を第七回常議員会に提出し、可決された。

法科大学院の「実験授業」始まる 横浜国大
「実験」授業とは
 一〇月から、当会会員有志が横浜国立大学大学院国際経済法学研究科国際経済法学系にて、講師として授業を担当することになった。
 周知のとおり、当会は、定期的に同大学院と法科大学院設置に向けて意見交換をしているが、今春、同大学院に対し、法科大学院設置以前に実際に授業を行ってみたいとの提案をした。
 実際に授業をしてみることによって、現在検討中のカリキュラムや教材の作成について有力な糧となると考えたからである。
 より端的に言うならば、実際の授業抜きにカリキュラムや教材を議論することは、机上の空論に堕することに気づいたと言ってもよいであろう。
 当会のこの提案は、同大学院からも快く受け入れられ、今回の企画が実現するに至った。
講義科目
 講義科目は、契約法、家族法、不法行為法及び刑事法の四科目で、それぞれの科目について、一名ないし二名の精鋭会員を厳選した。
 選出にあたっては、実際に法科大学院がスタートした時点で講師陣の中心となるであろう経験一〇年前後の会員を中心とした。呼びかけに対し、無報酬同然の条件で講師を快諾してくれた会員各位には、心から感謝する。
講義内容
 基本的な実体法・手続法の理解を図り、あわせて、実務上の問題点について、ディベートを通じてリーガルマインドの体得を図ることを主眼としている。
 実験授業の強みかもしれないが、かなりユニークで斬新な企画が出来上がった。
 各科目とも三回完結のオムニバス形式である。
 まず、契約法では、売買契約・賃貸借契約について、講師が実際に扱った比較的平易な事件を検討することで、契約法が実務においてどのように機能しているかを理解してもらう。
 家族法においては、基礎知識を理解してもらい、児童虐待やドメスティック・バイオレンスといったトピカルな事例を検討する。不法行為法では、やはり、不法行為についての基本概念を理解し、実際の交通事故をめぐる様々な実務上の問題点を議論し、適宜、模擬法律相談を行ってもらう。講師が相談者役をやる予定である。
 刑事法では、映画や実際の公判廷で取り上げられた殺人・殺人未遂事件等を題材にして、刑法の仕組み、証拠の構造や証人尋問の方法等について、ディスカッションする。
 なお、以上の科目については、正規の単位とはならないが、全課程終了後、一定の成績評価を行う予定である。学生の達成度を知ることも、ひとつの大切な資料となることであろう。
 来春からは、前後期を通して行われることとなり、単位の与えられる正規の授業となる予定である。
今後の課題
 実験授業の結果を前述のカリキュラム・教材作成に如何に生かしていくか、また、他大学から法科大学院設置に向けた同様の呼びかけがあった場合、実験授業はもとより、本番で当会会員だけで、講師陣を確保できるか急務の検討課題である。
(法科大学院検討特別委員会委員 高岡俊之)

山ゆり
 芸能人の逮捕者が相次いだ。駐車違反はともかく(よくはないが)、公務執行妨害や大麻はいかん
 しかし、警官に車をぶつけて怪我をさせ、逃走しようとした独身男性が在宅か…。まぁ、確かにあれだけの有名人なら逃亡することもないだろうから、妥当な判断ではある。でも、それなら我々が日頃扱っている事件の被疑者は、単に独身男性だというだけで勾留されているんじゃないか?もっと個別具体的な事情も見て欲しいもんだ
 それにしても、やはり犯罪は自分の人生を狂わせ、周囲の多くの人々に迷惑をかけるものだということを改めて実感した。ワイドショーでは「芸能人がちやほやされていい気になって犯罪をしてしまうのではないか」という論調も聞かれた
 ん?弁護士である自分はどうなんだろう?修習生から弁護士登録をして間もない頃から、周囲に「先生、先生」と呼ばれ、自分より年上で社会人経験もはるかに長い人からも丁寧な敬語で話していただくことが多い。芸能人とはかなり意味合いが違うが、これもちやほやされていることには違いないだろう
 弁護士登録したての頃は「先生」と呼ばれることに非常に抵抗があった。その抵抗感は今でもあるのだが、気付くとかなり薄らいできてしまった。まずい… イラスト
 法曹の威厳を保つことと、我が儘に威張ることは違う。呉々も「法律相談に行ったら弁護士が威張っていて感じが悪かった」などと言われることだけはないようにしよう
 今朝もワイドショーを見ながら、ぼーっとそんなことを考えていたら、法廷に遅れそうである。
(喜多英博)

▲ページTOPへ
戻る
内容一覧へ