横浜弁護士会新聞

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2001年10月号(3)

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新シリーズ えいちゃんは考える 市民の声に耳を傾けよう
増加する苦情に対応するために市民相談窓口の運用を改善します
 当会は、平成一一年四月から、市民相談窓口を設置しました。
 これは、当会会員に対する市民からの苦情・要望に弁護士会として真摯に耳を傾け、その解決を図るとともに、市民にとって身近で頼りがいのある弁護士会になることを目指したものです。
 これまでは、市民から苦情等の電話等が入ったときは、その日の担当副会長がまず聴き取りをし、その上で市民相談員との面談予定を入れるという運用になっていましたが、苦情の増加によって、ときには副会長が会務をする時間がないという日まで生じるようになりました。一方で、市民からの電話の中には、よく話を聞いて適切なアドバイスをすれば来会していただくまでもなく解決するものが多くを占めているという実態もあります。
 そこで、今年一〇月一日から、市民相談窓口の運用を変更し、市民相談員が市民からの電話をまず聴き取り、電話での相談・アドバイスで解決するものについてはそこで解決をしていくようにしました。そして副会長は、原則として、来会が必要な苦情・相談等に対応することとしました。
法律相談センターでの苦情は相談担当者に直接伝えます
 当会では、有料の法律相談センターを設置し、市民に身近な弁護士へのアクセスセンターとして多くの実績をあげてきています。
 しかし他方、相談件数が増加するに伴い、そこでの相談態度や回答内容等々について市民からの苦情が多く寄せられるようになっています。もちろんその中には、誤解に基づくもの、自分の期待した回答が得られなかったことによる根拠のない苦情もありますが、確かに相談担当弁護士の対応に問題があると言わざるを得ないものも少なくありません。
 これまでは、それらの苦情も、相談センターの窓口、あるいは理事者限りで対応してきましたが、今後は、苦情が寄せられたときは、原則として、その苦情の内容をそのまま担当した会員に伝えることとしました。なお、行政での相談に関する苦情も、今後、伝える方向で検討しています。
 これは、苦情の内容をそのまま会として鵜呑みにするものではありませんが、少なくとも、苦情が寄せられたという事実自体を担当会員に伝え、今後の相談活動の参考にしていただくためです。
 司法改革の流れの中で、市民が私たち弁護士に寄せる期待と要望は益々大きくなっています。市民の苦情の増大は、そのような期待の現れであるとも言えます。しかし、私たち弁護士が、それらの期待に気づかず、改善の努力を怠っていたならば、期待はやがて失望に変わってしまうことでしょう。
 そのようなことのないよう、私たちは、今後も、市民の期待と要望に謙虚に耳を傾ける必要があると思います。
須須木永一会長

ひと 社会に向けて的確な意見発信を
日弁連公害・環境委員会委員長 林良二会員に聞く
 本年六月一日から来年五月三一日までの任期で、林良二会員が日弁連公害対策・環境保全委員会委員長に就任した。活発な活動を続ける同委員会の長という重職に就いた林会員の事務所を訪ね、話を聞いてみた。
* * *
―公害環境問題との関わりはいつ頃からですか
 昭和五一年に横浜で弁護士登録したのですが、その前の大阪修習時代、予防接種禍訴訟の弁護団を手伝ったのが原点です。チームを組んで研究調査していくやり方を学びました。その後横浜で伊藤幹郎弁護士に誘われて水質調査に参加したことをきっかけに当会の委員会に加わり、公害環境問題に積極的に関わるようになり、昭和五五年から日弁連委員に就任しました。
―具体的にどのような問題に取り組まれてきたのですか
 水質問題、日照問題、原発問題、環境アセスメント制度、森林保護問題などいろいろやってきましたが、一番思い出深いのは、林道開発の問題で何度も白神山地に足を運んだ上、保安林解除への異議意見書を、一人で約一三〇〇通も集めたことです。
―日弁連の公害対策・環境保全委員会とは、どんな役割を担っているのでしょう
 一番言えるのは、公害や環境といった問題は市民生活に密着した問題であり、人権や社会正義に直結するということです。そして日弁連がきちんと調査研究を重ねて発表する報告書や意見書は、社会的にそれなりの重みをもって受けとめられます。社会に向けて的確に意見を発信していくことこそが、重大な役割だと思っています。
―その中で委員長としてすべき仕事は
 究極的には、いかにして良い報告書・意見書を作っていくかということに尽きますが、立ちはだかるのが予算と手続の問題です。多くの人が調査研究に参加できるようにしていくこと、また時代に対応できるように素早く意見集約していくこと、それが委員長としての課題です。
―七月二六日、当会公害・環境問題委員会主催の就任お祝い会が開かれました
 ありがたく思っております。私を鍛えてくれた大先輩や須須木会長はじめ、三〇名以上の方のご参加をいただき、大変うれしく、また身の引き締まる思いです。
* * *
 日本でも世界でも歩き回るのが好きな林会員。日本各地からヨーロッパ各地、フィリピン、ボルネオ、ネパールに至るまで、その行動範囲はとどまるところを知らないようだ(筆者も同行したが、つい先日の西表島でのカヌー漕ぎにはご満悦の様子であった)。持ち前のバイタリティーを生かしての日弁連での活躍が大いに期待される。
(インタビュー 畑中隆爾・喜多英博)

常議員会レポート第6回:平成13年8月9日/第7回:平成13年9月13日
第6回 大議論!!国選付添人手数料
●一号から四号及び緊急議案
 いずれも人事案件である。会内及び会外の関係で今回も多数の委員が選任された。紙幅の関係上、この常議員会レポートに選任された方々の氏名をご紹介することはできないが、常議員会速報に掲載してあるのでそちらを見ていただきたい。
●神奈川司法計画一次案の公表方法決定される。
 五号は前回の常議員会において、公表すること自体は承認されていたものの、費用の関係で、公表方法について再検討を求められた神奈川司法計画一次案の公表方法の件である。具体的な配布方法については常議員会速報でお伝えしたとおりである。これらの費用は委員会予算の中から支出されることになるが、委員会予算の支出状況は一年の三分の一を経過した時点で全体の四分の一を支出しているような状況で格別問題はないとのことであった。このような報告を受けて承認された。予算の関係で、会員に対しては、ダイジェスト版を配布することとされたが、特に希望する方に対しては完全版をお渡しするので、会宛に申し込んで頂きたい。
●ホームページによる会員情報提供制度運営規則の件
 六号はホームページ等による会員情報提供制度運営規則制定の件である。今後弁護士会のホームページに会員情報が掲載されることになるが、住所、氏名等の必要的提供事項の変更は無料であるが、地図、写真その他の任意的提供事項の変更は一件あたり一五〇〇円の手数料を要するものとされた。七号は同外国特別会員に対する規則制定の件である。
●日弁連副会長は投票による選出へ
 八号は日本弁護士連合会副会長候補者選出手続規則制定の件である。既にお伝えしたとおり、来年四月から横浜弁護士会が平成の偶数年度の日弁連副会長を送り出すことになった。その選出方法であるが、「候補者選出投票の手続、方法等は、横浜弁護士会選挙規程に基づく本会の会長選挙の例によるものとする」とされた。この規則は日弁連の承認を得たうえで本年一〇月一日より施行されることになっている。
●少年問題委員会を子供の権利委員会と変更
 九号は横浜弁護士会少年問題委員会設置規則一部改正の件である。「少年問題委員会」は「横浜弁護士会子供の権利委員会」と改められた。目的及び職務内容の一部も変更された。
●国選付添人手数料徴収について大議論―舞台は総会へ
 一〇号は臨時総会招集及び提出議案承認の件である。その議題の一つが、弁護士会が国選付添人の手数料から、国選弁護事件と同様に一割の手数料を徴収するか否かである。国選付添人が付される事件はそのほとんどが重大事件であることが予想される。このため(1)徴収するべきでないもの(2)安易に例外を設けるべきでなく、原則どおり徴収すべき(3)原則徴収すべきであるが、当分適用しない(理事者案)(4)申請により免除できる(5)三年は適用しないとする、などの案が出され、熱心な討論が展開されたが、総会決議事項であり、これらの議論を踏まえて臨時総会での議論において結論が出されることになる。参考のため常議員会における投票結果は(1)が三票(2)と(4)が八票(3)と(5)が二票であった。
第7回 財務室・事務局運営室設置決まる
●一号から四号及び緊急議案一号から三号
 一号から三号及び緊急議案一号ないし三号は人事案件である。いずれも各個人の氏名は常議員会速報に掲載してあるのでそちらを見ていただきたい。四号は入会申込者入会許否の件である。第五四期修習終了予定者で当会への入会希望者は二三名である。修習の終了を条件として全員の入会申込が許可された。登録換により当会に入会を希望する者は二名であり、許可された。
●営業許可申請許否の件
 五号はゴルフ場の会社の代表取締役に就任するこについての営業許可申請である。異議なく承認された。
●横浜弁護士会財務室設置規則制度並びに室員選任の件
 今回の中心的な議題の一つが財務室設置の適否であった(六号)。総務委員会が存在するのに何故別途財務室を設置する必要があるのか、理事者の補佐機関としての財務室が突出した権力をもつことになり、各委員会とのバランスが計られなくなるのではないかなどの疑問が出された。これらの意見に対し、理事者から、当会の危機的な財政状況を抜本的に改革する必要のあること、一期限りの理事者においては抜本的な計画の立案・実行は困難であり、継続性・専門性・機動性を備えた組織が必要であるなどの説明がなされ、承認された。この規則は本年一〇月一日から施行されるが、初代の五名の室員が選任された。
●横浜弁護士会事務局運営室設置規則制定並びに室員選任の件
 現在六一名まで増加した当会の事務職員の労働条件を検討し、また事務職員の労働組合との交渉にあたるについても財務問題と同様に、継続性・専門性・機動性が要求される。この貴無局運営室の設置についても検討の結果、承認された。実施の時期、室員の数も財務室と同じである。初代の五名が選任された。
●その他
 日弁連照会「日弁連および各単位会における個人情報保護ガイドライン」についての当会回答の件のその他の議案が提出されたが、今回は常議員会が二回分を掲載するので紙面の都合上割愛させて頂き、常議員会速報で報告させて頂く。今後は常議員会の翌月にはその内容をこのレポートでご紹介できることになる予定である。
 (副議長 湯沢 誠)
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 スバリ一言は次号から

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