横浜弁護士会新聞

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2001年11月号(1)

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臨時総会9月18日「報酬規程の一部改正」と「国選付添人推薦手続の新設」
 九月一八日、横浜弁護士会館大会議室において臨時総会が開催された。
 議案は二件あり、一号議案「横浜弁護士会報酬規程一部改定」は、民事再生法・任意後見法の施行に伴うそれぞれの報酬規程の新設に関するもの、二号議案「国選付添人推薦に関する会規」は、少年法改正で新設された国選付添人制度に対応し、弁護士会の国選付添人推薦制度を定めたものであった。いずれも議案どおりに可決された。
 その後、会務報告がなされ、総会は滞りなく閉会した。
開 会
 総会は、会員の六分の一以上の出席、もしくは、定刻から三〇分経過後は五〇名の定足数が満たされないと開会できない。
 今回の総会では三〇分経過の段階で、三六名の出席、三五分経過の段階で四〇名の出席であり、開会予定時刻の五〇分後の午後一時五〇分になって、ようやく定足数を満たし、須須木会長が開会を宣言した。
 このように、定足数はぎりぎりであったが、国選付添人推薦に関する会規の議案があったため、会場には少年問題に関心のある若手会員の出席が目立った。
 須須木会長が「司法改革も立法化、具体化の時代に入り、弁護士会としても具体的な作業課題に取り組んでいる。よろしくご審議をお願いしたい」と開会の挨拶を行い、続いて臨時総会議長、副議長の指名がなされ、岡本秀雄会員が議長に、森田明会員が副議長に就任した。
第一号議案 「横浜弁護士会報酬規程一部改正」
 仁平副会長より、先に日本弁護士連合会報酬基準規程が一部改正になったことを受けての横浜弁護士会報酬規程一部改正であると議案説明がなされた。
 主な改正点は、和議法に代わる新法として民事再生法が施行されたことに伴い、弁護士会報酬規定の倒産整理事件の条項中、和議の項目を削除し、民事再生事件報酬を定める条項を新設した点、及び、任意後見法の施行に伴い、任意後見及び財産管理・身上監護の報酬を定める条項を規定中に新設した点の二点である。
 具体的な報酬基準は、民事再生事件については「一、事業者の民事再生事件 一〇〇万円以上、二、非事業者の民事再生事件 三〇万円以上、三、小規模個人再生事件及び給与所得者等再生事件 二〇万円以上」、任意後見契約又は財産管理・身上監護については、「依頼者が日常生活を営むのに必要な基本的な事務の処理を行う場合、月額五、〇〇〇円から五万円の範囲内の額、依頼者が日常生活を営むのに必要な基本的な事務に加えて、収益不動産の管理その他の継続的な事務の処理を行う場合、月額三万円から一〇万円の範囲内の額」と定められた。
 この議案については、特に質問も意見も出されず、出席者五六名中賛成四四名で可決された。
第二号議案 「国選付添人推薦に関する会規」
 少年法改正に伴い国選付添人制度が新設された(少年法二二条の三)。この制度について国選弁護制度と同様の推薦制度及び国選付添人の遵守事項を定めたのが本議案である。
 問題は、国選付添人も、国選弁護人と同様に報酬の一割を弁護士会に納付すべしかという点であって、これについては八月九日の常議員会で、(1)納付(2)不納付(3)納付義務申請により免除(4)納付義務の施行延期
 などと意見が分かれ大議論となったことから、臨時総会でも議論が予想された。
 総会に上程された議案においては、報酬から一割の手数料を弁護士会に納付すべきことを定めながら、附則において、右納付規定を当面適用しないこととした。
 そして、会規施行後五年経過時に、手数料納付に関して再検討することを定めており、この点について、木村副会長及び小島副会長より「弁護士会が国選付添人選任に関わる以上、費用が生じるので、これを国選付添人報酬より負担すべきとするのが原則である。ただし、国選付添人事件は、相当の労力を要する重大・否認事件が予想され、一方で報酬の基準が国選弁護人の報酬と同レベルとすると、到底労力に見合った報酬金額が見込めず、その報酬の中から一割の手数料を納付させることは酷に過ぎる。ただし現段階では運用実態がないため、原則を本文で定めつつも、附則で当面の問の不適用と五年後の再検討を定めた」との趣旨説明がなされた。
 また、本議案では、国選弁護人制度と異なり推薦停止の手続きを設けていないのであるが、この点については「子どもの権利委員会が国選付添人を人選するという推薦方法であることと、これから運用を始めるという段階であって、そのような手続きを設ける立法事実もないため推薦停止手続については定めなかった」との説明がなされた。
 理事者の趣旨説明の後、会員から、東京における国選付添人活動の具体的ケースの内容と、これに対して支払われた報酬金額の紹介がなされ(三週間で三一冊もの記録を読み、弁護団会議・両親との打ち合わせ等事件にかかりきりになったが、報酬は二〇万円であったということである)、この結果を踏まえれば当面手数料を不徴収とする議案に賛成するとの意見が述べられた。
 その他、さらに議案賛成の意見が出たが、質問、反対意見は出ず、採決時五七名の出席中賛成四三名で可決された。
会務の報告
 議案の審議の後、各担当副会長により弁護士会会務の報告がなされた。報告事項は次のとおりである。
(日弁連副会長候補者の選出について)
 来年度から、日弁連副会長の枠が二年に一度横浜弁護士会に割り当てられる。
 そこで、弁護士会で副会長候補者の選出を行う必要があり、選出方法は選挙によることとなった。
(関弁連副理事長の選出について)
 関弁連の理事長から、関弁連副理事長の増員と、増員枠について十県会から選出することの諮問がなされた。これが実現すると副理事長一名を二年に一度横浜から出すこととなる。
 横浜弁護士会副会長と同等かそれ以上に多忙な職務であるので、過大な負担がかからないよう配慮されたいとの答申を出した。人選については今後の検討課題である。
(財務室・事務局運営室設置規則について)
 九月一三日の常議員会で、財務室・事務局運営室の設置が決定された。機動性と継続性を持つ理事者のサポート組織であって、一〇月一日からスタートとなる。
(市民窓口設置規則の変更について)
 これまで市民からの弁護士会会員に対する苦情電話については、副会長が対応していたが、その件数が年々増加傾向にあることから、一〇月一日より原則として担当員が対応することとした。
 また、法律相談についての苦情は、内容をそのまま会員に伝えてゆくことにする。
(本年度の県民集会について)
 平成一四年二月二日一時から六時まで、開港記念会館と弁護士会会館において、県民集会「弁護士フェスタ・イン・神奈川」を行う。テーマは司法改革であって、これを神奈川県という地域の視点から考えてゆく。ゲストはアグネス・チャン氏と養老孟氏である。
(日弁連からの綱紀懲戒制度の意見照会について)
 綱紀懲戒制度は弁護士自治の中核を担うものである。よって、理事者で対処するのではなく、広く会員の意見も募り、ワーキンググループにおいて回答を作成中である。
 回答案のポイントとしては、綱紀委員に外部委員を加え決議権を与えること、綱紀委員の過半数は弁護士とするが、裁判官・検察官・そして市民代表も入れること、懲戒せずと決まった件について審査請求があった場合に市民委員だけで構成する組織にさらに審議をするか否かを検討してもらうことなどがあげられている。
閉会
 以上のとおり審議・報告が終了し、午後三時一〇分に総会は閉会した。開会は遅れたが、閉会は予定時刻より早かったようだ。議論が予想された国選付添人の審議の件についても特段の反対意見は出なかったことから、総会自体はスムーズな進行で、理事者も出席会員も安堵の表情だった。
 なお、審議経過もさることながら、審議中に定足数割れを起こさないかが出席者にとっては気がかりな点であった。かかる実情は、議決権の代理人による行使を認めるか否かの問題とも関連し、今後の総会のありかたを考える上で無視できないものであろう。

山ゆり
 その日はわが事務所の事務員の歓迎会であった
 2次会でみなとみらいのとあるバーで飲んでいると、いきなり携帯電話に緊急情報の文字。見るとニューヨークの貿易センタービルに飛行機が衝突したという。誰かの悪いいたずらかと思った
 家に帰ってテレビを見た。目を疑うような光景があった。摩天楼の景色と空を飛ぶ飛行機。どちらも見慣れているものがいびつに重なり合う映像。テレビの前に何時間いただろう。音のない映像が現実と非現実の垣根を激しく揺さぶる。これははたして現実か映画か
 その日からしばらく(おそらく今でも)あのシーンの恐怖から逃れることができなかった。自分の住んでいる住宅街に爆弾を落とされて逃げまどう恐い夢も見た。一種のトラウマ状態だと思う。想像力の限界を超えた現実の前に思考力も停止してしまう
 米国の報復攻撃も始まった。空爆を受けている人たちは同じ恐怖を味わっているに違いない。それでも航空母艦から出撃する戦闘機を見てもリアルに恐怖を感じることはできない。不謹慎だと思うが、次第に「普通の」戦争になってきた イラスト
 政治家、官僚(そして弁護士も)、これら責任ある立場で仕事をする者にとって一番大事な能力は想像力だと思う。想像しなければならない。爆弾で壊されたがれきの下に何があるか、狂牛病で苦しむ英国から肉骨粉を輸入し続けたらどうなるか…
 ジョンレノンの「イマジン(想像しよう)」が一時放送自粛とは皮肉であった。想像力を封じ込めないと戦争などできないのであろう。
(岩田武司)

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