横浜弁護士会新聞

back

2002年2月号(1)

next
「小規模管財手続」を導入
小規模管財手続きとは
〈小規模管財の必要性〉
 法人の破産申立の場合、原則として同時廃止の処理が認められていないため、これまでは全て通常の管財事件とすることを要求されてきた。
 しかしながら、小規模な事件の場合、それでは手続的な負担が重く、特に、多額の予納金が工面できないために法人の方はそのまま放置し、代表者のみ自己破産の申立をしていたケースが多かった。
 また、逆に個人の場合、財産がなければみな同時廃止の処理となっていたが、個人事業主や法人の代表者など、できれば破産管財人による調査を経ることが望ましいケースもあった。
〈小規模管財の内容〉
 そこで、このようなケースを管財手続に乗せて行くことを目的に
 (1)手続きを大幅に簡素化し
 (2)予納金額の額を二二万円弱に抑えることで、従来の管財手続きに比べて利用しやすい制度としたものが「小規模管財手続」である。
 同様の制度は、既に、東京地裁で「少額管財手続」、横浜地裁川崎支部で「簡易管財手続」の名称にて導入されていたが、内容はそれぞれ異なったものであった。
 この度、横浜地裁本庁にて導入された「小規模管財手続」も、東京地裁の「少額管財手続」をベースとしつつ、若干の修正を加えた内容となっている。
簡素化された手続きの概要
 小規模管財手続を利用した場合、調査や財産の換価等の管財業務は原則として第一回債権者集会までに終了させる。
 そして、異時廃止の場合、第一回債権者集会当日、破産管財人は口頭で破産廃止の申立をし、裁判所は口頭で破産廃止の決定をすることになるが、破産宣告から第一回債権者集会までの期間は、法人の場合で約三ヵ月、個人の場合で約二ヵ月というように極めて短期間である。
 そこで、そのような迅速な処理を可能とするために、通常の管財手続に比べ、次のような手続の簡素化が図られた。
寄託金返還、口座解約についての事前・包括許可
一〇〇万円未満の商品等の売却についての事前・包括許可
中間報告、形式的な報告は不要
債権者集会での報告は口頭によるものとし、書面は財産目録、債権認否表,収支計算書,貸借対照表(法人の場合)、免責に関する調査報告書(個人の場合)のみ
 また、予想外に財団に資産が集まって配当が必要となった場合にも、破産法上の配当手続に換えて、簡易配当手続を選択することができる。
小規模管財手続きの対象
 小規模管財手続の対象となるのは、今のところは破産事件のうち自己破産事件で代理人がついている場合に限られており、債権者申立の破産や、申立代理人がついていないケースの場合は対象とされていない。
 また、事件の規模としては、当然ながら、第一回債権者集会までに管財業務を終了させることができる程度のものに限られる。
 さらに、個人の場合には、負債総額が五〇〇〇万円以上ある場合、法人の代表者である場合、個人事業者である場合などで、裁判所が小規模管財手続の利用をすることが相当であると判断する場合に限るとされている。
 これは、同時廃止で処理すべき事件が大量に小規模管財手続に流れこむことを阻止する意図で設けられた要件であり、そもそも、申立代理人側に小規模管財手続を利用するかどうかの選択権が与えられているわけではない。
 従って、申立代理人の方で同時廃止とすることを望んでも、裁判所の方で必要と判断した場合には、裁判所の方から小規模管財手続を利用するように求めてくるケースも出てくると思われる。
資料はホームページでダウンロード可能
 横浜地裁発行の「申立代理人の方へ(小規模管財手続について)」と題する資料は当会のホームページでダウンロードできるが、「破産管財人になられた方へ(小規模管財手続について)」と題する資料が会員専用ホームページでダウンロードできる。
 (破産懇事務局 川島俊郎)

賀詞交換会・新年会 謡曲も披露されて大いに盛り上がる
 一月一〇日、「ロイヤルホールヨコハマ」において、恒例の賀詞交換会が開催された。
 横浜地方裁判所長、横浜家庭裁判所長らの来賓を迎えて、出席者も九一名にのぼり盛大な会となった。
 冒頭に須須木永一会長により会務報告を交えた年頭の挨拶があり、仁田陸郎横浜地方裁判所長からは混迷の時代における司法の役割等に言及する挨拶をいただいた。
 続いて、本会在会三五年等の表彰が行われ、被表彰者を代表して小林嗣政会員から挨拶があった。
 原田和徳横浜家庭裁判所長の乾杯のご発声ののち、長谷川武雄会員による謡曲の披露も交え、歓談の後和やかな雰囲気のうちにお開きとなった。
 引き続き夕方から「萬珍楼」において五二名の会員や事務局職員が参加して新年宴会が催された。
 恒例の福引きにおいては、一番最後の特賞(電子レンジ)を司会の岩田恭子会員が引き当てたが、同会員の好意により弁護士会事務局に寄贈される等盛り上がり、約二時間の宴会もお開きとなった。
 来年はさらなる盛会となることを期待したい。
 なお、表彰された会員は次のとおり(表彰順・敬称略)。
1、本会在会三五年の会員
 鈴木 元子  小林 嗣政
 寒河江 晃  鈴木  滋
 高橋 秀夫  長谷川 昇
 高津 公子  小林  勇
 豊島 昭夫
2、法曹在職四〇年以上で本会在会二〇年の会員
 横地 恒夫  世古 晴次
3、法曹在職五〇年以上にして本会在会二五年の会員
 太田 夏生
4、喜寿の会員
 杉山  一  杉山 保三
 青山 惟通  森  英雄
 濱田 正義  石丸 俊彦
 竹平 光明  中野 國幸
5、米寿の会員
 青木 逸郎
6、卒寿の会員
 柴田 次郎  横地 恒夫

山ゆり
 深夜二時の携帯電話への留守電。その中味は?私の場合なら、間違いなく悪友からのイタ電。で、それが職場変更(トレード)の通知だったのが、「元」ニューヨークメッツ新庄の話
 深夜の突然の転勤話。通常なら、深刻な話ともなりそうだが、新庄の場合は何故か笑える。念のため言っておくが、私は新庄ファンである。それを伝える新聞も「レギュラー頂き」と全く悲壮感はない。ただ、流石に、新庄自身は「気持ちの整理がつき次第、お話する」とのコメントだったが
 新庄の魅力の一つは、ベースボールを純粋に楽しんでいるところだと思う。メジャーリーガー達も殆ど皆そうであるらしい。だから、世界一を決めるワールドシリーズでも、緊張などしないらしい。この点に限れば、新庄はイチロー以上にメジャーリーガーなのかもしれない。新庄のそんなところが、深夜二時の突然のトレード通告でも、周りに深刻さを与えないのだろうか。まぁ、新庄にとっては、いい話であったらしいが
 自分の職業を楽しめるということは、本当に羨ましい話である。弁護士生活も満二年になろうとするが、瞬間的に「よかった」と思うことはあるものの、仕事に楽しみを感じたことはない。まだまだ、修行が足りぬのであろう。私の場合、当分は楽しみを他に求めるしかないようである イラスト
 新庄の「気持ちの整理がついた」後のコメントが、また、おもしろい。「リストバンドのオレンジ色を変えなくてよかった」「SFジャイアンツに行って、一番悲しむのは阪神ファンかも」。新庄、今年も大いに楽しませてくれ!
(上山 智之)

▲ページTOPへ
戻る
内容一覧へ