横浜弁護士会新聞

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2002年12月号(2)

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日弁連で活躍している人たち
週3〜4回は日弁連へ
日弁連消費者問題対策委員長  石戸谷 豊 会員
 当会でも著名な消費者問題の大家であり、なおかつ特に金融取引に関しての著作も多い石戸谷 豊会員に、委員長をつとめておられる日弁連消費者問題対策委員会についてインタビューした。
 委員会の概要についてお聞かせください。
 日弁連消費者問題対策委員会は、会員一〇〇名と幹事六〇名から成る大所帯です。ちなみに、幹事とは特定の専門分野に造詣の深い会員を特別に委嘱して特定テーマを担当してもらっているものです。当委員会は、全部で一二の部会((1)消費者契約法、(2)金融サービス法、(3)統一消費者信用法、(4)消費者倒産法、(5)独禁法、(6)土地・住宅、(7)宗教と消費者、(8)PL・情報公開、(9)消費者教育・ネットワーク、(10)電子商取引・通信ネットワーク、(11)ニュース・出版、(12)司法改革問題プロジェクトチーム)に分かれています。部会といっても、それだけで一つの委員会を構成できるほど幅広い分野を取り扱っていますので、正直、まとめるのもたいへんです。
 委員長になられての感想は?
 私が委員長になったのは本年六月からです。任期は二年というのが慣行のようです。委員長を引き受けた当初は、全国から選びぬかれた消費者問題のエキスパートばかりだから何とかなるだろうという甘い見通しでしたが、実際、委員長に就任してみると、消費者保護基本法や司法改革がらみの重要な法改正問題が目白押しで、普段の時期の二〜三倍の量をこなすという感じになり、しまったと思ったのが率直な感想です。
 日弁連にはどのくらいの頻度で通われていますか?
 全体の委員会は、二か月に一回、各部会に副委員長が各一名いて、正・副委員長会議を毎月一回、その間各部会の会議などは適時行われています。私自身は、日弁連内部の関連の会議、政府の各種審議会や研究会、それと消費者団体の会議にも参加しなければならないため、週に三〜四回くらいは東京に行くことが多く、忙しい時には一日に二往復することもあります。
 委員会では、今、どの分野に一番力を注がれていますか?
 重要な問題が目白押しで、たいへん難しい質問ですが、やはり消費者保護基本法の改正問題でしょうか。大きな論点をたくさん抱えているにもかかわらず、年内に中間報告、来年五月に最終答申と、タイムスケジュール的に非常に厳しいもので、各部会がさまざまな論点を分担して意見書の作成をしているところです。それと、最近では仲裁の問題でしょうか。仲裁法の改正の議論の過程の最後になって突然、消費者問題においても仲裁を導入しようとの議論が出てきたため、非常に急いで意見書を作成しました。日弁連だけでなく、全国の消費者委員会がこの八月・九月は総力をあげて取り組んでくれまして、たいへんお世話になりました。
 委員長としての抱負をお聞かせください。
 特にありませんね。毎日がいわば崖っぷちでして、ゆっくりと抱負を考えている暇がないというか、早く後任を見つけて委員長の大役からおりたいです(笑)。

 石戸谷会員は、随所に見られる豪快な笑いが印象的であった。石戸谷会員を始め多くの当会会員が日弁連で活躍し、日弁連において当会の発言力も高まるとともに重要な役割を期待されているところ、その期待に応えようと奮闘している様子と苦労の一端を石戸谷会員の熱心なお話から窺い知ることができた。
(インタビューアー 二川 裕之)

裁判所書記官が実務上の留意点をわかりやすく解説  事務職員研修会
 事件の事務処理を円滑に進める為には、事務職員の知識もかなり必要とされます。保全・執行に伴う事務処理も、迅速かつ正確に処理を要する手続きのうちのひとつです。一〇月七日に中村宏会員の司会で行われた今回の研修は、保全・執行手続きの実務上の留意点など各一時間の講義でしたが、参加者も多く、遠方の支部からの受講者もいて、事務職員の関心の高さがうかがえました。
 前半は、横浜地方裁判所第三民事部の樋口書記官が保全事務の取り扱い上の留意点を講義されましたが、ポイントを得たもので大変分かりやすい内容でした。特に、講義当日配布されたレジュメに添付されていた「発展シート」は、分かりにくかった裁判所の管轄や手数料・登録免許税の計算などの問題を実際に考えることで、自分の身になり実務を行う際にも役立つと思いました。ただ、講義時間が短かったので、シートを実際に受講者が考えるという時間はありませんでしたが、解答を説明してくださったため、後から自分で見なおすことが出来、より一層理解が深まったと思います。
 後半は、大倉書記官より執行について講義がありましたが、実際に裁判所で行っている手続に沿って解説があり、手順の流れやその際なすべき事が明確になりました。
 今回の研修は、現役の書記官が講師だったため、裁判所で円滑に事件を進行させるために事務職員が何を留意して処理を行っていくべきかが明確になったので、書記官による研修はとても有意義だったと思います。
(村瀬法律事務所事務職員 加藤さおり)

DV相談は14件 女性の権利110番
 一〇月二六日午前一〇時から午後二時三〇分まで女性の権利一一〇番が実施された。四本の特設電話を設置し、一〇名の弁護士が交代で相談にあたった。また、共催の横浜女性フォーラムから、昨年に引き続き今年も相談員二名の参加を得た。
 途切れることなく相談が続き、合計二五件の相談があった。そのほとんどが、離婚等夫婦関係に関する相談であり、うち一四件がドメスティック・バイオレンスの相談であった(セクシュアル・ハラスメント一件、親の子に対する暴力一件)。暴力の態様は、殴る、蹴る、物を投げる、髪をつかんで引きずり回す(以上身体的暴力)、「出ていけ」、「役立たず」等暴言を吐く(精神的暴力)、性的関係を強要する(性的暴力)、生活費を渡さない(経済的暴力)等さまざまであった。
 ドメスティック・バイオレンスとして数えられていない離婚等夫婦関係に関する相談の中にも、相談者自身がドメスティック・バイオレンスと意識していないが実はそれを含んでいるものもあるのではないかと思われる。
 若干意外だったのは、保護命令制度等昨年一〇月施行の「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」に関する相談が一件もなかった点である。このような相談は直接配偶者暴力相談支援センター等に寄せられているのだろうか。
(渡辺 智子会員)

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