横浜弁護士会新聞

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2003年1月号(1)

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年頭にあたって 恵まれし杖をたよりの初霞 忠山
会長  池 田 忠 正
 皆様明けましておめでとうございます。
 昨年四月就任以来、私たちにお寄せいただいた友情とご支援は何ものにも代え難く、私たち執行部はお陰様で、そこそこの実績を積み上げさせていただきました。
◇司法改革実現元年
 会長就任にあたり今年度を「司法改革実現元年」と位置づけましたが、司法改革の波のあまりの速さと激しさに執行部として何ほどのことができたかは内心忸怩たるものを禁じ得ません。その中で、
(1) 司法改革の源である国からの重点予算配分の試金石として、予測される民事法律扶助予算の払底に対し、その増額の声を県内全域から挙げていただくため、夏休み返上で執行部手分けして県知事、県議会、全市長、全市議会に対し陳情要請を行い、全ての議会の意見書を国の関係機関に届けてもらったこと、
(2) 簡裁の事物管轄の大幅な増額と簡裁判事等に対する準弁護士資格付与のそれぞれに反対する陳情を県内与党議員に要請したこと、
 などが挙げられますが、二名の弁護士任官希望者の将来、進みつつあるロースクール協議の今後なども含め、その成果は未だ不透明と言わざるを得ません。
◇綱紀懲戒問題
 昨年は史上初めての除名者を出すなど当会会員による数年前から昨年までの弁護士倫理以前の非違行為が白日のもとに晒された年であったと言えます。しかし、これまで培ってきた自信を失うことなく私たちは一人ひとりこの事態を真剣に受け止め、損なわれた市民の信頼を取り戻すべく日夜努力することを年頭にあたって強く訴えるものです。
◇市民に親しみのある弁護士・弁護士会
 そのような中、一一月三〇日に開催した「弁護士フェスタ・in・KANAGAWA」が一一〇〇名もの多くの市民の参加を得て盛況裡に幕を閉じたことは、当会の汚名を少しでも雪ぐことができたことと、執行部一同大きな感激を禁じ得ませんでした。
(1) 親しみやすい生の弁護士・弁護士会を市民に理解してもらうこと
(2) 公募した市民参加の「裁判員制度」による「ヨコハマたそがれ放火事件の模擬裁判」を通じて市民に司法改革の一端に触れてもらうこと
(3) 中高校生・大学生などの裁判員参加と模擬裁判傍聴を実現することにより、法教育・司法教育の一助やきっかけとなること、
 などの欲張った目標をそこそこ達成することができましたことは、関係会員各位と事務局職員の大きな協力の輪によるもので執行部名利に尽きるものでした。
◇支部の活躍と会則上の位置づけ
 ここ数年支部の活躍と充実には目を見張るものがあり、これを背景に昨年四支部の存在が当会の会則会規に正規に位置づけられたことは画期的なことと思われますが、特に昨年は(1)川崎支部において裁判員制度に関するシンポジウムが約一〇〇名の市民の参加を得て成功裡に開催されたこと(2)小田原支部において、全国の支部で初めて裁判員制度による模擬裁判「恋の城下町放火事件」を支部会員のみで上演し、約二〇〇名の市民の参加を得て好評を博したこと(3)相模原支部において、県内で初めて各界の関係者三四名からなる「相模原地域司法改革懇談会」を創立し、市民自らがより良い司法を創ってゆこうという試みに着手し、当面は相模原に合議体の裁判を実現することを目指していること、などが特筆されます。
◇会名変更について
 このように当会は、広く市民の司法ニーズに応えるため、今や神奈川県全域で活動していることが日々に明らかになっています。他方、前記の自治体行脚の際、横浜から西へ行けば行くほど当会が「横浜」の弁護士会であると誤解している自治体の長、議長、自治体関係者が今なお相当に多いことを執行部一同身にしみて分かりました。そのような誤解を改めてもらうためには、会名によって神奈川県全域をカバーする弁護士会である実体が分かることが必要ではないかと痛切に感じています。従って、会長就任の所信に基づいて、会員の皆様には、もう一度この問題を議論して考えてもらいたいと存じます。
 残る三か月の任期、五人の副会長と一致協力して全力投球して参りますので、変わらぬご支援ご協力の程、お願い致します。

山ゆり
『正月や冥土の旅の一里塚』
 なぜか正月には小林一茶のこの句を思い出す。昨年はとうとう午年を五回迎えてしまったので素直に納得。いずれにしても正月を迎えるたびに着実に終着点へ歩を進めていることは確かのようである
 横弁新聞の編集会議でのこと。『私の独立した頃』を依頼するため、執筆者の名前を思いつくまま出していると、自分たちの期に近づいてきた。慌ててまだ早すぎると言うと、若手の委員から「おかしくない。」とのこと。なるほど、彼らから見れば我々も二〇期くらい上になってしまっていた訳だ。歳月恐るべしである
 しかし、弁護士は大体歳の取り方が遅いように思う。自分がいくつになったのか気にならないということでもある。ただし、外見は十分オジサンになっているらしいので、もっぱら精神年齢に限るようではある。世間で定年を迎える五十や六十では働き盛りもいいところで、常議員会や総会でも、若手と一緒になって熱く語る長老会員も珍しくない
 一方、同窓会などで会社員の友人と顔を合わせると、話す態度や話題まできちんと年相応になっている。上下関係の中で暮らしている人と、自分が所長で一番偉いと思っている人とでは、精神年齢の進み具合には差がでるようだ イラスト
 今年の干支の羊の字には、美・善・祥などで分かる通り、もともと良い意味が含まれている。したがって、根拠は薄弱だが良い年になる筈である。私も羊の縁起にあやかって若々しく充実した一年を送りたいものである。
(松井 宏之)

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