横浜弁護士会新聞

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2003年1月号(3)

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理事者 新年のご挨拶
副会長 青木  孝
 残すところ三か月である。もう終わりという気持ちとまだまだという気持ちが交差する。司法改革論議の真っ最中であり、これに対応しての時間も勿論多い。また、通常業務の処理や対外的な対応に費やす時間が多い。それだけ、弁護士会の機能が多岐にわたっていることの証左でもある。
 しかも、市民窓口に寄せられる苦情が多い。弁護士は、依頼者との信頼が基本である。確かに、会員が本当に誠実に処理をしているのにそれでも苦情としてあがってきてしまうケースもある。市民からの苦情を聞きながら、弁護士の業務自体がトラブルの中に入り、渦中に身を投げ出す仕事なのだと痛感する。我が身も引き締めねばと何度も思うのだが。
副会長 
 新年です。平成一四年の事件番号をもらうつもりの訴状の起案がまだパソコンのなかでも、平成一五年です。昨年の今頃、先輩方から、副会長になれば人間として一皮も二皮もむけると励ましていただきましたが、実際には人間として一回りも二回りも大きくなりました(ああ、洋服がきつい)。紅一点ということで、他の副会長からお姫様扱いしてもらえるのではないかと思いましたが、実際には女王様扱いしてもらっています(鞭で打ったりしないから、そんなに怖がらないで)。あと残り四分の一の任期です。先輩方はこれからが大変だと言いますが、若い期の弁護士が委員会活動等で活躍している姿に接して、弁護士として誇りと元気をもらいましたので、もう一頑張りできると思います。
副会長 尾立 孝司
 副会長になって、人を知る機会を与えてもらえたのは本当によかったと思います。理事者は様々な人と一緒に共同作業をすることがたいへん多い職務です。その中で、理事者同士の協議ばかりでなく、意見書、会長声明の作成、各イベントの打ち合わせなどを通じ、今まで気づかなかった知人の異才に驚かされました。よく知っていると思った仲間が、印象と異なり、準備周倒な極めて実践的な人であったとか、長年のゴルフ仲間であったこの人に、こんな文才があったなんて…、優秀だと聞いていたが、本当にこの人の分析能力には舌を巻くとか。そのことは、私にとって、自分自身に対する甘い評価を見直すいい機会でもありました。
 ただ、少し重荷になることもありました。意見書等の作成や、イベントなどへの御協力、調停委員など外部委員の就任依頼では、多くの人に借りを作ってしまいました。最近では、知人縁者まで借り尽くしてしまって、途方に暮れる多重債務者のようでした。しかし、会則には載っていないようですが、副会長を退任すると、すべてそれらが免責され、新しい各担当副会長にすべての債務が引受される慣習法があると知り、私はホッとしてお正月のご挨拶ができます。
副会長 古川 武志
 敗戦後、六〇年弱を経て、わたくし達は民主主義制度の下での経済・社会の変革という初めての歴史的経験を積みつつあります。
 司法においても、今年は、刑事手続等様々な分野で、息つく間もなく次々と重要なことが決まっていきそうです。それを眼前にして、あるいは、わたくし達の間に失望と無力感が広がるかも知れません。
 しかし、人が今日出来ることは、所詮、昨日の続きでしかありません。大きな船はゆっくりとしか方向を変えられないのです。
 これから起きる一つひとつの事共の底に流れる歴史の通奏低音に耳を澄ませたいと思います。
副会長 田中 隆三
 新年明けましておめでとうございます。私たち理事者は、あと、三か月で任期が満了します。エレベーターで一緒になった先生にこう言われました。「理事者というものは、任期の終わりになる頃になってくるとだんだん寂しくなってくるものだ」。
 それで、「もうすぐ任期が満了だ」という気持ちになってきました。すると、たしかに、思いもしなかった一抹の寂しさがこみあげてくるのです。しかし、しかし、瞬く間に、予算作成をはじめ処理しなければならない仕事がまだまだ残っている現実を思い出し、一抹の寂しさは雲散霧消しました。ある人は、最後の三か月になってからが非常に長く、カレンダーの一日、一日に×をつけていく毎日だと言います。これからの三か月、なんとか平和に早く過ぎて、最後に寂しい思いを持ってみたいものだと考えています。
 皆様にとって、今年一年が素晴らしい一年でありますようお祈り申し上げます。

新シリーズ 理事者室の窓
副会長 
 理事者就任直後に、理事者六人全員で、確認しあったことがあります。一つ目は弁護士フェスタに裁判員劇をやり、会場を一杯にすること、二つ目は会名変更問題に取り組むことです。弁護士フェスタは多くの方のご尽力により、大成功に終わりましたので、今度は会名変更です。もっと早くから取り組めればよかったのですが、就任後は懲戒問題等いろいろやらねばならないことがあり、この時期になってしまいました。
 「陰陽師」の安倍清明によれば、一番短い呪は名ということです。この考えによれば、横浜弁護士会の名がなくなれば、弁護士会の実態は存在しても、横浜弁護士会はなくなってしまいます。「千と千尋の神隠し」ではユバーバは名を奪うことにより人の過去の記憶を失わせ、支配します。名がこのようなものであるとすれば、横浜弁護士会に誇りをもって活動してこられた諸先生が会名変更に反対することは当然のことと思います。ただこれまでの横浜弁護士会の歴史は重要なものであるけれども、これからの歴史を刻む上では別の名がふさわしいのではないかと考えました。
 この問題について、会員の自由な意見を公表する手段として、意見綴りを作成しますので、ご意見をお寄せ下さるようお願いいたします。
身にかなふ名をこそ惜しめ寒の鯛
忠山

常議員会レポート第10回(平成14年12月12日)
簡裁判事・副検事経験者に「準弁護士」資格を付与することに反対する会長声明
 最高裁及び法務省は、簡裁判事・副検事経験者に「限定的な弁護士資格」(例えば、簡裁における代理権や刑事弁護−捜査段階も含む−、裁判外の和解や示談等)を付与する案を検討している。この案に対して強く反対するという会長声明を承認した。
 反対の理由として、
(1) 取り扱える職務範囲が極めて解りにくく利用者に混乱を招くおそれがある、
(2) 現行制度でも司法書士への途が確保されている、
(3) 代理人・刑事弁護の経験がなく、刑事弁護の司法修習及び実務の経験がない、
(4) 定年退職後の天下り先の確保という側面があると述べている。
支部会則の日弁連承認
 当会の支部会規が日弁連で承認され、一一月一日から施行されたことから、川崎支部、小田原支部、横須賀支部、相模原支部でそれぞれ支部総会が開かれ、支部規約を制定した。
 支部会規によれば、支部規約は常議員会の承認が必要とされており、この承認が求められた。支部によっては、詳しい規定を設けた支部、簡単な条項のみにした支部など様々であった。
 また、国選報酬について、国選弁護料分担金と明示している規約があり、本部で徴収している手数料との関係で疑問が出されたが、この問題についての将来の議論を拘束しないということが確認されて、全ての支部の支部規約が承認された。
二件の人権救済申立事件で勧告案を承認
 横浜刑務所在監中の受刑者から刑務所での処遇について申立があり、軽屏禁中に正座ないし安座を強制すること、軽屏禁中の入浴を制限すること等四点について人権侵害に当たるとして廃止を勧告することを承認した。
 特別養護老人ホームの入所者の家族から施設内で負傷事故が度々発生しているとして申立があった件については、負傷事故の発生を施設側も認めていることから、老人介護を専門とする施設の対応としては、事故予防に対する心構え、管理が不充分として、対策を取るよう勧告することを承認した。
 身体障害者通所授産施設・知的障害者通所授産施設の元職員から、施設内で職員による人権侵害行為がおこなわれているとして申立があった件については、勧告の趣旨について常議員から質問や意見が多く出され、一旦撤回して、勧告の内容を再検討することになった。
元裁判官からの入会申込を許可
 元裁判官から入会申込があり、入会が許可された。横浜地裁管内での執務経験はないとのことであった。
 議案は、一二月五日に予定されている日弁連臨時総会議案「綱紀・懲戒制度に関する基本方針一部変更承認の件」に対する当会の一票の件について賛否を決めるための総会である。
報告事項
 「破産法等の見直しに関する中間試案」については、各委員会から意見が出されなかったことから、意見書の提出は見送りとなった。
 弁護士フェスタについて、会長から大成功であったとの報告があった。
 パート職員が退職したことに伴い、補充のパート職員が採用された。
 弁護士会事務職員に冬期賞与が支給されるとの報告がなされた。
(副議長 森 卓爾)
常議員からズバリひとこと
若手の活発な意見、大御所の冷静な意見、当常議員会では老若問わず自由な議論がなされている。この体質は、派閥のない当会の貴重な財産と言えるのだろう。それにしても、小田原支部から推されての常議員、三時開催とはいえ小田原からの出席となると毎回半日仕事である。加えて次々押し寄せる膨大な資料と議案、一常議員の目から見ても、池田会長をはじめとする理事者の御苦労には脱帽である。
四九期 鈴木 紀子

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