横浜弁護士会新聞

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20003年3月号(4)

 
新人弁護士奮闘記 第54期 宮下京介
弁護士の仕事はお化け屋敷か
 弁護士登録をしてからの一年間はあっという間に過ぎました。
 最初の一年目から民事・刑事・家事・破産・商事とバラエティーに富んだ事件を担当しましたが、中でも刑事は当番と国選を取り混ぜて一年間で一三件やりました。
 この一三件の刑事事件の中でも、特に印象に残っているのはタイ人のオーバーステイの事件です。この事件は、執行猶予をとって強制送還にしてもらうことが第一目標だったのですが、無事その目的を果たして入国管理官に引き渡される際、被告人は、私の方をまっすぐに見つめて拝むようなポーズをしていました。
 公判終了後、仲良くなっていた通訳人から、「あれはタイ式のお礼のポーズですよ」と教えてもらったときは、とても嬉しい気持ちになったのを覚えています。
 逆に、事件で嫌な気分になったこともたくさんありましたが、いい事件にせよ悪い事件にせよ、これだけたくさんの人と出会い、いろんな経験ができる仕事は他にないのではないかと思いながら、毎日を大切に過ごしています。
 この一年間で、弁護士としてたくさんの人と会って話をしましたが、一時期、私は「弁護士の仕事は『お化け屋敷』に似てる」と思いながら仕事をしていたことがあります。手探りで暗闇の中を進みながら、いろんなお化けに出会うところが、弁護士の仕事に似ているからです。一見おとなしそうに見えるが本当は恐ろしいお化け。一見恐そうに見えるけれども本当は心の優しいお化け。たまに人間に出会ってほっとしたと思ったら、お化けよりもたちが悪かったなど、この時期一人で勝手に想像を膨らませて楽しんでおりました(この時期に出会った方ごめんなさい)。
 当時、一緒にお昼を食べているときにボスにこの話をすると、笑って聞いておられましたが、ボスのイメージは「お化け屋敷」ではなく、「どぶさらい」だそうです。その心は、汚れた水をすくい上げ、その上澄みを「ほら、こんなにきれいでしょ」と他人に見せるところが、弁護士の仕事に似ているから。
 みなさんの弁護士の仕事に対するイメージはどのようなものですか?

私の修習日記
「今度こそ…」
第56期司法修習生 山下 由紀
 「法律相談は難しいよ。一番難しい」とは、弁護士の先生方の誰もが口にする言葉。その法律相談を、修習生である私がやってみようというのである。
 山本一行先生は、修習生にはいつも法律相談を体験させておられるとのこと。私も、三か月の間に四回、法律相談を体験させて頂いた。
 緊張の第一回目、最初の相談では、いきなりお客様の口から専門的な言葉が出てきて、早くも戦意?喪失してしまった。しかも条文も忘れがちな分野。しかし、条文を覚えていたってたいした役には立たない。相手をどのように説得するか、どのように話し合いを進めていくか、どのような処置をとれば今後の紛争を防げるか・・・山本先生の説明をお客様と一緒にふんふんと感心して聞いている始末であった。
 持ち込まれる相談は、不動産のこと、相続のこと、会社のこと、借金のこと、賃貸借のことなどさまざまだが、決して教科書に載っていそうな典型的な相談が来ることはない。新しい相談の度に「今度こそ!」と思うのだが、なかなかまともに答えられない。で、またしても山本先生の説明を感心して聞くことになる。時間を割いて来られているわけで、私なんかが貴重な時間を奪ってすみませんという気にもなってくる。
 さてその原因は?まず当然ながら知識不足。それから、問題を様々な角度から瞬時に検討できないこと。適切な紛争解決手段の選び方に慣れていないこと。などなど多々あるが、まとめて言えば「勉強不足、経験不足・・・」。冒頭の言葉を思い出しては、自分を慰めていた。
 あたふたしている私とは対照的な、山本先生の落ち着いた対応、即座にあぶりだされる問題点、適切なアドバイス。ここまで達するのに私は何年かかるかなあ・・・と毎回考えさせられるのであった。
(指導担当 山本一行会員)

今年の調子はいかに? 法曹テニス初打会
 一月一二日、藤沢市にある荏原湘南スポーツセンターにおいて横浜法曹テニスクラブの新年最初のイベントとなる初打会が行なわれた。当日は、七〇名を越えるテニス好きが集まり、AからCのクラス別にペアを組みトーナメント制で優勝を目指した。
 この初打会には当会会員のクラブ員のみならず、かつて横浜に籍をおいていた裁判官や助っ人として連れてこられた人など多彩な顔ぶれが揃うことから、集合時刻が近づくにつれ、あちこちで再会を喜ぶ声や、苦手な相手が来ていないか確認する声が聞かれた。
 午前一一時から各クラス毎に組まれたトーナメントにしたがって熱戦が繰り広げられ、各コートではスマッシュが決まった際の歓声やミスした際の落胆の声、ペアに対する励ましの声や罵声など初打会らしいとても和やかな雰囲気の中試合は進んだ。
 ただ、今回の参加希望者にはAクラス該当ペア(上手いとされている)が多く、かなりの数の実力者がBクラスで参加することとなり、本来のBクラスの選手からは不公平との声も聞かれた。
 午後五時まで熱戦は続き、結果、Aクラスでは小林雅信会員(三八期)・石川修習生ペアが前田康行会員(四九期)・村主(すぐり)書記官研修所教官ペアを接戦の末破り優勝。Bクラスでは本間豊会員(四〇期)・ペアが優勝候補の呼び声が高かった志田裁判官・清水裁判官のペアに競り勝ち、Cクラスでは小山昌人会員(五四期)と原正雄弁護士(二弁・五四期)ペアが安藤肇会員(四九期)夫妻ペアを破りそれぞれ優勝した。
 試合終了後行われた成績発表会において優勝者・準優勝者らに豪華商品が授与され、引き続き行われた懇親会では参加者が互いの健闘を称え合った。
 今回の優勝者を見るかぎり上位クラスに目新しさは見られないが、各試合においては若手に勢いが見られ、世代交代に向け変化の兆しが感じられた初打会となった。
(佐藤 裕会員)

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編集後記
 百戦百勝は、善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり。孫子の言葉に久々に接した。二千年以上を経た現在でも戦いの普遍的本質を捉えているといえないだろうか。さて、この一年間の司法改革の動向は多方面にわたり目まぐるしく、一つのテーマだけをフォローしていくのも大変である。新年度に向け、何をどこまでできるのか見極められればと思うが。
デスク 一面担当 狩倉 博之 二面担当 大和田治樹
三面担当 奥園龍太郎 四面担当 芳野 直子

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