横浜弁護士会新聞

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2004年1月号(1)

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新年のご挨拶
会長  箕 山 洋 二
 新年明けましておめでとうございます。
 昨年4月、理事者に就任して以来、あっという間の9か月でした。その間、多くの会員に支えられてきたことを実感しており、理事者一同、心より感謝しているところであります。
 司法改革の進展は早く、まさしく嵐であり、激動であります。裁判員制度、訴訟費用敗訴者負担、ADR、知的財産所有権、リーガルサービスセンター(LSC)、裁判迅速化法、人事訴訟手続の家裁移管、下級裁判官指名諮問制度、地・家裁判所委員会、労働審判制度の導入、数え上げたら限りがありません。法科大学院も4月1日開校です。
 2日間にわたる日弁連の理事会を傍聴した横浜のある会員は、「自分達の持ってきた議案が一番大変な議案だと思っていたが、20個余りの議案が全て重い議案なので驚いた。」と、今更ながらに司法改革の嵐の大きさに溜息をついていました。
 こんな状況の中、弁護士法の大改正も行われます。改正を受け、昨年11月12日、日弁連は臨時総会を開催し、綱紀・懲戒制度の大幅な改正、営業の届出制への変更を行いました。当会はこれを受けて、本年1月30日、臨時総会を予定しております。また、本年4月1日より弁護士報酬に関する規定が廃止されるのに伴い、当会の規程整備も併せて行いたいと考えております。当会の会則・会規・規則の変更も大幅なものとなります。
 弁護士の日常業務に大変革をもたらす改革が多く実行され、そろそろ実施に移されています。そのために報酬に関しては、2月25日、3月2日の2回、必須研修として、日弁連から講師を招いて研修会を行うことにしております。
 現在、都市型公設事務所の必要性、及びその組織と費用等について、ワーキング・グループにより検討を進めており、これに関する会員集会を2月6日に予定しております。都市型公設事務所は、その立ち上げには相当の費用と時間を要することから、必要となってからの検討では間に合わないため、本年度中にも委員会設置をしなければならないと考えております。
暁天 南紀 橋杭岩  撮影:山本安志会員
暁天 南紀 橋杭岩  撮影:山本安志会員
 以上のとおり、残りは僅か3か月でありますが、やらなければならないことはまだまだ山ほどあり、是非会員の皆様のご協力を得ながら、時代に遅れることのない会としての体制を築き、次年度へバトンタッチしたいと念願しております。

山ゆり
 旅の醍醐味は強烈な疎外感から始まる。見知らぬ風景の中で旅愁を覚えるとき、それは決まって疎外感に包まれている
旅に在るとき、この先には何があるのだろうという探訪心に突き動かされて進み、そして瞠目すべき風景に出会い、感嘆する。しかしふと気づく。その風景自身は泰然としてそこに在り続けてきたのであり、日常なのだ。他所からやってきた私が勝手に喜んでいるのだ
先日、鹿児島出張のついでに足を伸ばした。県の北端へ突き進んだら、橋で繋がった諸浦島という島の港に行き着き、道も途絶えた。八代海に浮かぶ小島。他に訪れる人もなく、私にとっては旅の果ての風景。しかしそこには集落があり、学校があり、子供たちがいる。待合室には天草に行く船を待つ人がいる。そこに暮らす人たちがあり、普通に事が運ばれている。まさに日常の風景なのだ。その風景の中に私は割り込んでしまっている。私だけが異分子。これこそ強烈な疎外感
つまるところ、旅人は謙虚にあらねばならないと思う。しかるべき経緯によって厳然としてそこに在る風景を、出し抜けにやって来て見させてもらっているのだから。その無遠慮さを認識しておかねばならない イラスト
謙虚な旅人に対しては、風景は次第に優しくなってくれる。少しずつ自分が風景の中に受け入れられるとでも言おうか。風景と馴染み、一体化したような感覚を持てたとき、旅は自分なりに完成の域に達する
ついでながら仕上げに土地の食べ物とお酒があれば言うことなし。旅の醍醐味は酒と肴に極まる
新春到来、いい旅をしよう。
(畑中隆爾)

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