横浜弁護士会新聞

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2004年12月号(1)

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横浜商工会議所との懇談会開催 利用しやすい司法をめぐって活発な意見交換
 横浜市の経済界との親睦を深め、今後の協力関係を築いて行くことを目的として、10月24日「ザ ヨコハマ ノボテル」で、横浜商工会議所と当会との懇談会が開催された。弁護士会と財界とは、今までに協議会や懇談会といった催しが開催されたことはなく、今回が初めての試みとなった。
 懇談会では、橋本副会長から、「『利用しやすい司法』のあり方と横浜弁護士会の現状について」という表題で、法曹人口の増大や、裁判員制度の導入などの司法改革による影響について説明があった。
 これに対して、商工会議所側からは、「昨今の法改正や司法改革が急激にアメリカ的契約社会を導入してきている感が否めない、元々我が国では紛争を好まない国民性があり、話し合いで紛争を解決してきた。国民が対応できるのか危惧感を覚える」、「今までは問題が起きてから弁護士を利用していたが、今後はむしろ問題が起きる前に対処するような方法が望ましい」といった意見のほか、「弁護士の取り扱う分野や専門が分かりにくい」といった指摘がなされた。
 市民のニーズに応えるためには弁護士や弁護士会がどの様な努力をしていく必要があるのか、殊に、弁護士へのアクセスにあたって、取扱分野がわかりにくいといった批判があり、当会でも、専門研究制度といった企画を進めていることなどの説明がなされた。
 更に、高梨会頭から、現在の商工会議所での法律相談等への取り組み状況などについて説明があり、今後は会員に対して、啓発や案内をしていく必要があるだろうといった話があった。この点については、松井委員長も、「法律相談センターも個人向けだけでなく、企業にも目を向けた法的サービスの提供が必要と考えている。今までは接点がなかったが、この懇談会をきっかけとしたい」との考えが示された。
 懇談会では、この他にもいろいろな意見が出て、予定の時間を大幅に超過したが、引き続き同じ会場で懇親会が行われ、和やかな雰囲気の中で、活発な意見交換がなされた。
 なお、商工会議所からは、横浜市内で事業活動を行う個人でも入会が可能となったので、是非当会からも、入会を呼びかけて欲しいとの要望がなされた。
横浜商工会議所側出席者
 高梨昌芳会頭
 星野正宏副会頭
 原範行副会頭
 山上晃副会頭
 大場浪男専務理事
 松永正勝常務理事
 長孝雄総務部長
横浜弁護士会側出席者
 高橋理一郎会長
 橋本吉行副会長 
 飯田直久副会長
 田中学武副会長
 宮島才一弁護士業務対策委員長
 高橋健一郎弁護士業務対策委員
 松井宏之法律相談センター運営委員長
 仁平信哉研修委員長

あたたかい歓迎・深まる交流 韓国スウォン地方弁護士会を訪問
 高橋会長を団長とする当会の水原(スウォン)地方弁護士会訪問団は10月14日に韓国入りし、翌15日に水原地方弁護士会を訪問した。
 一行を乗せたバスが弁護士会に近づくと、車内に歓声が上がった。前方を見ると道路の上方に横断幕があり、そこには「歓迎日本国横浜弁護士協会」の文字が大書されていた。一行は嬉しさと若干の気恥ずかしさを感じると共に水原地方弁護士会の気合いの入った歓迎ぶりに大いに驚いた。
 訪問団は弁護士会で水原地方弁護士会の姜昌雄会長から歓迎の挨拶を受け、その近くの法律事務所を見学した。これら事務所はいずれも法人形式で、複数の弁護士のいる事務所であった。
 その後、水原地方法院(地裁)と、水原地方検察庁を訪問した。法廷が大きいことと傍聴席を区切る柵がないことが印象的であった。
 午後からは「韓国と日本のロースクール」というテーマで日韓合同のセミナーを行った。会場の裁判所会議室の壇上には両国の弁護士だけではなく、裁判官や検察官も並び、法曹三者それぞれからの意見が出された。韓国でもロースクールの導入の是非については議論となっていることもあり、先に導入した日本の動向を注目していることが感じられた。
 その夜は宿泊したホテルで盛大な晩餐会が行われた。伝統の衣装を身に纏って民謡や舞踊、太鼓の演奏が繰り広げられた。宴会が最も盛り上がったのはカラオケで、日韓の弁護士が交互に歌い、舞台の前で皆が踊り出した姿はまさに友好・親善を体現するものであった。日韓の若手は引き続き現地のカラオケボックスへと繰り出し、日付が変わるまで歌い踊り続け、若手同士の親交も深めることができた。
(佐藤 裕会員)

山ゆり
 酷暑、台風、地震と続き、秋を堪能しないうちに師走である
秋と言えば食欲、いや、読書である。皆様、この秋は何冊本を読みましたか
大学生のころ、学内誌に寄稿する機会があった。毎日が慌しく、読書をする時間が無い、というようなことを書いた。今にしてみれば、何が慌しかったのか分からないが、当時は、司法試験の勉強に時間を取られていたというのが自分なりの言い訳だったのかもしれない
間もなく、学内誌を読んだOBから手紙を頂いた。「読書の時間は作るものだ。『慌しい』とは『心が荒れる』と書く。『忙しい』と書かれていなくてよかった」
最近になって、近所にミニ図書館ができ、児童向けの名著を借りるのがマイブームである。延長をしてようやく一冊読むくらいの超スローペースではあるが、自分にとってはようやくの進歩である イラスト
このようなこともあり、なるべく「忙しい」とは言わないようにしている。しかし、しばしばため息をつく
昔、修習した先の法律事務所の事務員さんによると、ため息をつくと寿命が10年縮むらしい。そうすると、とっくに私の寿命は尽きていることになる。次の課題は、ため息を減らすことにしようか。
(市川統子)

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