横浜弁護士会新聞

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20004年6月号(4)

 
新人弁護士奮闘記 第54期 浜田慶信
弁護士は損か得か…
 弁護士となって損したか得したか、仕事を始めて2年半が過ぎ、最近、よく考える。
 弁護士となって損した気分になるのは例えば期日の前日に準備書面の作成に追われているときだ。元々マイペース人間で期限付の仕事が苦手な上に下手に完璧主義なので大体の所でふん切りをつけることができない。しかも時間に追われているときに限って机の端によけてある小説などに手が伸びる。なぜかこのような状況で読む小説はやたらおもしろくて困る。時間が刻一刻と過ぎる。眠いから朝早く起きてやろうと思っても心配でよく眠れないことがわかっているので眠い目をこすり書面の作成にとりかかる。
 他方、得したと思うのは事件が無事に終わり喜ぶ依頼者の顔を見たときだ。他人様のお役に立てたことが素直に嬉しい。弁護士の仕事がかけがえのないものに思える。
 そんな尊い喜びならばいつまでも浸っていたい。しかし残念ながら次の事件がそれを許さない。弁護士の仕事は私が大学までやっていたバスケットボールに似ていると思う。見事なシュートを決めても喜んでいる暇はない。すぐにディフェンスしなければ点を取られるだけだ。決してサッカーのように得点後喜びを爆発させ感激に浸ることなどできない。
 これまで私はなるべく損得で物を見ないようにしてきたつもりだ。しかし、弁護士となってからは否応なしに損か得かを考えさせられている。これからも損と得との間を往復するのだと諦めてはいるが「得した」気分をできるだけ多く味わえるよう努力してゆくことしか今の自分にはない。

私の修習日記
小さな仕事で大きな社会貢献
第57期司法修習生 マキロイ七重
 つい先日、私は横浜法律事務所の三木恵美子先生の下で、3か月間の弁護修習を終えました。
 三木先生は、ご自分で「私はオタクよ」と仰るだけあって、仕事に特徴がありました。連日、外国人事件と離婚事件がありました。今まで大切に温めてきた結婚・出産に対する夢は、すっかり潰えました。当初は、よくぞ先生は仕事に飽きないものだと感心していたのですが、何度も依頼者と会っているうちに、私にも、それぞれの依頼者に対する思い入れのようなものが生まれてきました。
 子どもに暴力を振るう母親を、「お母さん、痛いの好きなんだよ」と形容する4歳の男の子や、双方とも問題がある両親の間で板挟み状態となり、「お姉ちゃんと話していると、心が温かくなる」と言ってくれた6歳の女の子などを目にすると、放っておけなくなるのはよく分かります。これが、先生がどこへでも駆けつけ、ひっきりなしに仕事をしている所以なのだと感じました。
 どんな小さい仕事でも、1日5件こなせば、1年で1000件を優に越え、これを何年も続ければ、実はとてつもなく大きなことを成し遂げたことになるのです。これは、果たして本当に社会のためになっているのか実証できないような抽象的な理想を実現するよりも、確実に社会貢献できる方法だと思います。
 弁護修習全体を振り返ってみて、横浜弁護士会には、倫理観のある先生が多いのだということを感じました。三木先生は、法律相談を受けていて、負けるべきだと思った人に対しては、はっきりと説教なさっていました。のみならず、弁護修習中、相手方によっては他の弁護士も付いておらず、本人訴訟をするしかないという状態を何度も目にしました。
 各々の弁護士が、単純に依頼人の利益を追求することで金儲けをするのではなく、勝つべき人を勝たせようという姿勢で仕事に臨んでいるのだということがよく分かりました。法曹人口が増えて競争が激しくなっても、このような弁護士会であって欲しいです。
(指導担当 三木恵美子会員)

支部便り 相模原支部
若手が行動すべき時期に
井上 雅彦
 平成6年に横浜弁護士会相模原支部が発足し、今年で10年が経過した。節目となった今年、相模原支部会館が誕生した。「誕生した」というのが私の率直な感想であるが、いつの間にか誕生したわけではなく、支部長はじめ諸先輩会員のご尽力あってのことである。
 ある先輩会員曰く「前支部長が創設時から相模原支部に携わってきた最後の支部長であり、これからは新しい時期に移り変わる。今後は現支部長を中心として若手会員が積極的に相模原支部の運営に携わらなければならない」とのことである。
 支部会館の誕生は、新しい時期に移り変わるべき相模原支部の第一歩と捉えられるであろう。支部会館のスペースの活用など具体的運営は今後の課題である。司法改革が急速に進められる中、相模原支部も他支部との連携を図りつつ、相模原地域司法改革懇和会など地域の実情に即した活動を展開してきた。
 先輩会員の言葉は他人事ではなく、弁護士登録4年目の自分のことであった。誰かが「活動を展開してきた」ではなく自分が「活動を展開する」べき時期が来たようである。

プロはやっぱり強かった 島朗8段の指導対局会開催される
 将棋同好会では、5月15日当会会館で、プロ棋士の島朗8段、女流プロ棋士の山田久美3段、北尾まどか初段を招いて指導対局会を行った。
 参加した会員は、東京弁護士会の会員2人を含めて11名。島8段は初代竜王のタイトルホルダーであり昨年度までA級に在位していた日本のトッププロの1人である。
 参加会員はトッププロから何とか勝利をとの思いで駒落(角落から2枚落)で挑戦したが、結局、全敗。4年連続で角落で勝っていた松延成雄会員も今回は届かなかった。時間の関係で対局途中の4局が残ったが、私の対局も含め厳しい状況であり、トッププロの強さを改めて再認識させられた。山田3段には大木孝会員が角落で、東弁の古野陽三郎会員が飛車落で勝利を収めた。
 熱戦4時間、終了後は中華街で、プロ棋士と参加者とで将棋の話に花が咲いた。
(会員 高柳 馨)

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編集後記
 ネット検索してみたら同姓同名に著名な歴史学者がいることが判った。不思議と歴史の世界が見たい気持ちに。もしかして、別の自分が発見できるかも知れない。
デスク 高橋 富雄 1面担当 二川 裕之 2面担当 常磐 重雄
3面担当 市川 統子 4面担当 勝俣  豪

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