横浜弁護士会新聞

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2005年4月号(1)

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司法改革関連会規を採択 特別基金も創設
 2月25日、当会会館5階大会議室において臨時総会が開催された。急速に進む司法制度改革に対応して、当会の体制を作り上げるための「司法改革関連特別基金及び特別基金会費に関する会規制定の件」や「人材サポート事務所制度並びにサポート協力事務所制度創設に関する決議の件」その他の議案が審議され、全ての議案が賛成多数で可決・承認された。

第2号議案
司法改革関連特別基金及び特別基金会費に関する会規制定の件
 本間豊副会長より、提案理由が次のように説明された。来年秋に日本司法支援センターが発足する中で、扶助や国選等が弁護士会から支援センターに移管することによって、弁護士会の収支の変動が予測される。そのような状況の中で、「司法制度改革推進計画に基づく主な措置事項」において、弁護士会・弁護士に対して多々要求がなされており、その期待に応えるため、また、支援センターに移管しないような扶助の自主事業を継続していくためにも、かかる基金を設立することが急務である。具体的には、各会員から毎月3千円ずつ5年間で18万円を司法改革関連特別基金会費として会員から徴収し、これを会全体としては10年間の期限付で行うとのことであった。
 この議案に対しては、会員に負担を強いるものである以上、支出の判断について十分考慮していかなければいけないという意見、弁護士会に対する寄付金については非課税控除の対象にすることを求めて国と交渉していくべきであるという意見が出された。
 この議案は、その必要性には異論がないと考えられたためか、圧倒的賛成多数で可決された。
第3号議案
人材サポート事務所制度並びにサポート協力事務所制度
創設に関する決議の件
 田中学武副会長より、弁護士過疎地域に赴任する弁護士、司法支援センターのスタッフ弁護士、当会の都市型公設事務所に就職する弁護士等の育成、任期終了後の受入れなどをサポートする事務所を制度として創設する必要があるとの説明がなされた。続いて人材サポート事務所は既存の事務所が登録することを予定しているとのことであった。
 この議案に対しては、判事補の他職経験の場とすることは想定されていないのかという質問や、具体的に人材サポート事務所ないし同協力事務所としてどのくらいの数の法律事務所を予定しているか、という質問がなされた。これに対し、判事補の他職経験の場とするためには、現在の予算では厳しいと思われる、具体的な事務所の数については未定である、という回答がなされた。
 また、人材養成のための最低限のカリキュラムを用意する予定はあるかの質問に対しては、各サポート事務所において責任を持って育ててもらうという趣旨で、カリキュラムについては特に考えていない、事務所によっては取り扱う分野が限られることもあるが、その場合にはサポート協力事務所によって補うことで対処するとのことであった。また、今後、当会に就職を希望する新人弁護士と事務所との出会いの場を作ることに繋がる可能性もあり、その体制作りの第一歩にもなりうるだろうとの説明もなされた。
 さらに、「弁護士任官を希望する弁護士」が育成の対象から外れているのはなぜかという質問がなされ、執行部から、この制度があくまで登録後2年以内くらいの弁護士の養成を目的とするものであるとの理由が示された。そして、出席会員から、育成の対象に「弁護士任官を希望する弁護士」を付加する旨の修正動議が提出された。
 この修正動議について審議がなされた後、賛成61、反対20、棄権8で、修正動議が可決された。
第1号、第4号ないし第6号議案
 1号議案は、懲戒委員会及び懲戒手続に関する会規一部改正案であった。橋本吉行副会長からの提案理由の説明の後、賛成多数で可決された。
 4号議案は、横浜弁護士会災害復興の支援等に関する会規案であった。飯田直久副会長より神奈川県内において災害が起こった場合に、弁護士会として支援する体制を作るものであるとの説明がなされ、賛成多数で可決された。
 5号議案の横浜弁護士会個人情報の保護に関する会規案については、橋本副会長から、4月からの個人情報保護法の施行に対処するためとの説明があり、賛成多数で可決された。
 6号議案の横浜弁護士会人権擁護活動に関する会規案については、本間副会長から説明がなされ、賛成多数で可決された。
 この臨時総会で、司法制度改革に対応するための制度が二つ立ち上げられたが、激しさを増す改革の中で、当会が、いかなる事業・活動によって国民の期待に応えていくのか、会員に負担を強いつつ、限りある予算の中で行う以上、会員の納得を得られる有意義な事業・活動を進めていかなければならないことが痛感された。

山ゆり
 日弁連の視察旅行でサンフランシスコに行ってきた。いくつかの法律事務所を見学した
法律事務所は訴訟を中心業務にすえている個人事務所と訴訟部門をもつローファームとを見学。訴訟の件数は景気に左右され、景気が悪いと訴訟部門は活発になるそうである
サンフランシスコ上級裁判所も刺激的だった。家族法を審理するフロアには子どものための大きなスペースがエレベータを降りてすぐのホール部分に作ってあり、明るい雰囲気。またその他の部門を扱うフロアも廊下に光がふんだんに入る構造のせいか、大変に明るい。きっと裁判所に行くということ自体は憂鬱にはならないだろうと思ってしまった
さらに驚いたのが法廷の中。ちょうど証拠調べをしていた法廷に入ったときのこと。入口近くにあるテーブルにはお菓子やジュースが並んでいる。好きなときに飲んだり食べたりできるようだった。証人も水を飲みながら証言をしていた。法廷入口の壁に飲食持込禁止の札が出ている法廷もあったので、持ち込みについては、各裁判所の裁量にまかされているのだろう。傍聴席には難聴の人や英語以外の言語の人にも法廷傍聴ができるよう同時通訳の機能のついたヘッドホンがおいてあった
この差は陪審制の国ならではのものなのだろうか。日本でも裁判員制度が定着したら変わるのだろうか。
(澤田久代)

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