横浜弁護士会新聞

2007年6月号  −2− 目次

委員会報告 もしもの時の弁護士業務対策マニュアル
弁護士業務妨害対策委員会 熊谷 靖夫
  弁護士業務妨害対策委員会は、弁護士業務妨害に対処することを目的とした委員会である。具体的な支援内容としては、会員へ情報の提供、支援弁護士の紹介、関係官公庁・団体・弁護士への協力要請、妨害者に対する横浜弁護士会または委員会による勧告または警告などがある。
  平成18年1月、弁護士業務妨害および妨害を受けた時の対応の実態についてアンケート調査を行いその結果を委員会で分析したところ、以下のような弁護士業務妨害の実態が判明した(アンケート回答数36通)。

37%が業務妨害を経験

  弁護士業務妨害の発生状況については、調査対象期間(前回アンケートを実施した平成16年8月から平成18年1月までの約1年半)だけでも回答者の37%が業務妨害を受けたと認識していた。そして、具体的に発生した妨害行為を見てみると、面談強要・不退去が5件、脅迫が3件で直接的に相手方が妨害行為を行うケースが回答の4割あった。そのほか、無言電話など電話、FAX、Eメールを使った妨害行為が4件、名誉や信用の毀損や侮辱行為を受けたケースも3件あった。
  弁護士業務妨害を受けた時に相談を行ったかという設問については、相談しなかったという回答が9件であった。相談を行ったという回答のうちその相談相手としては弁護士仲間が3件、弁護士業務妨害対策委員会は1件のみの回答であった。

日頃からの予防と対応が必要

  回答者の37%が1年半の間で弁護士業務妨害を受けたと認識している実態をみると、弁護士業務妨害は弁護士業務を遂行するにあたってはつねに起こりうる問題であり、日頃からその予防・対応の準備が必要といえる。しかし、弁護士業務妨害に対する心構えについては、「対処は一応行っているが心配である」との回答が50%、「心配であるが対処は何も行っていない」との回答が41%あり、ほとんどの回答者は業務妨害に対して心配を抱えており、4割の回答者は心配ながらも何の備えも行っていないという実情が明らかになった。さらに、当委員会の支援制度を知らなかったという回答者が全体の3割もいた。
  支援制度を知らなかったと回答した会員の弁護士経験年数及び業務妨害被害の有無をさらに分析したところ、ほとんどが弁護士経験10年以下の弁護士であり、約6割は調査対象期間に業務妨害を受けたことがあると回答していた。
  経験の浅い会員に支援制度が特に認知されていないというアンケート結果を踏まえ、平成18年度から新規登録弁護士連続研修に参加することを決め、平成19年1月24日に伊藤幹郎委員を講師として研修を実施した。
  弁護士業務妨害対策委員会では、弁護士業務妨害対策マニュアルを編集し各会員に配布している。弁護士業務妨害の発生は決して人ごとではない。もしもの時に備えて今一度マニュアルが何処にあるのか確認して頂き、業務妨害が発生した時にはマニュアルや支援制度を利用していただきたい。
 

新聞批評
松井 宏之 会員

「見出し」と「写真」で 読みやすさを演出

“遊び心”をもっと入れても

 新聞は「見出し」で読ませるという。逆に言えば、「見出し」を見ただけで、場合によっては記事を読まなくても判った気になるということだ。例えば通常総会を取材した記事では、「悩みつつも明るく、時には楽しく」の見出しで総会の内容がなんだったのか正直わからない。予算案が中心となるのであれば、その内容となった「大幅赤字予算を可決」とか「支援センター発足で赤字幅が増大」というのが見出しっぽいのではないだろうか。まず読者が「えっ、ほんと」と思わせるような魅力のある「見出し」を考えて欲しい。そのためには、記事を書いてから見出しを考えるより、先に「見出しはこうだ」と決めてから執筆することもあると思う。
 写真をもっと活用して欲しい。全体に写真が少なく紙面に対して小さい気がする。また、執筆者の顔写真が多くなるのはやむをえないが、頻繁に登場する会長の写し方はもう少し工夫してもいいと思う。証明写真や記念写真ではなく、就任後初めて会館に入るところ、事務局で職員に話しかけているところなどは、撮影するにもそれほど難しくはないと思う。遠慮せず、会長にポーズをとってもらえばいいのである。字が詰まっている紙面はこの齢になってくるとかなり読みにくい。読者をひきつけるためには見出しも大切だが、まず読みやすい紙面が絶対に必要である。写真を大きくとり、字数を欲張らず、見出しで読ませる、そんな紙面であれば、外の印刷物と並んでいても目立つし、読みやすそうだし、ちょっと気になって読んでしまうかもしれない。
 読者の興味を引くと言う意味では「私の独立した頃」や「私のホビー」、最近の「あの店この店」などは大変面白い。会務に関連した記事はホームページや外の印刷物などによっても会員に伝達することができるが、会員が楽しむ情報や相互理解につながる情報は新聞でしかできないことだ。ボディビルの写真などは人柄が伝わってくるようだ。会員の中には四コマ漫画くらい描ける人がいてもおかしくないし、会員が増えるに従って、相互理解を深めるのは非常に重要になっている。
 最後になるが、できれば少し辛口の記事も読んでみたい。会が発行する新聞であるため、理事者が会員へ向けたメッセージを伝える役割を負っていることは当然だ。しかし、広報委員会の責任で会務に関する意見なり批評なりをする、「山ゆり」の自由さを意識的に拡大した形なら可能ではないだろうか。新聞と銘打つ以上、批評は本質のひとつなのだから。
 いずれにしても、広報委員会に携わってきた身としては、新聞作りの大変さはよくわかっているつもり。本当に皆さんご苦労様です。
 

4(良い)月15(いごん)日 電話相談

電話相談

 遺言・相続に関する電話法律相談は、2004年度から、日本弁護士連合会の呼びかけにより、全国の各単位会において、市民に対する遺言・相続に関する知識の普及に貢献し、市民に遺言の大事さを理解してもらおうと、4月15日「遺言の日」の記念行事の一環として実施されている。
 当会においても、4月13日、「遺言・相続に関する無料電話相談」が実施された。事前に、当会ホームページでの告知、また当会館内のほか、神奈川県内にある37か所の社会福祉協議会、法律相談センター支部・支所、(財)横浜市老人クラブ連合会においてチラシを掲示するなどして広報活動が行われ、当日は、当会館4階会議室に、3本の臨時電話回線を開設して、午前10時から午後4時までの間、午前組と午後組の2班に分かれて7人の弁護士が相談にあたった。その結果、相談総件数は14件、内訳としては、遺産分割が9件、遺言が3件、相続放棄が2件あり、この内、遺言の2件が継続相談となった。
 近時、信託銀行が、遺言信託業務を市民にPRし、各所で遺言セミナーを開催して、多くの人を集めている状況をみると、市民の遺言に関する関心は決して低くない。今回電話相談員として参加したが、相続人間の紛争防止につながる遺言を、より一層市民に普及したものにするために、今後、更なる広報活動を行ない、広報内容についても工夫していければと感じた。
(鋤柄 和弘 会員)
 


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