横浜弁護士会新聞

2009年9月号  −2− 目次

中高生が 模擬裁判と裁判傍聴を体験 サマースクール 2009
 7月28日、神奈川県内の中高生53名の参加のもと、模擬裁判と裁判傍聴を体験してもらう「サマースクール2009」が、当会主催のもとに開催された。
 当会では、普段から模擬裁判・裁判傍聴会・出前授業を行っているものの、学校単位での申込でなければなかなか参加がむつかしいものとなっている。そこで、夏休み期間中を利用し、また神奈川県内の中高生を対象に広く公募することにより多数の生徒に法教育に触れてもらうために開催しているのが、このサマースクールである(3年連続開催)。
 模擬裁判では、生徒たち自身が裁判官・検察官・弁護人それぞれの役を熱演した後、「窃盗の意思」の有無についての評議をおこなった。評議では様々な意見が飛び交い、結論を導いた理由付けもしっかりなされるなど、弁護士顔負けの内容であった。
 裁判傍聴では、刑事事件を傍聴し、生徒たちは実際の裁判官・検察官・弁護人の一挙手一投足を熱心に観察していた。
 生徒たちからは、「普段会話することのない他校の生徒と意見を交わすことができて貴重な体験をした」「一つの事件に対して『その事実があったのか』と判断することが想像していたより難しく、同時にとても楽しかった」「裁判や法律をぐっと身近に感じることができた」「1日を通して,裁判の重大さ,人を裁くことの大変さがよくわかった」「大人になったら是非裁判員をやってみたい」などの声が寄せられ、終了式のときの生徒たちの充実した表情が印象的であった。
 裁判員制度の実施や神奈川県知事から県教育委員長への「全県立高校で『模擬裁判』『模擬投票』が体験できるよう取り組んでほしい」旨の要請もあり、現在、法教育は活性化している。今後もサマースクールを継続し、法教育のさらなる発展に向けて取り組みたい。
(法教育委員会委員  種村 求)

消費者金融懇話会被害弁護団が会に200万円寄付 ―当会より感謝状贈呈―
 「消費者金融懇話会」というのは、平成9年頃に首都圏で債務整理をすると称して大がかりに宣伝して多くの被害者を出した整理屋集団のことである。
 その整理屋集団と提携している弁護士が大阪弁護士会から当会に登録手続をする前に関内に事務所を開設し、整理屋が債務整理を始めたことから、当会が弁護士法違反を理由として提携弁護士と整理屋を告発し、逮捕された。当時、整理屋は、1000名を超える人達から整理を引き受けていたが、その人たちの多くが金融業者との示談が未成立のまま放り出されることになった。
 そこで、当会の法律相談センター、消費者委員会、非弁・民暴委員会に所属していた会員が弁護団を結成し、被害者から委任を受けて、金融業者と示談を成立させた。
 このたび、報酬の一部の200万円を会に寄付させていただいたところ、会より感謝状を頂戴した。
 根岸義道会員を弁護団長とする34名の弁護団としては、今後同様の被害が発生しないことを、切に願うばかりである。
(消費者金融懇話会被害弁護団 事務局長 小島 衛)

常議員会のいま 常議員、是非一度ご経験を!
会員 越川 純哉(53期)
 7月8日開催の第5回常議員会は、約3時間半にも及ぶ長丁場となった。一部紹介すると、緊急上程の「日弁連意見照会『日弁連会則の改正』」の件では、代議員の選任人数の変更等重要事項にもかかわらず、日弁連設定の回答期限が短期間だったため、元理事者らが拙速だと異を唱え、次回以降に持ち越しとなった。また、「法律相談イメージキャラクター公募について某印刷会社を窓口とする件」では、提案者のご苦労が偲ばれたものの、同社を公募窓口としても、同社との爾後の法律関係が不透明である等の意見も強く、最終的に撤回された。このように、和やかでも時に厳しい意見が相次ぎ、白熱した議論が続いた。
 個人的には「司法修習生に対し給与を支給する給費制の継続を求める会長声明発表の件」に興味を引かれた。ある会員によると「世間では、貸与制に反対する意見などほとんど聞かない」とのことで、「弁護士になる者に何故税金から支給するのか」といった素朴な疑問が背景にあるかとも思われた。弁護士会が独善に陥っているわけでもないのだが、世間に対しても弁護士の果たす公的役割を今以上に理解してもらう必要性を感じた次第である。
 最後に、常議員会の喧々諤々、時に笑いもある議論に参加(傍聴か?)し、重要事項の意思決定過程に参画することはとても興味深い。常議員未経験の方々、是非一度手を挙げてみてはいかがでしょう。

裁判員裁判に向けて一致協力! 横浜法曹懇談会
 毎年恒例の法曹懇談会が、7月15日、当会会館5階大会議室にて、裁判官28名(地裁26名、家裁2名)、検察官17名、弁護士63名の参加を得て開催された。
 本年度の当番庁である横浜地方裁判所の吉戒所長の挨拶では、今年が裁判員裁判元年であり、その運用について法曹三者の力量が問われること、このように懇談会を開き率直に意見交換することが有意義であることなどの話があり、参加者はみな真剣に耳を傾けていた。
 横浜家裁の田中所長による乾杯の発声の後は話の輪がそこかしこに拡がり、裁判員裁判の準備を巡り真面目に意見を交換するグループがあれば、お酒の勢いも手伝って笑い声が上がるグループも見られるなど大賑わいとなった。
 しばしの歓談の後、当会横溝副会長による締めの挨拶があったものの、閉会後も名残惜しそうにビールを片手に話を続けている方々がいるなど、今年も盛況のうちに懇談会はお開きとなった。
 約1時間30分という時間ではあったが、法曹一元の重要性、さらには、世代、立場を超えた交流の重要性を改めて再認識させられたひとときであった。
 若手の弁護士の参加が幾分少ないかなと感じたが、これは「食わず嫌い」というものであろう。
 法曹懇談会の参加を迷われている方は,とにかく会に参加して雰囲気を感じてみることをお勧めする。
 まるで司法修習生時代のような懐かしい雰囲気に触れられ、また来年も参加したくなること請け合いである。

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