横浜弁護士会新聞

2010年8月号  −2− 目次

入管法や渉外家事事件の基礎知識習得を 外国人事件に関する研修会
 当会人権擁護委員会外国人部会は、6月25日、「初心者向け外国人事件の基礎知識」と題して研修会を開催した。
 一口に外国人事件と言っても、当事者が外国に関わりがあれば全て外国人事件である。そこで、この研修会では大きくテーマを2つに分け、前半「入管法の基礎知識」を飯田学史会員が、後半「渉外家事事件入門」を駒井知会会員が講義した。両会員は、積極的に外国人事件に取り組んでいる当部会のホープである。
 前半では、外国人はどのような資格で日本に在留し「管理」されているのか、またその違反者に対する手続の概要はどうなっているのか、についての説明があった。弁護士が入管事件に関わるきっかけとして一番多いのは、おそらく当番弁護士である。その際に適切なアドバイスをすることの大切さと、また可能な場合には、その先の在留特別許可取得の手続へ進んでいくための必要な知識の確認ができた。
 後半は、渉外家事事件における基本的な考え方についての講義であった。神奈川県にも多くの外国人が居住しており、事件の当事者が外国人であることは珍しくない。また、入管事件においても家族関係が非常に重要な要素となる。そのような家事事件における国際裁判管轄と準拠法に関する基本的な知識を教わることができた。
 最後に、資力のない外国人依頼者のためにどのような制度が用意されているのか、法テラス神奈川副所長である佐藤昌樹会員から説明があった。
 全体として、非常に密度の濃い内容を詰め込んだため、時間不足気味だったのが残念である。引き続き、有意義な研修会を企画していきたい。
(会員 石井 眞紀子)

子どもの貧困ホットライン 貧困問題の影響は子どもにも
 6月23日、日弁連が主催する全国一斉「子どもの貧困ホットライン」が、人権擁護委員会、消費者問題対策委員会、子どもの権利委員会の協力で実施された。当日は朝と昼のニュースで情報が報道されたため、相談用の5台の電話は開始直後からほとんど鳴り止まず、相談担当の15名の会員は休む間もなく次々とかかってくる相談の対応に追われていた。この場を借りて、多くの相談に対応した会員と周到な準備を整えた事務局にお礼を申し上げたい。
 結局、この日1日で受けた相談件数は合計54件に達し、相談内容も、消費者被害から、生活保護申請援助、離婚に伴う養育費請求、さらには離婚時に定めた親権の変更申立に関する相談と、実にバラエティに富んだものであった。
 今回のホットラインは、初めての試みでもあり、予想外の内容の相談も多かったが、一方で貧困問題が弱者である子ども達の生活に深刻な影響を及ぼしている実態の一端が浮き彫りになった。
 当会はこれまでも貧困問題に関わる無料電話相談等を実施してきたが、今後も貧困問題に対し、弁護士としてどのような切り口で支援していけるかを考える良い機会となった。
(会員 内嶋 順一)

女性の権利110番 電話相談ならではの効果あり
 6月25日、当会と日弁連との共催、神奈川県後援で、無料電話相談「女性の権利110番」が実施された。
 この電話相談は、日弁連女性の権利に関する委員会(現両性の平等に関する委員会)設置15周年を機に、平成3年から毎年日弁連と各地の弁護士会との共催で実施されている。今回、当会では午前10時から午後3時までに38件の相談が寄せられ、13名の会員が対応した。
 相談内容のうち最も多かったのが夫婦に関する相談であり(26件)、うち22件が離婚に関する相談であった。また、女性に対する暴力(セクハラやDVなど)についての相談も5件あり、女性の権利に特化した法律相談の重要性を感じた。
 相談者の世代別では、30代(16件)と40代(12件)が多く、他は50代6件、20代2件、60代2件であった。
 この電話相談は、弁護士会等の通常の法律相談と異なり、制限時間がないため、相談内容に応じて時間を調整することができ、メリハリのある対応ができた。また電話という方法を採っているためか、面談では相談しにくいと思われるような内容や、相談場所に赴くことが難しいような人からの相談もあり、電話相談という手段の意義を感じさせられた。
(会員 野口 杏子)

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