横浜弁護士会新聞

2011年1月号  −2− 目次

3つの会規を可決・承認 臨時総会 11・29
 昨年11月29日、当会会館5階大会議室において臨時総会が開催された。新規登録弁護士研修会規の制定、3つの会規(刑事弁護人等の推薦等に関する会規、神奈川住宅紛争審査会設置会規及び会費に関する会規)の改正の議案が審議され、全ての議案が賛成多数で可決・承認された。

【新規登録弁護士研修会規の制定の件】
 法曹人口の増大、司法修習期間の短縮に伴いOJTの機会が不足しており、法曹の質の確保が求められている。このような現況において、新規登録弁護士の研修履修を義務化するとともに、その期間、履修義務の免除・猶予についての要件・手続を規定する必要がある。
 この議案に対しては、出席会員から、海外留学や出産などのやむを得ない事情で研修が終わらない場合についての質問がなされた。これに対しては、栗山副会長から、質問のような場合は、研修を猶予するという第2条第1項ただし書きが適用されることになるとの回答がなされた。
 この議案は、圧倒的賛成多数により可決承認された。

【刑事弁護人等の推薦等に関する会規の改正の件】
 事実上の運用としていた、新規登録弁護士の国選弁護人等名簿への登載の要件、当会が名簿登載を留保する場合の手続を、研修義務化と合わせて明確にする必要がある。
 この議案は、圧倒的賛成多数により可決承認された。

【神奈川県住宅紛争審査会設置会規の改正の件他】
 当会では、神奈川住宅紛争審査会(以下「審査会」)を設置し、一定の住宅紛争についてあっせん、調停等の業務を行っている。今般、財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが行っていた住宅の請負及び売買に関する相談業務を各弁護士会が無料で実施することが可能になった(同センターが相談料等の費用を負担する)。当会は、審査会が相談業務に当たる予定であり、そのためには、審査会の業務に専門家相談業務を追加し、相談員の規定を設け、会計に関する規定を整備する必要がある。
 また、当該相談を経由して事件を受任した場合、総合法律相談センターを経て事件を受任した場合と同様に、負担金会費を納めることが適切と考えられるため、負担金会費に関する規定を追加する必要がある。
 これらの議案は、圧倒的賛成多数により可決承認された。

第8回首都圏弁護士会支部サミット 語り合おう支部の裁判員裁判
 昨年11月20日、小田原報徳会館にて「第8回首都圏弁護士会支部サミット」が、関東弁護士会連合会、当会及び同県西支部の共催にて開かれた。
 このサミットは、本庁管内との司法の地域格差の解消に向けたアピール等のため、1都4県(神奈川、千葉、埼玉、茨城)の参加11支部が持ち回りにて実施している。今回は、「語り合おう、支部の裁判員裁判」をテーマに、全国10支部のみで実施されている裁判員裁判の問題を取り上げた(なお小田原支部では既に実施されている)。
 サミットに先立ち、裁判員裁判を実施している全ての支部及びいくつかの未実施支部の一部に対し、現在までの実情に関するアンケートを行い、その結果に基づいて、条件の整った裁判所支部においては、すみやかに裁判員裁判を実施することを求めた。こうしたテーマ設定の仕方は、サミット開催支部について要求するものではない点で、今までとはやや毛色が変わっていた。
 当日は、松沢神奈川県知事ら来賓の挨拶、三竹サミット実行委員長による基調報告、参加各支部紹介、弁護士フェスタでお馴染みの劇団四部による寸劇の上演、パネルディスカッション、宣言文採択と盛り沢山なプログラムであった。300人収容の会場に多くの立見がでるほどの盛況で、これまでの支部サミットの歴史においても1、2を競う賑やかな集まりとなった。
 ブログやツイッター、町内会の回覧板や新聞折込チラシ等、多様な広報戦略が功を奏したのか、130名を超える一般市民に来場してもらえたほか、沼津や福島、京都と、参加支部以外の弁護士も多く出席し、本サミットが全国的にも注目されつつあることを実感できた。
 パネルディスカッションでは、裁判員裁判に向けた取り組みに関する耳の痛い話や、裁判員裁判未実施による支部機能の弱体化の懸念といった貴重な話が出された。一方、寸劇では、コミカルさや芸達者振りに笑いや拍手が絶えないといった硬軟バランスの取れた充実した内容となり、当日の様子がNHKに放映される等、弁護士や弁護士会の活動をPRし、支部の弁護士の心意気を各方面に伝える有意義なイベントであった。
(県西支部 支部長  剱持 京助)

企業と弁護士との 橋渡しとなるために 〜中小企業シンポジウムの報告〜
 昨年11月18日午後1時から、神奈川中小企業センタービルにおいて、中小企業シンポジウムが行われた。
 今回は「非正規労働者の雇用管理」をメインテーマに据え、佐々木光春会員が同テーマに関する基調講演を行った。それに引き続き、澤田久代会員のコーディネートの下、佐々木会員、かながわ労働センターの職員、及び中小企業診断士の3名によるパネルディスカッションが行われた。
 シンポジウムの参加者は計31人と、会場の割にはやや寂しい人数だったが、内容はとても充実しており、参加者にとって大変勉強になった。
 さらに、シンポジウムに引き続き、午後3時からは同会場において中小企業経営者向けの無料法律相談会が開催された。制限時間を超えて熱心に相談をする方もおり、大変充実した相談になっていた。
 中小企業経営者向けの無料相談窓口である「ひまわりほっとダイヤル」も昨年4月から開設され、徐々に中小企業と弁護士との距離が近づいてきたと感じられる。ただ、やはり弁護士の企画するシンポジウムというと敷居が高く、参加をためらう方も多いようだ。
 今後、我々弁護士も、このようなシンポジウムはもちろん、その他にもいろいろな局面で企業と弁護士との距離を縮める努力をしていく必要があると感じた。
(会員 飯島 俊)

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