横浜弁護士会新聞

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2000年2月号(3)

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横浜地方裁判所長 佐藤歳二さんに聞く
各界から現状の裁判制度につき批判がなされていますが、まず裁判に時間がかかるという批判について、いかがお考えでしょうか。
 批判の要因の一つは、法曹内部の感覚と、現在の情報化、国際化された国民生活・取引のテンポとのずれにあると思います。裁判にかかる平均期間は、諸外国と比較しても遅くないし、昔と比べればずいぶん早くなっているのですが、我々の考える以上のスピードを要求されているということだと思います。
 また、公害、薬害、特殊行政事件、特許事件等の専門的知見を要する事件は確かに時間がかかっており、スピードアップが必要だと思います。そのためには専門家の協力を得ることが必要ですが、裁判所では鑑定人の確保に務めているほか、争点整理の段階からの専門家の関与についても検討しています。また、専門家調停委員の活用もすすめています。
裁判遅延の原因の一つとして、裁判官数が足りないという意見がありますが。
 裁判官一人の訴訟だけの取扱い事件数を見れば、むしろ昔の方が多かったようですが、迅速性を要求される程度が強まって弁論期日の間隔が短くなっていること、専門的事件が増えていること等から、裁判官が精神的に負担を感じていることはあると思います。また、特に都市部では執行事件や破産事件などが急増傾向にあります。最近では年間数十名単位で裁判官の増員がされていますが、裁判官の人数だけが増えれば解決するというものではなく、内部的には書記官・事務官、さらに法廷・調停室も必要ですし、弁護士の協力なども整わなければならないと思います。
裁判の迅速化と適正さについて。
 裁判には迅速性と適正さが両輪として要求されますが、気持ちとしては、従来は要求の程度が「適正・適正」と二回言ってから「迅速」という感じであったのが、最近では、逆に「迅速・迅速」と二回繰り返して「適正」とくる感じになってきたように思います。これも、基本的には国民が選択すべきことですが、一方を重視すれば、他方はある程度後退するのはやむを得ないことと思います。ただ、迅速といっても、それはあくまで当事者のための迅速を考えるべきです。また、急に迅速だけを優先すると、適正面を忘れがちなので、十分注意しなけばならないと思っております。
 迅速という面では、一回期日で終わる少額訴訟はその一つの実験だと思いますので、国民がこれを良しとすれば、こうした制度を拡大していっても良いのではないでしょうか。
次に、裁判官が市民的感覚からずれているとの批判については、どうお考えですか。
 裁判官は、常に紛争という病理現象から社会を見てしまうので、世の中のいわば生理現象を見るために、裁判所としても、若手裁判官に民間企業や行政庁、報道機関などへの出向や施設見学などをしてもらっております。しかし、基本的には裁判官個人の世間を知ろうという努力にかかっていると思います。私は、弁護士の方々とも仕事以外でもっと接触するといいと話しているのですが、若手裁判官はどうしても自制する傾向があるように思います。
裁判官の市民的自由についてのお考えは。
 市民的自由があることは当然です。政治的自由も含まれるとする国もありますが、その是非は終局的には国民の選択することだと思います。この問題については、制度論として十分に議論してほしいと思いますが、このことと裁判官の市民的自由の問題は別です。
 裁判官としては、例えば訴訟に発展しそうな問題への関与は自制するべきでしょうが、日常の交際の中でそういった問題に直面して判断をすることに意味があり、判断する場面を避けることなくいろいろな人と付き合うべきだと思っています。
(インタビュー  会長 岡本 秀雄) 

 50期 本田 正男
 五〇期の本田と申します。横浜で実務修習を経験させていただいた縁で、弁護修習中にお世話になった高柳先生に声をかけていただき、そのまま高柳・安藤法律事務所に席を置かせてもらっています。事務所は、川崎にありまして、裁判所から歩いて三分程の所にありますが、昨年の九月に引っ越しをして多少広くなり、自分用の部屋もいただいています。
 部屋が広く快適になったせいかどうかは分かりませんが、私の場合、もともと長かった事務所に居る時間がさらに伸びる傾向にあり、最初の頃は、せいぜい、コーヒーメーカーを買ってきたり、手の爪を切ったりしていただけだったのが、次第に、私の居る限りCDがかけっぱなしとなり、TVを買ってきて観る様になり(ちなみに、このTVは、パソコン画面も写せるマルチディスプレイの液晶パネルなので、依頼者から聞きとりをしている最中には、反対を向けて、パソコンの画面上の起案中の文章を同時に依頼者にも見せながら作成することができます)、そして、最近では、お香を焚いたり、歯を磨いたり、靴下を脱いで足の爪を切ったりするまでに堕落してしまいました。ちなみに、現時点での到達点は、夜ナベをする際に、ズボンを脱いで、パジャマに着替えて執務するようになったことです(下半身パジャマになるのは、依頼者が帰った後にしていますが……)。
 という訳で、このように、いつもバタバタとして、忙しくみえるせいか、「もう、いっそのこと横浜で独立したら。」とか、「そろそろ会務整理した方がいいですよ。」などと連日関係各位よりありがたい助言を頂戴している今日この頃なのですが、ほとんど、放し飼いといって差し支えないほど、好き勝手にさせてもらっている私としては、現状をただ黙認しているボスの高柳に対して、ただただ感謝する以外にはありません(こうゆう唐突な落ちだと深読みをする人がでてきそうですが、文字通りの意味しかありません)。

常議員会レポート
警察官による取り調べ中の暴行事件 相模原警察署へ「警告」を可決
 第九回常議員会は出席者二四名を得て開催された。
第1号議案
日弁連・関弁連関係各種委員会委員等選任、及び行政関係者各種委員会委員等候補者推薦の件
   人事委員会の推薦を受け、異議なく承認された。
第2号議案 人権救済申立事件警告の件
   議案の内容としては、前回リポートにおいて報告したとおりである。
   多くの常議員から質問が提出され、説明委員として出席した人権委員会委員長と担当委員がそれに答えた。前回に引き続き、活発な議論がなされた。その議論の中心は、
  1、担当警察官が公判廷の証言でも認めていた、机を叩いたという事実を認定する必要は無いのか。
  2、殴打したという事実や机をぶつけて怪我をさせたという事実は、申立人により担当警察官が刑事告訴され、然しながら「嫌疑なし」で不起訴処分となり、又、付審判手続きが取られていないようであるが、人権委員会としてはどの程度の証明力で認定すれば足りるのか。
   以上の議論の末、前記1の事実の認定も加えた上、警告する事となった。但し、文章等については、人権委員会と協議の上、理事者一任で承認可決された。
第3号議案 入会申込者の入会許否の件
   山形県弁護士会からの登録換申請で、異議無く許可された。
第4号議案 事務職員冬期賞与支給の件
   総務委員会の議論、本年度は職員の給与体系が大幅変更された点などが説明され、承認可決された。
第5号議案 営業許可申請の件
   所謂「サービサー法」は、サービサー会社の取締役に弁護士が就任する事をサービサー会社の要件として定めている。本件は横浜弁護士会として初めて取り扱う事案である。
   理事者から、法務省の事務ガイドラインや日弁連の基準等が資料に基づいて説明された。活発な質疑応答がなされ、その結果、次回は未回答または要調査問題について理事者が調査の上回答する事とし、本議案は継続審議となった。なお、本件の解釈並びに運用については、様々な問題点がある事が明らかになり、慎重な対応を行なう事が確認された。
   パート職員採用の件、指定住宅紛争処理機関受入れの件、並びに、新民事訴訟法運用特別委員会が規則に基づき一二月末日をもって解消される事などが報告された。
(副議長  箕山 洋二) 

常議員からズバリひとこと
 常議員会においては、様々な議題につき検討せざるを得ない結果、往々にして「木」にのみとらわれ「森」を見るのを忘れがちですが、個々の案件を検討する上で、司法の新時代を担う我々会員に課せられた使命は、司法システムの社会的基盤を強化しもっと利用しやすい制度にしてほしい、との国民の要請に応える視点を忘れないことだと思います。残された任期、この「軸足」を大事にして議論に臨みたいと思っております。
(47期 亀井 文也) 

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