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7 債務整理分野に関する弁護士と他士業との違い

(1)「自己破産・個人再生申立て/その申立てのための相談」に関する弁護士と他士業との違い

弁護士 司法書士 行政書士 税理士 社労士
弁護士 司法書士 行政書士 税理士 社労士
自己破産・個人再生申立て/その申立てのための相談 × × ×

 「自己破産」とは、債務者自らが支払不能であることを理由として債務を支払う責任を免れるために裁判所を利用する手続です。
 「個人再生」とは、住宅等の財産を維持しつつ債務を減額してもらうために裁判所を利用する手続です。

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、自己破産や個人再生について代理人として関与することや、その申立てのための相談を行うことができ、その権限についての制限もありません。

 【司法書士】は、自己破産・個人再生申立てのうち、自己破産申立書や個人再生申立書を作成することができます。
 もっとも、【司法書士】は、自己破産申立書や個人再生申立書の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる申立書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
 また、【司法書士】は、申立書を作成するだけで「代理人」ではないことから、破産審尋期日・免責審尋期日・債権者集会期日等に依頼者と同席することは許されていません。
 さらに、【弁護士】による「代理人申立て」とは異なり、【司法書士】が自己破産申立書や個人再生申立書を作成した場合には「本人申立て」として扱われることから、以下の点で【弁護士】による「代理人申立て」とは異なる取扱いがされています。

① 自己破産申立ての場合

(a)東京地方裁判所に対する自己破産申立てについては通常管財事件として扱われ(手続が簡単な同時廃止事件として扱ってもらえない)、高額な予納金を用意する必要が生じます。

(b)横浜地方裁判所及びその管内の支部(川崎・小田原・横須賀・相模原)に対する申立てにおいて管財事件となる場合には、「代理人申立て」よりも高額な予納金を用意する必要が生じます。

② 個人再生申立ての場合

 横浜地方裁判所及びその管内の支部に対する申立てにおいては、「代理人選任申立て」の際には選任されることがほとんどない再生委員の選任がなされることとなり、再生委員選任のための予納金(18万円)を用意する必要が生じます。

 【行政書士】は、自己破産・個人再生申立てやその申立てのための相談をおこなうことができません。
 自己破産・個人再生申立てを含む債務整理とは、依頼者に代わってその債権者に対し照会をし、債権の内容・額・取引履歴等について調査をした上で、債務額を確定し、終局的には債務を整理するもので、一連の債務整理の処理手続は一体をなすものです。
 そのため、依頼者に代わってその債権者に対し照会をし、債権の内容・額・取引履歴等について調査をするといった行為も、その債務整理の重要な一部分となることから、これに【行政書士】が関与することは弁護士法第72条違反として許されていません。

 【税理士】・【社労士】は、いずれも、自己破産・個人再生申立てやその申立てのための相談を行うことはできません。

 自己破産・個人再生申立てに際しては、高度な法律的判断に基づいて適切なアドバイスを行う必要がありますし、「代理人」として関与できなければ適切な処理ができないケースもあります。
 このような事態にも対処することができるのは、【弁護士】だけです。

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(2)「任意整理/任意整理のための相談」に関する弁護士と他士業との違い

弁護士 司法書士 行政書士 税理士 社労士
弁護士 司法書士 行政書士 税理士 社労士
任意整理/そのための相談 × × ×

 「任意整理」とは、裁判所が関与することなく、債権者との間で交渉し債務の減額や支払期間の延長をはかる手続です。

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、任意整理やそのための相談を行うことができ、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、任意整理やそのための相談を行う権限を認める根拠となる規定がないので、これらを行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、債権額が140万円以下のものについての任意整理やそのための相談を行うことができます。
 もっとも、任意整理に際して貸金業者等から債務者に対し訴訟を提起されることも数多くありますが、【認定司法書士】であっても、事案が複雑であるといった理由で簡易裁判所に係属する訴訟が地方裁判所に移送されたり、簡易裁判所における判決について控訴されたりした場合には、それ以上関与することができません。

 【行政書士】は、任意整理やそのための相談をおこなうことができません。
 任意整理を含む債務整理とは、依頼者に代わってその債権者に対し照会をし、債権の内容・額・取引履歴等について調査をした上で、債務額を確定し、終局的には債務を整理するもので、一連の債務整理の処理手続は一体をなすものです。
 そのため、依頼者に代わってその債権者に対し照会をし、債権の内容・額・取引履歴等について調査をするといった行為も、その債務整理の重要な一部分となることから、これに【行政書士】が関与することは弁護士法第72条違反として許されていません。

 任意整理やそのための相談を、なんらの制約もなく行うことができるのは、【弁護士】だけです。

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(3)「過払金回収/過払金回収のための相談」に関する弁護士と他士業との違い

弁護士 司法書士 行政書士 税理士 社労士
弁護士 司法書士 行政書士 税理士 社労士
過払金回収/過払金回収のための相談 × × ×

 「過払金回収」とは、利息制限法の制限利率を超えて支払った利息を元本に充当した後も余剰がある場合に、その余剰金員の返還を求めるものです。

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類の作成やその作成のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、過払金回収やそのための相談を行う権限を認める根拠となる規定がないので、これらを行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求額が140万円以下のものについての過払金回収やそのための相談を行うことができます。
 もっとも、過払金回収に際しては貸金業者等との間の任意交渉だけでは十分な回収ができず訴訟提起をして解決をはかる必要があることが多くなっておりますが、【認定司法書士】であっても、事案が複雑であるといった理由で簡易裁判所に係属する訴訟が地方裁判所に移送されたり、簡易裁判所における判決について控訴されたりした場合には、それ以上関与することができません。

 【行政書士】・【税理士】・【社労士】は、いずれも、過払金回収やそのための相談を行うことはできません。

 過払金回収やそのための相談を、なんらの制約もなく行うことができるのは、【弁護士】だけです。

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