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インコの羽が色あせないのはなぜ?

2020年01月31日正村 哲也弁護士

 先日,雪化粧した富士山を眺めながら富士花鳥園に行ってきました。目を奪われたのは,色とりどりのインコ。赤,青,黄,緑。実に鮮やかな色。そして絶妙の配色。組み合わせは多種多様です。写真で筆者の手に乗っているのは,緑色の「オオハナインコ」です。

 最近知ったのですが,多くの鳥の羽の色は,時間がたっても色あせないそうです。例えば古い洋服を取り出すと,大抵色あせています。しかし,年老いてもインコの羽の色は鮮やかなままです。なぜでしょうか。

 鳥の羽の色は,必ずしも色素によって生み出されているわけではありません。実際,インコの羽には青色や緑色の色素はないそうです。羽に緑色が付いているわけではないのに,緑色に見えるというわけです。とても不思議ですが,なぜそうなるのでしょうか。

 この謎を解くカギは,「構造色」です。鳥の羽の表面には,非常に細かい凹凸があります。その凹凸に光が当たるとき,光のぶつかり具合によって,特定の色の光が強く反射します。この構造によって,特定の色素がなくても,私たちの目にはその色がついて見えるのです。これが構造色の仕組みです。この構造は時間が経過しても変わりません。それで,鳥の羽はいつまでも色あせないのです。

 自然界に見られるこのような構造色の仕組みを利用して,色あせないものを作る研究開発が進んでいます。もしかすると,変色しない衣服の生地や,色あせないフルカラーのディスプレーが製造されるようになるかもしれません。

 このように生物の構造や機能から着想を得た新しい科学技術を生体模倣技術(バイオミメティクス)といいます。実用化されたものとして,新幹線の空気抵抗軽減技術(カワセミのくちばし,フクロウの羽),接着剤なしで接着できるテープ(ヤモリの足)などが有名です。クモの糸を模倣した合成繊維による製品開発も進んでいます。

 人の知恵をはるかに超えた知恵が自然界には至る所に見られます。そのことに,いつも驚嘆させられます。時には,仕事で疲れた心身をリフレッシュさせるため,外に出かけて自然界の美しさとそこに秘められた知恵に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

写真1

富士花鳥園で撮影した緑色のオオハナインコ(オス)

 

執筆者情報

弁護士名 正村 哲也

 

こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です

 
 
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