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生成AIと弁護士業務(2025年5月現在) |
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2025年05月02日澄川 圭弁護士
ここ数年、生成AIが急速に普及しました。その能力は驚くべきもので、様々な分野でその可能性が語られています。
弁護士の世界も無縁ではありません。SFの世界の出来事のような、質問に答え文章を作成する生成AIは、業務に大きな影響を与え始めています。
良い側面ばかりではありません。アメリカでは、訴訟書類に架空の裁判例が含まれていたことで、弁護士が生成AIに書類を作成させていたと発覚したケースが複数報道されています。これは、弁護士倫理の問題であると同時に、生成AIがもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」という問題が顕在化した事例といえます。
こうしたハルシネーションの危険性や、依頼者の重要な情報に関わる情報漏洩のリスクなどを考えると、少なくとも現時点では、生成AIに弁護士業務の全てを任せることは到底できません。(弁護士が業務に活用するにあたっては、個人情報保護法の検討が重要です)
とはいえ、使用方法を誤らなければ、生成AIは非常に有用なツールです。例えば、事務所で使う見積書や契約書の雛形の作成が、数十秒でできてしまいます。外国法調査なども、情報ソースを見つけるのが格段に楽になりました。
もちろん、AIが生成した情報は誰も責任を取らない「たたき台」に過ぎません。専門家として正確性を検討し裏取りをする作業は不可欠です。それでも、一から情報収集や文書作成をするのと比べれば、時間や労力を大幅に削減できます。適切に活用することで、専門家だからこそ提供できる付加価値をさらに高めることにつながります。
20年ほど前には、パソコンを使わずに仕事をする弁護士も一定数いました。現在では、パソコンなしに業務を行うことはほぼ不可能です。生成AIも、パソコンと同様に、使いこなせないと仕事にならない時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。
ちなみに、このコラムを生成AIに書いてもらったかどうかは、読者の皆さんのご想像にお任せします。
執筆者情報
弁護士名 | 澄川 圭 |
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事務所名 | 澄川法律事務所 | |
事務所住所 | 川崎市川崎区東田町6-2 ミヤダイビル2階 | |
Webサイト | https://sumikawa.net/jpn |
こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です