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会長声明・決議・意見書(2013年度)

原発事故による損害賠償請求権の消滅時効に関する 特例法成立にあたっての会長声明

2013年12月12日更新

 

 本年12月4日,「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案」が参議院本会議で可決,成立した。

 

 本法律は,特定原子力損害(原子力損害の賠償関する法律3条1項の規定による原子力事業者が賠償の責任を負うもの)に係る賠償請求権に関し,民法724条において,①「3年間」とされている消滅時効期間を「10年間」に延長し,②「不法行為の時から20年」とされているいわゆる除斥期間を「損害が生じた時から20年」とするものである。

 

 当会は去る11月13日に,福島第一原発事故に係る東京電力及び国に対する損害賠償請求については,民法724条の3年の短期消滅時効及び20年の除斥期間が適用されないとする立法措置を早急に講じることを求める会長声明を発表したところであるが,本法律はその声明に沿うもので,被害者の消滅時効に対する不安を当面の間取り除くものとして評価しうるものである。

 

 しかしながら,本法律が国家賠償請求権についてまったく触れていない点は,前記会長声明に照らして問題であるといわざるを得ない。原子力政策はいうまでもなく「国策民営」として推進されてきたものであり,今回の事故について国の責任が追及される余地のあることは当然で,現に既に全国で提起されている損害賠償請求訴訟のほとんどは東京電力の責任と共に国に対しても損害賠償を求めている。国の責任をも追及することが被害者の切実な願いだからである。

 

 当会は,今後とも被害者の早期かつ完全なる賠償及び生活再建の実現に全力を尽くしていくものであるが,政府及び国会に対しては,国への責任追及に関しても民法724条の3年の短期消滅時効及び20年の除斥期間が適用されないとする立法措置を早急に講じることを改めて求めるものである。

 

2013(平成25)年12月11日

横浜弁護士会

会 長  仁平 信哉

 
 
 
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