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会長声明・決議・意見書(2021年度)

夫婦同姓を定める民法750条を改正し、選択的夫婦別姓の導入を求める会長声明

2021年09月09日更新

当会は、国に対し、夫婦同姓を定める民法750条を速やかに改正し、選択的夫婦別姓制度を導入することを求めます。

  1.  2021年6月23日、最高裁大法廷は、夫婦同姓を強制する民法750条及び戸籍法74条1号について憲法24条に違反するものではないとの決定(以下「本決定」といいます)をしました。
     民法750条は、夫婦が同じ姓を称すると定めています。これを受けて戸籍法74条1号は、婚姻届に夫婦が称する単一の姓を記載するものとしており、別姓を記載した婚姻届は受理されません。本決定は、夫婦別姓の婚姻届を受理するよう求めた事件における最高裁の判断です。
  2.  憲法は、個人の尊厳を保障し(憲法13条)、婚姻に関して法律が個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない(憲法24条2項)と定めています。個人の姓名は、個人のアイデンティティそのものであり、個人が自己の姓名を選択し、これを呼称することそれ自体が保障されなければなりません。
     ところが、本決定は、ほぼ2015年の最高裁判決を引用したにとどまり、夫婦が単一の姓を称さねばならない必要性・合理性について、個人の尊厳に基づく詳細な検討を行っているとはいえません。本決定の反対意見が述べるように国連の女性差別撤廃委員会が2003年及び2009年に民法750条を改正するよう国に勧告したのに引き続き、2015年最高裁判決後の2016年に3度目となる勧告を行っていることからも、国会の怠慢は明らかであり、本決定は不当です。最高裁は人権の最後の砦として明確に違憲の判断を示すべきでした。
  3.  もっとも、本決定において4名の裁判官が違憲と判断し、さらに合憲と判断した裁判官らの補足意見においても、国会における真摯な議論を期待する旨が表明されました。
     法制審議会は既に1996年に選択的夫婦別姓制度の導入を答申し、当会もこれまで3度にわたって民法750条が憲法に違反することを指摘して、その改正を求めてきました(2010年3月17日会長声明、2013年9月11日会長声明、2015年12月16日会長談話)。
     国会は、このような状況で最高裁からも真摯な議論を求められたことを重く受け止めるべきであり、これ以上に議論を先延ばしすることは許されません。
  4.  以上を踏まえ、当会は、国に対し、民法750条を速やかに改正して、選択的夫婦別姓制度を導入することを求めます。そして、個人の尊厳を至上価値とし、すべての個人がそれぞれ価値ある個人として尊重され、平等に暮らす社会の実現に向けて取り組んでまいります。

 

2021年9月8日

神奈川県弁護士会

会長 二川 裕之

 

 
 
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