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会長声明・決議・意見書(2022年度)

出入国管理法等一部改正案の再提出に反対する会長談話

2023年02月02日更新

報道によれば、政府は、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案を、2021年に廃案となった法律案(以下「旧法案」といいます)の基本的枠組みを維持したまま、2023年1月23日召集の通常国会に再提出する方針だと言われています。

すなわち、今回提出方針と報じられている法案(以下「再提出予定法案」といいます)では、旧法案同様、難民認定申請により送還停止の対象とされるのは原則2回までとし、3回目以降の申請者は送還可能とされているとのことです。しかし、これは庇護を求める人を迫害の危険の及ぶ地域へ送還してはならないという国際ルール(ノン・ルフールマンの原則)に違反します。

また、人身の自由を保障する自由権規約第9条1項は、出入国管理の手続過程における抑留を含むあらゆる自由の剥奪に適用されるところ、日本の収容制度については、収容期間の上限が定められず、また司法審査も保障されていません。このような日本の現行法制度については、これまでも再三自由権規約委員会等から改善を求められており、2022年11月にも自由権規約委員会から勧告を受けました。しかし、再提出予定法案では、旧法案同様、収容期間の上限や入管収容にあたっての司法審査が定められていません。

このように、再提出予定法案は、難民についての国際基準や、さまざまな指摘を受けている日本の入管制度の根本的な問題点に目を向けないまま、再提出されようとしているものです。

憲法第98条2項は、国際法の誠実な遵守を謳っており、憲法上も国際法に則った難民制度や入管制度を定めることが求められています。

当会は、これまでも、「収容・送還に関する専門部会提言及び同提言に基づく法改正に強く反対する会長声明」(2020年10月22日)や「出入国管理法等一部改正案の採決に反対し、廃案を求める会長談話」(2021年5月13日)等で問題点を指摘してきましたが、今般改めて、再提出予定法案に強く反対し、国際的な人権水準に沿った抜本的な出入国管理法の改正をするよう求めます。

 

         2023年2月2日

                 神奈川県弁護士会

                    会長  髙 岡 俊 之

 
 
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