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会長声明・決議・意見書(2023年度)

トランスジェンダー当事者の弁護士に対する業務妨害及びヘイトクライムを非難し、差別禁止の立法を求める会長声明

2023年06月15日更新

 2023年6月3日、自らトランスジェンダーであることを公表し、当事者の権利擁護活動にも積極的に関わってきた弁護士に対し、その性自認に関連した差別用語を使用した殺害予告が届き、その後も極めて侮蔑的・差別的な言葉を用いた卑劣かつ残忍な脅迫が断続的に続いた。これは、当該弁護士に対する業務妨害であって、それにとどまらずトランスジェンダーという属性に着目した差別的な動機に基づくヘイトクライムであり、対象者はもちろん、トランスジェンダー当事者全員に対する極めて卑劣な行為である。

 性的指向・性自認は、個人の生き方そのもの、個人の尊厳の根幹部分であり、これを理由とする差別は個人の尊重(憲法13条)と法の下の平等(憲法14条)に反し、決して許されるものではない(「性的指向及び性自認による差別を解消する立法を求める会長声明」2021年7月14日)。

 近年、日本社会においても性的少数者に対する差別的発言が見受けられるが、これがヘイトクライムにつながることは広く知られており、社会における差別的発言の蔓延と本件のヘイトクライムとのかかわりは無視しえないものである。ヘイトクライムは、直接被害を被った当事者だけではなく、同一の属性を有する全ての者を不安と恐怖に陥れ、また、人々の差別感情を助長し、更なるヘイトクライムを惹起する危険があるばかりか、対立を煽って社会を分断し、冷静な議論を放棄し民主主義社会をも破壊するものである。

 本件は、単なるトランスジェンダー当事者の問題にとどまらず、私たち社会の問題であり、毅然とした態度で対峙しなければならない。

 性的少数者に対する差別解消に向けては、昨年公表された第7回日本政府報告書に対する国連の自由権規約委員会の総括所見においても、性的指向及び性自認に基づく差別を明示的に禁止する法律が存在しないことに懸念が示されており、今回の事件は、改めて明確な差別禁止法の必要性を示したものである。

 当会は、本件トランスジェンダー当事者の弁護士に対する業務妨害及びヘイトクライムを強く非難するとともに、性的指向及び性自認を理由とする差別を禁止する立法を求めるものである。

 

                         2023年6月14日

            神奈川県弁護士会

                          会長 島崎 友樹

 
 
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