2024年03月08日更新
1 2023年10月7日のイスラム組織ハマスの攻撃に端を発したイスラエルとハマスとの武力衝突は、すでに約5カ月に及んでいる。
イスラエルは大規模空爆や地上戦などにより激しい攻撃を繰り返し、ガザ地区の死者は、3万人を超え(2024年2月29日現在)、その約7割が女性と子どもであり、子どもの死者だけで既に1万人を超えているという。イスラエルの攻撃は、病院や難民キャンプなどにも及び、また、ガザ地区が封鎖されているために、住民は、極度の水、食糧、燃料、医薬品等の不足に苦しんでおり、病院すらも十分に機能していない状況で、多くの人が亡くなっている。また、すでに、ガザ地区の住民の85% を超える190万人が住むところを追われて難民となり、劣悪な環境での生活を余儀なくされている。
2 国際人道法は、紛争当事者が、医療組織、民用物を攻撃の対象とすることを禁じ、文民の保護、とりわけ女性や児童は特別に尊重されることを定め、また、食糧や水等、人の生存に不可欠な物の遮断や人質を禁じている。国際人権法(自由権規約)も、生命に対する権利の保障を定めている。
イスラエルによる現在のガザ地区への攻撃はこれらの国際法に明らかに違反する。たしかに、イスラエルの攻撃は、ハマスの攻撃を受けてのものであるが、背景には、ガザ地区が長きにわたり、イスラエルにより封鎖され、住民は極端に抑圧された生活を強いられてきたという経緯があるのを看過することはできない。ハマスによる当初の攻撃も、国際法に違反すること、人質は直ちに解放されるべきことはもちろんであるが、その後のイスラエルの攻撃は、既に述べたとおり、明らかに非人道的な無差別攻撃であり、受けた攻撃との均衡も失しており、その被害は極めて甚大であって、即座に停止されなければならないものである。
3 日本国憲法は、徹底した恒久平和主義に立ち、前文で「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と定める。
当会は、かかる日本国憲法の理念に基づき、これ以上の犠牲と人道危機の拡大を食い止めるために、イスラエルに対してガザ地区での武力攻撃の中止を求め、イスラエルとハマスに対して即時の停戦を求める。
同時に、日本政府に対し、国際社会と協力して、即時停戦の実現に向けた働きかけと人道援助、及びパレスチナとイスラエル間の平和の実現と相互承認の関係の構築に向けて、力を尽くすことを求める。
2024年3月7日
神奈川県弁護士会
会長 島崎 友樹
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