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会長声明・決議・意見書(2024年度)

憲法記念日を迎えての会長談話

2024年05月02日更新

日本国憲法が施行されてから77回目の憲法記念日を迎えました。

日本国憲法は、基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義を3原則としています。
 国民主権も恒久平和主義も基本的人権を守るためにありますので、3原則の中で一番 大切なのは基本的人権の尊重です。日本国憲法が最高法規とされ、これに反する全て の法律や国の行為が無効とされるのも、基本的人権を守るためです。
 基本的人権とは、人が生まれながらにして当然にもっている基本的な権利であり、 誰からも侵すことができないものです。その中心的な内容は、個人の尊重と幸福追求権です。

 日本国憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福 追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政 の上で、最大の尊重を必要とする。」と定めています。現代風にいえば、ダイバーシテ ィ&インクルージョン(多様性と包括性)ということであり、国民それぞれが多様な 生き方を送ることを国が認めて応援するということです。

 日本には、高齢者・障がい者・外国人・LGBTQなど様々な人々が一緒に暮らし ています。自分と違う生き方の人には違和感を持つかもしれませんが、そういう人た ちを理解し寛容な気持ちで接することが大切であり、他人が幸せになろうとすること を個人の価値観で妨げてはならないと思います。神奈川県弁護士会が今年取り組んで いる選択的夫婦別姓の実現に向けた活動も、そのような理解の上に立っています。

 世界に目を向けると、ウクライナやイスラエルのガザ地区には、戦争で悲惨な状況 にある人たちがいます。平和がどれほど大切なのか、戦争というものが基本的人権を どれだけ侵害するものなのかということは、テレビやインターネットに送られてくる 映像を見るだけで痛いほど分かります。

 日本国憲法は、前文において「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏か ら免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と謳い、9条では戦 争を永久に放棄すると定めています。基本的人権の尊重の大前提として、常に平和を 追い求めていくという姿勢が恒久平和主義です。

 また、日本国憲法は、同じく前文において「政府の行為によって再び戦争の惨禍が 起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し」 と謳っています。国民主権とは、私たちが国の政治を行う権利があるということであ り、その責任も私たち自身が負うということです。日本国憲法の恒久平和主義を実の あるものにするためには、私たちが不断に努力していかなければなりません。

 神奈川県弁護士会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士で構 成される公法人として、今後も、日本国憲法の理念が社会の隅々にまで実現されるよ う、より一層真摯に活動を続けていく所存です。

 

2024年5月3日

神奈川県弁護士会 

会長 岩田 武司

 

 
 
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