2025年10月31日更新
本日11月3日は、文化の日です。この日は、1948年制定の国民の祝日に関する法律において、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日とされております。それは、1946年のこの日に、自由と平和を基本理念とする日本国憲法が公布されていたからです。
日本国憲法は、第二次世界大戦への深い反省の下に、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を3つの原則として制定されました。
その前文には、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」「日本国民は、恒久の平和を念願し、…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と謳われ、9条には戦争放棄、戦力の不保持及び交戦権の否認が定められております。すなわち、徹底した恒久平和主義と国際協調主義が採用されています。
このような憲法の公布から今年で79年になり、この間、日本は平和国家として歩んできました。ところが現在、世界に目を向けると、ウクライナやパレスチナのガザ地区などで戦争の惨禍が起き、多くの市民の生命が奪われ、人権が蹂躙されています。そして、世界各国において、武力への依存の傾向が強まっており、日本についても決して例外とは言えません。
しかし、武力行使は更なる武力行使の連鎖を招くだけであることは、過去から見ても明らかです。今こそ我々は、日本国憲法が掲げる恒久平和主義と国際協調主義の理念に基づき、平和の尊さを粘り強く訴え、武力によらない紛争解決の実現への道を探り続けるべきです。
日本弁護士連合会は、「戦争は最大の人権侵害である」との認識の下に、憲法公布の日である11月3日を「平和を守る全国弁護士会アクションの日」と位置付けました。そして、全国の弁護士会に対し、この11月の間に、市民に向けて平和を守るためのアピールをすることを呼び掛けております。
神奈川県弁護士会も、本日桜木町駅前において街頭宣伝活動を行うとともに、11月29日には、関内の弁護士会館において開催する「人権シンポinかながわ」と銘打つイベントにおいて、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中煕巳さんをお迎えし、「高校生と考える いま『核なき世界』をどう実現するか」という講演会を開催いたします。
このようなイベントを通じ、当会は、日本国憲法の掲げる平和主義の理念の大切さを訴えてまいります。そしてそれとともに、多様性の尊重を前提に、あらゆる人の個人の尊厳を守ろうとする日本国憲法の精神が、社会の隅々にまで行き渡るよう、引き続き力を尽くしていく所存です。
2025年11月3日
神奈川県弁護士会
会長 畑中 隆爾
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