横浜弁護士会新聞

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2000年8月号(1)

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 平成一二年六月一二日、「民暴委員会一〇周年を回顧する集い」がロイヤルホール・ヨコハマで開催された。あいにくの雨模様ではあったが、神奈川県警察本部関係者・財団法人神奈川県暴力追放推進センター関係者そして当会理事者、非弁護士取締・民事介入暴力対策委員会関係者ら九〇名以上が出席した。
 この集いは、民暴委員会の一〇周年を回顧するとともに、「民事介入暴力対策マニュアル―誰にでも解決できる民暴事件―」が平成一二年三月に発刊されたことを記念してのものでもある。
 集いは、非弁・民暴委員長による民暴委員会一〇年の歩みの紹介に続き、会長、横山雅之県警刑事部長、吉田昇市暴追センター局長らの挨拶の後、初代民暴委員長の山下光会員の音頭で乾杯となり、会場各所で、立場は違えど一〇年の間に共に力を合わせて民暴と戦ってきた関係者らの懇親が深められた。ことに、転勤等で各所に散らばった警察関係者らは、さながら民暴対策同窓会の様相であった。
 民暴委員会一〇周年を回顧しようという、この集いの趣旨から挨拶をした出席者のほかに、全国民暴横浜大会(平成四年)の運営を担った大村武雄、日下部長作、陶山圭之輔、小林嗣政会員ら、稲川会森野組明渡断行の仮処分で共に苦労した菅原紀雄麻生署長、北田幸三会員ら仮処分代理人など、数十名の方々が演台に招かれインタビュー形式で発言する趣向となった。小島衛副委員長、松浦光明副会長、花村聡会員らによるインタビューの中では暴力団事務所明渡しにあたって防弾チョッキを着用して臨場した警察関係者や、暴力団事務所近隣に実家があったということで周辺住民の取りまとめに奔走した当会会員らの苦労話・裏話や、こと民暴事件に対しては理論を忘れ「イケイケ」に豹変してしまう某会員の存在等も明らかにされ、より一層民暴委員会一〇周年の歴史を振り返るムードが高まった。
 インタビューの後には、若手委員らの努力によって発刊にこぎつけた「民暴マニュアル」の紹介がなされ、あらかじめ閲覧用に会場に置かれていた「民暴マニュアル」は多数の出席者が手に取っていた。
 集いは、池田忠正実行委員長の挨拶をもって終了となったが、予定時間を四〇分もオーバーする程の盛況であった。ベテラン・中堅会員にとっては節目としてこの一〇年を振り返る大変貴重な機会であったとともに、若手会員にとってはこれからの民暴委員会を担っていく勇気を与えられる場となった。
(非弁・民暴委員 小澤 靖志) 
<池田忠正実行委員長談>
 こんなに大勢の皆様に最後まで盛り上げていただき感激しております。多くの警察関係者、多くの当会歴代会長だけでなく、会内の幅広い方々のご参加を得たことは、民暴委員会の一〇年間の活動が認知評価されたと同時に、広く市民のための弁護士会を目指す当会の成長と柔軟性を内外に示すものと思います。これで励みと勇気を得た民暴委員はこれからもきっと張り切ることでしょう。なお、「民暴マニュアル」は全国弁護士会で好評を得ています。是非、手にとってご一読下さい。


ニ〇年間、公益委員の重責を果たす
 六月八日、ザホテルヨコハマにおいて、榎本勝則会員の神奈川県地方労働委員会会長退任を慰労する会が催された。
 会では、永井会長の挨拶に引き続き、榎本会員が「結果的に公益委員を二〇年間勤めたことになるが就任するまで労働法をまったく勉強したことがなく、就任当初は専門用語に戸惑った」とのエピソード、本年三月に地労委が中労委に対し審級制度の見直しに関する提言を行ったこと等を紹介しながら、お礼の言葉を述べた。
 当日の出席者は八一名。印象的であったのは、日頃労働者側の代理人として活動している会員も使用者側として活動している会員もお互い多数が出席していたことである。稲木俊介会員の「地労委は使用者側に厳しいという印象をもっているが、榎本会員は公正であり、ともかく信頼のできる委員であった。」との慰労の言葉を受けて、伊藤幹郎会員が「労弁として三〇年になる。色々な委員を見てきたが、榎本会員の審問指揮はてきぱきしていて素晴らしい。稲木会員とこれまで意見が一致することはなかったが、『榎本会員が公正である。』との意見にはまったく異論がない。」と述べ、拍手喝采を浴びた。
 当会が推薦する公益委員はこれまで二期四年で退任するのを通例としていた。榎本会員が通例とは異なり二〇年間もの長きにわたり公益委員を勤めたのは「当会の会員から地労委の会長を出す」という当会の悲願を実現するためであり、榎本会員は見事その重責を果たした。
これからもよろしく
<榎本会員のコメント>
 この度の私の神奈川県地方労働委員会会長退任にあたり、お忙しいところ慰労会にご出席頂き、大変有難うございました。
 早いもので、昭和五五年四月、横浜弁護士会から神奈川県地方労働委員に推薦されて今年で二〇年になりますが、幸い四年前に会長に就任でき、この度何とか無事退任する運びとなった次第です。
 これもひとえに会員皆様のおかげと、深く感謝しております。
 幸い健康でありますので、もう暫くの間、弁護士業務を続けて参りたいと思っておりますので、これからも宜しくお願いします。

 平成一二年度の関東十県会定時懇談会は、六月二三日に栃木県宇都宮市のプラザインくろかみで開催された。形式的な議題をこなした後、栃木県弁護士会提案にかかる事項について懇談に入った。税務申告にかかる問題、成年後見候補登録の件、住宅紛争処理機関指定の件の各事項について、杉原、滝本、松井の各副会長が当会の現状を報告した。
 特に、税務申告の問題は、市民サービスの拡充による収入増と弁護士会が非営利法人であることとの二律背反性をどう調和させるか、という問題に帰着すると思われ、各会の対応の違いが顕著に現れる問題であった。
 弁護士の業務広告が解禁され、市民のための司法改革の大きなうねりの中で、弁護士会そのもののあり方も、考え直さなければならない時期に来ていることが感じられた。
(松浦光明副会長) 

山ゆり
 二〇年も前、英語で書かれたカタログを翻訳する機会があった。それは新しい形のガードレールの特徴を記したカタログだった。訳してみると英語としては分かるのだが、どうしても理解できない部分がある。散々考えた末、気がついた。ガードレールを設置する目的が違うのである
それまで私は、ガードレールというものは自動車から歩行者を守るためのものだと思っていた。しかし、このカタログは、ガードレールが自動車の運転者を守るためのものであることを前提にしていた
欧米では、どういう場所にガードレールが設置されていたか。自動車しか走らないハイウェイである。どんなに歩行者や自動車で混雑していても、市街地の歩道にはガードレールをあまり見かけない。ハイウェイで自動車が対向車線や道路外に飛び出す危険を防ぎ運転者を守るのがガードレールの大きな役目なのである。欧米の歩行者の安全は、ガードレール以外のもので守られているらしい
これまでの日本では、交通事故の原因を運転者に求め保険による事後的救済を行うばかりであった。しかし、家族の命が失われてからお金をもらっても納得する者はいない
交通事故は当事者になるまでは人ごとであるけれども、道路を安全にして事故を防ぐことをもっと考えるべきだ。ガードレールだけに頼らずもっと人と車の分離を進める。例えば通学路だけでも人と車を完全分離するなどの工夫ができないか。そのために費用がかかり渋滞を生んだとしても、安全のために必要なコストとして国民は納得する。もう、そういう時代が来ている。
(安田英二郎) 

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