横浜弁護士会新聞

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2000年9月号(1)

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法曹人口と法曹養成制度及び弁護士法七二条問題に関し、重大な転機か
−若手会員のレポート
 日弁連執行部は、「法曹人口と法曹養成制度に関する決議(案)」、「弁護士法七二条問題に関する基本指針(案)」を七月の理事会に付議した。その内容を簡単に記載すると、決議(案)は、(1)法曹人口について、社会のあらゆる分野・地域における法的需要を満たすために、その質を維持しながら、必要な数を確保するように努める、(2)新たな法曹養成制度として大学院レベルの法律実務家養成機関における教育と新たな司法試験を行うというものであり、弁護士法七二条問題に関する指針(案)は、司法書士に簡裁における補佐人業務、簡裁管轄内での法律相談業務権限を与えるなど一定の範囲で他士業の業務範囲の拡大を認めるものとなっている。この七二条問題に関する基本指針案は、今後も理事会で審議されることになった。一方、法曹人口・法曹養成制度に関する基本指針は、これも今後も理事会で審議されることになったが、この法曹人口・法曹養成制度に関する決議案は、次回理事会の承認を得た上で、十一月一日に行われる日弁連臨時総会において付議される予定となり、緊急の検討課題となった。この決議案に対して私は、法曹一元の制度が完備されない現状で、司法研修所をなくしても良いのか(司法研修所は統一修習ということで法曹一元にとって意味があったと思う)、ロースクールでどのような教育ができるのか(弁護士の数ばかり増えて質が低下するのではないか)、様々な経歴の人が法曹になれる現在の司法試験を廃止しても良いのか、今回、緊急に新たな決議案を提案し、十一月臨時総会に付議しようとしているが、私たち一般会員に対する検討期間が充分与えられていないのではないか、という印象を受けた。与えられた検討期間は短いが、この決議案は、弁護士の将来、さらに七二条問題と併せ、私たちの将来に重大な影響をあたえることは確実であり、市民が受ける影響も計りしれない。私も今後の日弁連や当会からの情報に注意し、同期の友人などとも議論し、自分の考えをまとめたいと思う。
(会員 服部 政克) 

「21世紀の弁護士−あなたは何を期待しますか」
2000年12月12日(火)午後6時 関内ホールにおいて
☆学者・市民を交えたパネルディスカッションを予定
☆広く市民の意見を募集中(9月14日締切、詳細は事務局小島まで)
☆当日は、これに先立ち人権賞の授賞式を予定


判事・検事・弁護士一一九名が歓談
 七月七日(金)午後五時半から、本年度の横浜法曹懇談会が開催された。
 当日は、七夕だというのに、台風の接近に伴い、風雨が強まりつつあるというあいにくの天候であったが、それにもかかわらず、横浜地裁から一八名、横浜家裁から六名、横浜地検から二一名、当会から七四名が参加し、会場である弁護士会館五階の大会議室が狭く感じられるほどの盛況さであった。
 法曹懇談会は、法曹三者の懇親を深めるために、地裁、家裁、地検、当会の順番で当番庁となって、毎年一回開催されてきた伝統ある行事である。
 今年は当会が当番に当たっていたことから、冒頭、会長が開会の挨拶を行った。
 引き続き、来年度の当番庁である横浜地裁の佐藤歳二所長の音頭により乾杯がなされ、その後は、終始堅苦しい挨拶なども一切ないまま、裁判官、検察官、弁護士が入り乱れ、会場のそこここに歓談の輪が広がった。
 とりわけ裁判官が、気さくに検察官や弁護士に話しかけ、積極的に交流を深めようとされているのが印象的であった。
 果てしなく続くかと思われた懇談会も、午後七時半、当会の滝本太郎副会長の閉会の挨拶により、一応お開きとなった。
 それにしても、天候が悪いなか、各庁の長がいずれも、最後の最後まで在席されるなど、大いに盛り上がった懇談会であった。
(会員 中村 俊規) 

関東弁護士会連合会
理事長 小林 嗣政  
 本年度関東弁護士会連合会定期大会・シンポジウムは、九月二二日(金)千葉市の幕張プリンスホテルで開催されます。(後記)
 定期大会は関弁連の大切な行事の一つであり、毎年時に適したテーマについてシンポジウムを行うと共に、関弁連の提言・決意を表す宣言・決議を行っております。
 本年度シンポジウムのテーマは「犯罪被害者支援と弁護士・弁護士会の役割」です。
 このテーマについては地元会である千葉県弁護士会を中心に、シンポジウム委員会が昨年以来熱心な研究を継続し、欧米等の視察をはじめ犯罪被害者に関する多くの事例を莵集し、弁護士・弁護士会の今後の活動に役立つ成果をまとめ上げ、大会当日皆様に発表することになっております。
 私は全国八つの弁護士会連合会(ブロック会)がそれぞれその地域の特性を踏まえ、より主体的にブロック会としての役割を果たしていくべきものと考えております。これによって各単位弁護士会の多重会務の解消が図られ、ひいては当該地域の特色と管内会員の要望を、より正しく反映できる弁護士会活動につなげることが可能となるのではないでしょうか。
 犯罪被害者支援の問題も、ブロック会が取り組むにふさわしいテーマの一つです。
 横浜弁護士会は十県会最大の会員数を擁する弁護士会です。会員の皆様が多数参加され、この大切な行事を意義あるものとして下さる様、お願いする次第です。
9月22日(金)
午前9時30分〜午後1時:シンポジウム
午後2時〜午後5時:定期大会・表彰式
午後5時30分〜午後7時:懇談会

山ゆり
 福島大学に刑事えん罪事件で有名な松川事件の全記録が保存されている資料室がある。この事件は、一九五〇年代に行われた裁判なのだが、弁論要旨だけで、本棚一本に並びきれないほどの膨大な量がある。それがなんとすべて手書きで、カーボン紙で複写して作成してある。そのころの弁護士達の手作業での熱心な仕事ぶりが伝わってくる力作である
先輩弁護士に聞くと、一九八〇年頃までは法律事務所には和文タイピストがいて、ガチャンガチャンとタイプで準備書面を打ってもらっていたそうである
証拠もまさに手書きで、「正写」したり、「青焼き」で一枚一枚焼いていた時代が長く続いていたそうだ。それに比べると今はパソコンが普及し、レーザープリンタであっという間に印字し、コピー機はもちろん新民訴法施行後はファクシミリも大活躍である。わずかな期間の間に、ずいぶんと便利な世の中になったと隔世の感がある
しかし便利になった分、弁護士の仕事に余裕が出来たのであろうか。どうも私の実感としては、機械化が進み便利になればなるほどむしろ忙しくなっているのではないかと思うのだが…ちなみに、私の事務所があるビルが昨年オートロックになり、門限がなくなった。そのため、二四時間日曜祝日関係なく事務所に出入りができる。お陰で、私は休日も深夜も早朝も仕事ができる「便利さ」を手に入れることとなった。でもこれって悲惨な状況なんじゃないだろうか
「便利さ」って何だろう。もう一度原点に戻って考え直したいものである。
(芳野 直子) 

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