横浜弁護士会新聞

back

2000年9月号(2)

next
 昨年6月相模原支部において行われた会名変更を求める支部決議に端を発し、今年、にわかにこの問題が注目を集めている。9月6日の会員集会での議論に向け、賛否両論を紹介する。司法改革の嵐の中、我々はこの問題について、どのような判断をなすべきなのであろうか。
■やっぱり「神奈川県弁護士会」
佐久間 哲雄 
 わが横浜弁護士会の会名について、某会員から会報に寄せられた一文に曰く、「野鳥全般の研究を目的とする団体が、『日本野鳥の会』という名称でなく、『日本すずめの会』という名称を使用しているようなものだ」と。
 相当キツイ皮肉だ。嘆くべきか喜ぶべきか、人は、実害が及ばないような問題に対しては融通無碍に対応する。その結果は先延ばしだ。
 かくして、会名変更検討委員会の長年の作業も空を切るような結末と相成った次第で、同委員会は、会内組織の簡素化の時流には勝てず解散となってしまった。
 さて、実害が及ばない筈(と思っている)の会名について、他会はどんな対応をしてきたか、ご参考に供したい。
 東京三会と北海道四会については、歴史的・地理的特殊事情があるので除くとして四五府県をみてみると、県名と会名とが一致するのは四一単位会、一致していないのは当会を含め四単位会である。
 なお、一四単位会が、一九五五年以降に「○○県」弁護士会と会名変更をした。
 司法改革が進行中の現在、広く県民に開かれた弁護士会にふさわしい名称は、聞いても読んでもすぐわかる「神奈川県弁護士会」ただ一つではないか。
■顔と名前
横山 裕之 
 「では川崎弁護士会もあるのですか」と突然相談者から聞かれた。二年程前の法律相談での出来事である。「横浜弁護士会」が「神奈川県内に法律事務所を持つ弁護士が加入する法定団体である」ということは、市民も知っていると思っていたので戸惑った。
 それ以来弁護士会の名称が気にかかり、機会がある度に話を聞くと当会が昔から会名で苦労したことがいろいろ分かってきた。例えば、一九八〇年に当会創立百周年記念事業として県下の小中校生に懸賞論文を募ったところ、横浜市以外の市町村関係者から「なぜ横浜市弁護士会に協力をしなければならないのか」という質問を数多く受けたこと、昨年の長洲前神奈川県知事の県民葬の際、実行委員会の名簿では「横浜弁護士会」は「神奈川」ではなく「横浜」という名称の団体の中に記載され、献花の順番も殆ど終わりの方であったこと等到底書ききれない程である。
 そして最大の問題は、市民に対する弁護士会の顔ともいえる当紙及びホームページ等の媒体において「横浜弁護士会は神奈川県内に法律事務所を持つ弁護士全員が加入する法定団体です」と断らなければならないことであると思う。顔と名前は一致させるべきである。
■会の規模も昔と変った、会名も変え時
清水 規廣 
■好みは横弁でも理屈は県弁
三木恵美子 
■私も会名変更には賛成です
輿石 英雄 

■「横浜」が好き
三浦 修 
 私は「横浜弁護士会」という名称が好きである。「よこはま」という言葉のもつ、スマートで、洗練されたイメージに魅力を感じるのである。
 「横浜弁護士会」の会名は、横浜地方裁判所に対応して名付けられている。弁護士会は地方裁判所管轄下に事務所を有する弁護士で構成されており、地方裁判所に一致する会名は実体に合致した十分な合理性を有している。
 会名変更論の根拠は、「横浜弁護士会」という名称が、神奈川県内に事務所を有する弁護士全員が加入している弁護士会であるという実体を反映していないということにある。しかし、「横浜」弁護士会という会名故に県民の「人権擁護」に支障をきたした事実は聞いたことがないし、とすれば右根拠はそれほど本質的な論拠とは思えない。
 そもそも会名変更問題は、「二〇年前」に問題提起されたのを受けて会名変更検討委員会が設置され、検討の結果、五年前に、反対多数で「変更しない」として決着している。今、この問題を再度取り上げるのは時間の無駄遣いであり妥当でない。
 弁護士会を取り巻く問題点との関連を二点だけ示す。
(1)会財政が逼迫し、会費値上げが検討されている中で、相当な経費増が見込まれる「会名変更」は控えるべきである。
(2)広告の解禁に伴い弁護士間の競争も激化する中で、単位会の名称を持つイメージも重要になろう。その際、「神奈川県」より、「横浜」のスマートで洗練されたイメージの方が威力を発揮することは明らかである。
 さらに、会名変更の動きの中に埋没される問題点がある。即ち現行の各支部組織につき、横浜弁護士会の会規・会則上その存在根拠を定める規定はなく、従って、当然支部宛の支出根拠もない。このため、小田原支部の庁舎立ち退き問題に関連し、庁舎工事中の移転先の賃料について、会計上の問題で解決できないでいる。今の現状では、本部が(1)各支部において、県民(国民)は、本部における場合と同じサービスが受けられているのか(2)各支部の会員は、本部の会員と同じサービスを会から受けているのかという点を正確に確認できず、さらには(3)右各サービス内容に格差があっても、その是正が出来ないおそれを生じている。このような単位会自体の存在意義を問われる問題点が放置されているのである。
 このような状況の中で、なぜ無理矢理、今、横浜弁護士会の会名を変更しなければならないのか?その前にすべきことが山積しているのではないか?私は会名変更には反対である。
■弁護士会は単なる地域を基礎とした職能集団ではない。
 会名にはそれなりの存在理由と伝統があり、更なる人権活動が求められているいま、会名変更にエネルギーを費やしている時ではない。
木村 和夫 
■とにかく横浜が好きです
山田 尚典 
■横浜でいいじゃないですか
山本 一行 
■親しくなじんだ「横浜弁護士会」を応援します
篠崎 百合子 

 標記の研究会が七月二四日午後四時から六時まで弁護士会館において開催された。参加者は八〇名。  今回は第二回目として、東洋英和女学院大学教授石渡和実氏を講師に迎え「成年後見における身上配慮義務」についての講義が行われた。同氏は障害者福祉が専門で、福祉現場の実情にも通じており、法的観点に拘泥しがちな弁護士にとって、福祉領域の幅広い視点からの極めて有意義な講義内容であった。
 この一〇年の社会福祉の動向や社会福祉構造改革の概要、権利擁護のキーワード等の解説を踏まえて、現行の成年後見制度の基本理念と新民法における成年後見における身上配慮義務とは何かについて具体的な話があった。
 これらの講義には、これから後見人(保佐人、補助人も含む)になろうとする者にとって必須の内容が込められており、今回研修に参加されなかった会員においては、レジュメだけにでも目を通しておく価値がある。
 社会福祉の関連では、ノーマライゼーション理念、地域生活支援、人権思想(Advocacy)、自立観の変遷、権利擁護の関連では、権利意識、エンパワメント(empowerment)、身上配慮における身上保護の重視と生活支援そしてケアマネジメント等の理解が必要とされている。
 成年後見人には財産管理だけではなく生活支援の役割が期待されており、法的知識のほか幅広い素養を身につけなければと痛感させられた。

 今回の事務員研修のテーマは「民事保全手続について」。身近ではあるが何となく自信のない分野でもある。
 どんなに注意して揃えた必要書類も、書記官に言わせると決まって不備があるというから実に不思議だ。会場がいつにも増して満員なのをみると、皆それぞれ苦労した経験があるのではないか。
 講師の先生の説明は流れるようでいささかも無駄がない。
 比較的閉ざされた環境にあるので耳から入る情報は新鮮である。手順さえふめば保全手続自体は難しくないことが分かってくる。
 このうえ模擬申立てでもやれば完璧なのだが。実はそのあたりに私達が仕事を覚える難しさがある。
 結局難しいのかそうでないのか何が言いたいのかというと、初めての又は久々の、しかも大抵は急いでいる申立てでも落ち着いて作業できる自信をいかに身につけるか。一策として今回のような研修の機会はどの分野に限らず必ず何か得るものがあると考えて参加すべきだと、今更ながら思った。
(山田・池田法律事務所 重田 薫) 


▲ページTOPへ
内容一覧へ