横浜弁護士会新聞

back

2002年3月号(2)

next
当会の決意新たに 一・二四会員集会
司法改革と法科大学院設立に向けて決議を
 一月二四日午後三時から、当会館五階において、司法改革と法科大学院設立に向けた決議案について意見を交換するための会員集会が開催された。出席者は会員三九名、修習生三名の合計四二名であった。
 昨年一一月に司法制度改革基本法が成立し、一二月には司法制度改革推進本部が設置されるなど、現在、司法改革は第二段階に入っている。
二つの決議案
 集会は仁平副会長の司会で進行した。まず須須木会長の挨拶で始まり、次いで小野副会長から決議案の説明があった。
 一つ目の決議案は、市民の司法を実現するため、弁護士任官の促進や裁判制度の改革、被疑者による国費による弁護人制度の実現、弁護士へのアクセス障害の除去など、司法改革の諸問題について、全会員が相応に負担を負いながら会をあげて取り組むことを決意するというものである。
 また、二つ目の決議案は、神奈川県内に設立される法科大学院について、出来る限り市民の要望を反映させ、教育内容に意見を述べ、教官の派遣についても協力し、市民全体にとって必要な法科大学院の設立に向けて会をあげて取り組むことを決意するというものである。
 この後、会場からの質問・意見が相次ぎ、発言を求める挙手が途切れることはなかった。以下、会場からの発言を要約して紹介する。
意見・質問が続出
 まず、何のための会員集会なのか、誰に向けた決議なのか分からないという質問とともに、参加者が少なく、会員に参加を促す努力が足りないのではないかという厳しい意見から始まった。これに対して、小野副会長は、昨年七月に行われた司法制度改革審議会意見書に関する会員集会で会内の議論が尽くされていないと感じたが、司法改革は会員一人一人の課題であるから、会内議論をさらに喚起するため、臨時総会だけではなく今回の会員集会を開催することにしたと説明した。
 次に、一月一六日の神奈川新聞一面で報道された当会の「神奈川の司法一〇の提案」を今回の決議に生かすべきであるとの意見が出された。これに対して、小野副会長からは、今回の決議は当会としての取り組みの問題であるが、「神奈川の司法一〇の提案」は会外に向けたものであり、反対する会員はおそらくいないと考えられるから、これを総会決議事項にはしなかったとの説明がなされた。
 また、司法改革の成否は人材養成の場となる法科大学院にあり、理事者が各期別の会合を回って教官の推薦等の問題について本音で意見交換し、会内合意の形成に双方向で取り組むべきであるとの意見があった。
 さらに、司法制度改革審議会意見書について、決議案では「基本的な視点自体については相当程度に共通する部分を有している」との表現がとられていたが、意見書の評価は分かれるところであるのに、これを積極的に評価する決議をすることについて疑問を呈する意見があった。これに対しては、すでに実践の場に移っていることを前提に議論する必要があるとの反対意見や、意見書で示された裁判員制度や特例判事補制度の段階的解消は勝ち取った成果であり、前向きな議論をすべきであるとの反対意見があった。
当会が何をすべきか
 途中、山下光法科大学院検討特別委員会委員長から現在の法科大学院を巡る議論の状況について報告があり、最後に小島副会長が次のように議論を取りまとめた。
 すなわち、司法改革の議論について周知徹底がなされていない今だからこそ会員集会や決議が必要である、具体的な立法を待っていては議論に参加できなくなる、今回の決議は意見書の評価を下すものではなく、現実に動いている状況の中で当会が何をすべきか考えるためのものである、そして神奈川県に暮らす人たちが安心して司法を委ねることができる弁護士会であるべきで、そのための後輩を養成すべきであるとした。
全会員が問題意識を
 司法改革を巡る諸問題については、会員間でも関心の程度や情報の量に差があり、問題意識が全会員に浸透しているとは言い難いと思われる。今回の決議はその議論喚起の一助とするとのことであるが、やはり参加者が少ないとの印象は否めない。問題意識を全会員に共通のものとし、負担の公平を図るためには、さらなる努力と工夫が必要と思われる。
 当会として、司法改革の諸問題に全体として取り組むため、二月一九日の臨時総会で「市民の司法の実現に向けて横浜弁護士会をあげて取り組む決議」と「神奈川県内の法科大学院設立に取り組む決議」の二つの決議が採択された。
 今回の会員集会は司法改革の状況と法科大学院の準備状況を報告するとともに、臨時総会に提出する決議案について会員と意見を交換することを目的として開催された。

当会委員会が分科会担当 原則逆送事件と付添人活動
全国付添人経験交流集会(高知)
 二月三・四日、高知にて、日弁連子どもの権利委員会主催一一回全国付添人経験交流集会が行われた。高知市は前日から降り続くあいにくの雨模様だったが、各地から熱心な会員が多数集まり活発な議論がなされた。
 初日の全体会では、「虐待と付添人活動」をテーマに、多摩少年院教育調査官の藤岡淳子さんが、少年院、刑務所、鑑別所等での勤務経験をふまえ、虐待経験が子どもたちに与える影響について、非行との関連を中心に講演した。福岡県弁護士会からは、「身柄事件全件付添人制度」導入後の状況の報告がなされ、全国各地の弁護士会に対し、可能な範囲での取り組みを呼びかけた。
 二日目は、六つの分科会に分かれての討議となったが、当弁護士会は、第二分科会「原則逆送事件と付添人活動」を担当し、具体的な事件を題材に、新たに設けられた少年法第二〇条二項「原則逆送」規定の問題点を検討した。同条項が適用される事件においては、単に保護に適しないというだけでなく、刑事処分が不相当であるということまで述べなければ、逆送の意見を書かざるを得ないという家裁調査官の苦悩、今後「原則逆送」なのだからということで、安易に検察官送致する裁判官が増えるのではないかという危惧、それらをふまえて付添人はどのように活動していくべきか、など各地の弁護士から問題点が次々と出され、今回の改正が現場にもたらした重大な影響を改めて実感した。
 各地の会員のさまざまな試みに励まされ、今回突きつけられた全件付添人制度導入や原則逆送事件の対応など、困難な課題に取り組む決意を新たにして、散会となった。
(子どもの権利委員会委員  中久木 都)

どうなる?国費による弁護人の推薦等に関する準則
 一月一六日、当会館五階大会議室において「国費による弁護人の推薦等に関する準則」の策定についての意見交換会が開かれた。日弁連からの意見照会に応え会内での意見取りまとめのために、刑弁センターが主催したもの。
 冒頭、須須木会長から、「弁護士自治にも関わる奥の深い、重い問題であり、会員の活発な議論と知恵の結集を望む」との挨拶があった。
 引き続き、岡田尚刑弁センター委員長から、準則策定作業の背景と経過説明があった。岡田委員長は、日弁連の公的弁護人準則検討チームの座長を務めており、国費による被疑者弁護人制度実現との関係なども交え、「日弁連刑弁センターは『刑事弁護ガイドライン』に対する批判を踏まえ、(1)不適切弁護に対するミニマムなガイドラインという意味での公的弁護人推薦資格ないし推薦停止等の要件としての準則と(2)弁護活動の水準向上のための指針を二分して検討してきた。本準則は、国費による被疑者弁護人制度の実現が具体化しつつある状況の中で、国等による準則策定を回避し、国選弁護人の実質的推薦権を弁護士会に確保して弁護士自治を守り抜くために必要である」との説明がなされた。
 準則の内容について、会員からは、「証拠収集条項、情報提供条項など、判断の微妙なケースを考えると疑問のある条項が含まれている」「通信・面会の確保条項など、被疑者から懲戒申立等の手段に利用されるおそれがある」等の意見が出された。
 また、準則の性格について、「本準則は、最低基準策定ということだったはずだが、最低基準と言えるものとそうでないものが混在している」「弁護活動の指針的な条項は外し、端的に、推薦停止事項を定めた一五条を中心に整理し直すべき」との意見が複数出された。
 種々の意見は出されたものの、参加会員数が限られていたため、全会員を対象に、準則制定に対する賛否および個々の条項に対する意見を求めるアンケートを実施し、意見を取りまとめた上、二月の常議員会に諮る予定。
(会員 小沢弘子)

▲ページTOPへ
 
戻る
内容一覧へ