横浜弁護士会新聞

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2001年5月号(1)

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 就任披露を終えて一息ついた新会長に今後の抱負などをうかがった。
―会長就任おめでとうございます。早速ですが、現在の心境をお聞かせ下さい
 とても緊張しています。会内には問題が山積しています。特に財政問題と事務局問題です。会の財政は今は行政等の法律相談謝金からの納付金新設と国選事件の手数料の値上げによって一息ついています。しかし、これから同じような事態が起きると思います。先行きを見通して、計画性をもって財政問題を検討するシステム作りが必要です。またこのことと事務局問題とはリンクしています。司法改革を進めるためには事務局問題を継続的に検討するシステム作りも必要です。
―副会長をなさっていた一〇年前とでは弁護士会はどのように変わりましたか
 事務局の人数が増えました。一〇年前は十数人でしたが、現在はパートも含めて約六〇人です。会の窓口業務の増加と、会の委員会活動の活発化に伴うものと思います。平成二年に司法改革を宣言して一〇年ですが、これに対応して弁護士会としての活動が活発になっていると感じます。その成果として市民との距離感は狭まり、市民に開かれた弁護士会になっていると思っています。
―関心を持っている会務は何ですか
 関心を持っているというか責任を感じているのは、法科大学院の問題です。現在横浜国大から申出があり協議をしていますが、もちろん他の大学と協議しないという訳ではありません。法科大学院が実現した場合には、教官派遣の問題も出て来ます。誰を教官として派遣するのか、教官に対して弁護士会がバックアップをするのか否か、いろいろな問題があります。大事に慎重に検討しなければならないと思います。現在、担当委員会の会員の方々には大変苦労をおかけしています。
―会名変更についてはどのようにお考えですか
 臨時総会で会名変更すべきとする意見が過半数を超えたという事実を重く受け止めたいと思います。四月から「横浜弁護士会総合改革委員会」が設置されましたので、そこで前向きに検討していただく予定です。またこの委員会には、会の名称だけではなく、会内合意のあり方や支部規定等についても検討していただくことになっています。
―会員に訴えたいことがありますか
 横浜弁護士会の日弁連や関弁連における役割を認識して頂きたい。なかなか個々の会員が日弁連や関弁連で活躍していることについて情報が入ってきません。
 まずその情報を得た上で、他の会員の方々にも会外の会務に目を向けていただき、これに積極的に取り組んで、日弁連や関弁連をリードしてもらえたらいいなと思います。生意気なようですが(笑)。
―若手弁護士へのアドバイスがありましたらお願いします。
 若いうちに信頼できる友人と先輩を作ることが大事だと思います。何かあったら相談しアドバイスしてもらえる友人や先輩は生涯の宝です。
(インタビュアー 岩田 恭子) 

 本年四月二日午後五時半より、ホテルニューグランド三階ペリー来航の間において、当会の新理事者の就任披露懇親会が行われた。
 披露に先だって、昨年度の理事者を代表して、永井前会長から、司法改革をはじめホームページによる会員紹介や国選弁護人制度の改革、法律相談の謝金の変更等、昨年度実現した活動内容および会名変更等検討した課題などの包括的な報告がなされた。
 また、個人的にすばらしい資質を有する当会の会員につき、その力を弁護士会に結集して全国屈指の単位会にして欲しいとの激励の言葉が新理事者に送られた。
 続けて須須木会長を始め新理事者が紹介され、代表して須須木新会長より挨拶があった。一九九〇年に司法改革が叫ばれて一〇年を経過し、本年六月には司法改革審議会の正式な答申が出される予定であり、司法改革も議論から具体化へと進む中、一〇年先を見据えて第一歩を踏み出したいと決意が語られた。
 また、法曹人口の増加を原動力として生かすことが重要で、そのために法曹養成と研修の充実を図ること、法科大学院や倫理研修の充実、業務範囲の拡大に伴う能力と資質の向上を目指すこと、市民から弁護士へのアクセス、弁護士会から市民へのアクセスを改善することなどの抱負が語られた。
 さらに会務費用の増大に伴い、財務をになう委員会を設置したいなどの計画も語られた。
 次に、横浜地方裁判所仁田陸郎所長を代理して中野哲弘判事より来賓の挨拶があり、民事訴訟、刑事訴訟における新しい審理方法、新しく制定された民事再生法や被害者救済法につき弁護士会、裁判所、検察庁の三者が協力して成果を挙げてきた伝統を踏まえ、新理事者においても引続き協力をお願いするとのことであった。
 続いて、岡崎洋神奈川県知事を代理して林英樹副知事、高秀秀信横浜市長より祝辞をいただき、横浜地方検察庁坂井一郎検事正の乾杯の音頭で懇親会に入った。
 挨拶のときは若干緊張気味であった須須木会長その他の理事も、宴が進むと各テーブルを回り、出席者一同その気さくで率直な人柄に触れることができた。
 なお、右以外に来賓として出席いただいた方は次のとおりである(順不同、敬称略)。
 横浜家庭裁判所所長  原田 和徳
 横浜民事調停協会連合会会長  村瀬 統一
 横浜家事調停協会連合会会長  伊藤 正一
 神奈川県県民部部長  川口 繁男
 神奈川県広報県民課長  小野間重雄
 横浜市市民局市民局長  宇野 公博
 横浜市市民局広報相談部長  小堀  卓
 横浜商工会議所会頭代理専務理事  齋藤 史郎
 神奈川県司法書士会会長  佐藤 純通
 小田原商工会議所会頭代理専務理事  劔持多嘉雄
 東京地方税理士会副会長  石井 宏尚
 神奈川県土地家屋調査士会会長  横山 一夫
 神奈川県社会保険労務士会会長  中屋 範治
 社団法人神奈川県不動産鑑定士会会長理事  飯田 行雄
 日本労働組合総連合会神奈川県連合会会長  金子 正昭
 神奈川県労働組合総連合会議長  高橋 勝也
(栗田 誠之) 

山ゆり
 私が野球の練習中に左足の肉離れを起こし、約一カ月間戦列を離れ、松葉杖をつきながら必死に病院へ通った時のこと
名前を呼ばれ診察室に入ると、お医者さんはパソコンの画面を見ながら問診し、キーボードをたたきながら湿布薬を出しておきましょう、と言って診察は終了した。この間、お医者さんは肉離れを起こした私の左足を優しく撫でることは一度もなかった
法律事務所を訪れた自己破産免責事件の相談者が相談室に通されると、そこにパラリーガルの名札を付けた女性がパソコンに向かって座っていた。一通りの挨拶がすむと、パラリーガルから相談者に矢継ぎ早の質問が飛び、相談者がそれに応答すると、応答内容がパソコンの画面に素早く打ち込まれていった
その後弁護士が現れ、もう一度パソコンの画面を見ながら内容の確認がなされ、今後の手続きの流れや裁判費用の説明がなされた。この間約五分間。弁護士は相談者が手に汗していることや目に涙した一筋の跡を見ることはなかった
触診術ではないが、昔から体に痛いところがあれば、人は素直にその痛いところに手を当て、痛みを和らげる術を知っていた。心に悩みがあれば、やはり信頼できる親や兄弟、知人に涙しながら悩みを聞いてもらい、心の憂さを晴らす術を知っていた
専門職と言われる人たちの役割は一体何なのだろうか。法律事務所の法人化が現実味を帯びてきた現在、そのようなことを考えている。
(岡部 光平) 

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