横浜弁護士会新聞

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2001年6月号(3)

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 昭和六三年に第一東京弁護士会から当会へ登録換えしましたので在籍一三年目ですが、その間、平成六年、八年に常議員を務めましたので、常議員は三回目となります。
 ことの成り行きもあり、急に常議員となり、また、この度は議長を仰せつかりました。支部からは中野議長以来となります。
 かつての村瀬議長、佐伯議長の名采配を思い起こすにつけ、副会長経験もない私には、無事務まるかどうか甚だ心許無く、不安な思いが募ります。
 しかし、幸い温厚かつ信頼のおける湯沢副議長を得ましたので、大変心強く思っております。
 私たちを取り巻く環境には大変厳しいものがありますので、常議員会の意思決定機関としての役割は、これまでにも増して重いものがあると自覚しております。
 それだけに、とりわけ重要な問題については、できるだけ時間をとり、壮・若、男・女などを問わず、幅広く自由闊達に意見を述べてもらうようお願いしたところです。
 浅学未熟ですが、公正公平を旨として一生懸命に一年を務め上げたいと決意しておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
 これまで会務を熱心にやって来た訳ではないのにもかかわらず、どういう巡り合わせなのか、この度副議長を仰せつかりました。
 前回常議員になったのが昭和五七年ですから実に一九年振りの常議員会ということになります。常議員会の雰囲気もよく分からず、そもそも若い期の方については名前もよく分かりません。
 司法改革の大きな波がやって来ようとしています。そう遠くない時期に司法試験の合格者が年間三〇〇〇人となります。これは今までの我々の「常識」をはるかに凌駕するものです。このような時代に我々は今までの慣例にとらわれていることはできないと思います。新しい時代に積極的かつ柔軟に対応できる発想が必要だと思います。そのためにはぜひ若い期の方に積極的に発言して頂きたいと思います。
 第一回の常議員会のあとに懇親会が行われました。その場でそれぞれが自由に意見を述べたのですが、内容はほぼ共通していました。それは大事なところを重点的に議論できる議事運営を心がけて頂きたいということでした。その期待を裏切らない常議員会にしたいと考えています。

 この四月から施行された「消費者契約法」と「金融商品販売法」について、四月二〇日、石戸谷豊会員(日弁連消費者委員会前副委員長)を講師として、横浜弁護士会研修委員会主催の会員研修会が開催された。八〇名もの会員が参加し、主催者の予想以上の関心の高さであった。
 消費者契約法は消費者契約に関する一般法で、金融商品販売法は特定の金融商品に関する特別法である。研修はそれぞれの法律の逐条解説の形で進められ、最後に質疑応答がなされた。
 消費者契約法の定める取消権行使期間は、民法上の期間を大幅に短縮し、わずか六カ月ないし契約時から五年となっている。今後は法律相談を受けた際に契約時点を十分に意識する必要がありそうだ。
 また、消費者契約法の規定は非常に簡潔なため、実際の運用上、適用の有無の判断が微妙で、行政解釈が大きな意味を持ってくる。例えば本法は「事業者」と「消費者」間で締結される契約が対象となるが、「事業者」には貸アパートのオーナーやマンションの管理組合、弁護士も含まれるという。消費者問題を専門としていない会員にとっても避けられない法律であろう。
 金融商品販売法については、その適用対象が法文上列挙されているが、先物取引、郵便貯金および簡易保険は適用外であるということで、留意する必要がある。
 このように実務上重要な知識満載の会員研修会であった。
(浜田 薫) 

常議員会レポート
継続審議を経て「横浜弁護士会総合改革委員会」の設置を承認
第12回常議員会
 一乃至三号議案は計四二の人事案件(省略)。
 四号は外国法事務弁護士入会の件。
 対象者は中華人民共和国の律師であり、当会では初めてのケースであるが、特段の問題はなく承認となった。
 五号は横浜弁護士会法科大学院検討特別委員会設置に関する件、六号は司法改革審議会中間報告に対する会長声明に関する件である。
 前者は、法科大学院制度が導入されるようになった場合に、神奈川県内に公平性、開放性、多様性を備えたロースクールが設立されるようにすることを目的とする委員会を設置しようとするものである。
 後者は、公的刑事弁護に対する経済的支援の飛躍的増加を前提にしないまま公的刑事弁護制度の確立を強調する司法改革審中間報告に対して警鐘を鳴らす内容の会長声明を出そうというものであるが、いずれも理事者提案通り了承された。
 七号は人材派遣業者との派遣契約締結の件、一〇号は会館補修資金支払い免除の件であり、いずれも承認された。
 八号は「横浜弁護士会基本システム等改革委員会」を設置する件である。
 この委員会は、年度にこだわらず長期的な視野に立って当会のあり方を検討する機関であるというのが理事者の説明であったが、今一つ趣旨・目的が明確でないこと、調査室、総務委員会などとの職務分担が曖昧であるとの意見などが相次ぎ、継続審議となった。
 九号はBC級戦犯横浜裁判調査特別委員会の存続期間延長の件である。
 同委員会は三年の期限付きで設置されたものであるところ、これをさらに三年間延長しようというものであるが、同委員会関係者の危惧に反し、比較的にスムースにその延長が承認された。
 その他、緊急議案が二件と報告事項が三件あり(省略)。
第13回常議員会
 一、二号議案は人事案件(省略)。
 三号は、前回継続審議となった「横浜弁護士会総合改革委員会」(前回の「横浜弁護士会基本システム等改革委員会」を改称)設置の件である。
 前回同様、強力な反対意見が述べられたが、採決の結果、賛成一六、反対四、棄権一で、設置が承認された。
 四号は国選弁護納付手数料規則制定、五号は国選弁護人推薦に関する規則制定の件である。
 これらについては、すでに臨時総会も開かれ、この紙面でも大きく扱われているので、ここでは省略する。(ただし、常議員会でも激しい議論があったことだけは報告をしておく。)
 六号は入会申込者の入会許否の件(問題なく承認)、他に緊急議案が四件(全て人事案件)、報告案件が一件あり(省略)。
(副議長 瀬古 宜春) 

常議員からズバリひとこと
 三月終わりにおかしな夢を見た。弁護士たちが一堂に集まっている。突然建物が壊れ、屋根瓦が落ちる地震が襲った。私は直ぐに家に向かった。会長の元に戻るようにとの指示にも従わず、道を変えてまで帰りを急いでいる。この夢が表しているように、今期の常議員会ほど私は多くの議案に反対した経験は無い。かつて先輩たちの発言を苦々しく感じたことは何度かあった。今その轍を踏んでいる自分を見た時、愕然とする想いだった。激動する司法改革の中で、これまでに無い議案も多く、理事者の苦労は推測にあまりある。若い委員が真剣に意見を戦わせている姿は、会の未来を託するに充分であり、白熱する議事を適切に整理して進行した議長・副議長の手腕も見事だった。この一年の理事者の評価は、これからの横浜弁護士会史が決めることだ。忘れられない常議員会となるだろう。
(12期 日下部 長作) 

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