横浜弁護士会新聞

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2001年6月号(2)

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このシリーズでは、理事者が考えていること、取り組みたいことを会員の皆様にお知らせします。
 会員の皆様から頂いている一カ月当たりの当会会費三万八七〇〇円のうち当会へ入る金額は二万五〇〇円です。このうち三〇〇〇円が共済積立金となるため、一般会計へ純然として入る会費分は一万七五〇〇円です。
 当会の会費納入義務のある会員数はおよそ七〇〇名であり、新規登録弁護士の増加分を加えると、一年間分の会費収入からの活動資金はおよそ一億五〇〇〇万円となります。
 当会の人件費は、本年度一億七七〇〇万円の予算組みをしていますので、これだけでは不足する計算となります。
 他の収入は、国選手数料や二三条照会の手数料による収入が約二〇〇〇万円あります。
 それぞれの団体からは人件費等を負担いただいていますが、行政相談の納付金を含めた法律相談センターからの収入は本年度予算ベースで五三〇〇万円あります。
 法律扶助協会からは負担金として二六五九万円を負担いただいておりますが、民事扶助事業の国からの補助不足分と被疑者弁護等の自主事業のための負担金として会からは一八〇〇万円を支出しているため、収入は差額の八五九万円となっています。
 その他住宅紛争審査会からの約六〇〇万円、あっせん仲裁センターから一〇〇万円を一般会計に繰り入れていただいています。
 これら収入を合計すると約二億三八五九万円となります。
 決算ベースで当会の支出する経費として、会館維持費が約二五〇〇万円かかっており、消耗品等のランニングコストが約三〇〇〇万円かかります。
 人件費、維持管理費、消耗品費等のランニングコストだけで、およそ二億三二〇〇万円かかることとなり、委員会活動費等の本来の弁護士会としての活動費を支出すると赤字予算を組まざるをえないのが現状です。
 このような状況では弁護士会の活動が充分行えないとおっしゃる会員の方も多いかと思います。今後弁護士会の活動が増大すればますます人件費の金額は増大することでしょう。
 国政で言われている財政の健全化やら構造改革が当会にも妥当する状況となっています。
 このような状況を解決するためには、収入と支出のバランスを計り、収益を上げ得るものはないかを検討することが必要となりますし、本当に必要な支出とは何かを議論しなければなりません。
 予算と決算のバランスを検討し、必要な措置を講ずるためには、単年度だけの理事者の判断では限界があり、継続性を持った財務を検討するための委員会が必要であると考えています。
 会員の皆様のご協力をお願い致します。
(会長 須須木永一) 

相棒の独立が私の自立的「弁護士」のはじまり
 昔から弁護士は自由業とよく言われてきた。しかしその人にとって弁護士業が生きざまとしても自由な稼業と呼べるように成るまでには多くの克服すべきものが有るような気がする。なにもイソ弁を脱して自分の法律事務所を構えたからと言っても、それは単なる経営スタイルの変更にすぎないわけで「独立」とはよべない。その意味からして今から何十年も前の自分の事務所を持った頃の私の昔話をしても他の人には何の足しにもなるまい。今年は弁護士に成って早くも三〇年経つ。自分の個人名を法律事務所の名前にしてからも二五年だ。しかし私自身が本当に個を確立した自立的「弁護士」を自覚できたのは実はここ数年のことである。恥ずかしい話だが無自覚な私は知らず知らずのうちに、この世界のしがらみに自己憧着していったことに気がつかなかったのである。弁護士道は理の世界でありそれに携わる弁護士も当然そうであるなどと長い間愚直に信じていた。しかしある事をキッカケに「そうだ、私はこんな弁護士稼業のしがらみに縛られないもっと独立した自由な人間のハズダ」とハタと気がついた。そうすると実は同じことを考えている新しい友人にも出会えたし、又弁護士稼業も結構新鮮で楽しくやれるものだと気がついた。
 しかし私の場合こんなことに気づくためには重要なパートナーの手助けが必要であった。司法研修所から同じクラスで机を並べてズット一緒にいながら、実はこの相棒である者を或意味では、すっかり忘れていたのである。日々一緒にいるのにその存在を忘れるはずは無いが、お互いに高めあって自立するには、お互いの手助けが必要であったことにまでは、なかなか認識できなかったのである。二五年前に東京で弁護士をしていた彼女を横浜に呼んで一緒の法律事務所を開いたのも多分私がもっと自由勝手に動き回れる効果を期待してのことであったのかもしれない。その後長い間、私自身は金銭的にも事務所経営の煩わしさからも解放されて自由に動き回ることが出来たわけであるから、それこそ私の弁護士業は「自由業」の最たるものであったわけだ。しかし相模原に裁判所支部が出来たのを機会に彼女が同地に事務所を構えたために私は放り出されたような格好に成った。その時になってようやくこの業界にまつわり付いているしがらみと私自身もそれに足を取られている姿が良く見えてきて唖然とした。
 よく世間では死別、離婚、家庭内別居等、表面に出る出ないは別にしても相棒を失う話はよく聞く。私の場合は幸いにしてこの賢い相棒のお陰でやっと弁護士業における個人としての独立、自立が出来そうである。その出来映えは別の機会に話をするにしても、今「あなたの独立した頃は?」と聞かれれば、私は「そうね、数年前かな」と答えると思う。
 自由業でありながら未だラットレースをしていることに気がつかない人にこのことを捧げます。

 四月二七日、横浜弁護士会倒産法研究会主催による第七回目の講演会が横浜弁護士会館で開催された。
 講演は「民事再生法と公認会計士の調査」と題して、公認会計士の江田寛先生にお願いしたところ、一八名の参加者を得た。
 江田先生は、民事再生申立事件では監督委員の補助者としてすでに二件の事件を手掛けられている。
 今回は、民事再生手続における公認会計士の調査の手法、ポイント、報告書の作成要領、再生債務者の税務上の問題等を具体的に解説していただいた。
 手続における監督委員の最も重要な職務は第三者的見地から再生計画の履行可能性を判断するものであるが、その材料として公認会計士の調査・報告は非常に重要なウエイトを占めると考えられる。
 公認会計士がいかなる手法で、どのような観点から調査を行うのかを知ることは、監督委員に選任された弁護士にとって必須と思われ、講演は大変参考になるものであった。
(同研究会事務局長 若田 順) 

 四月六日午後五時半から、横浜弁護士会館において、公認会計士・税理士である江田寛先生による「弁護士業務に必要な税務知識」と題する講義を受講した。
 その内容は、相続税の概要を、具体的なモデルケースに沿い、申告書提出期限、相続税額計算方法、財産評価の原則や特例等を中心に解説する、というものであった。
 私は、まだ新米ではあるが、法律相談や訴訟等の過程で、相談者や依頼者の税金に対する関心の高さを目の当たりにし、税務知識が非常に重要だと日々痛感していた。また、相続の問題は、必ずどの家族も経験するものだけに、法律相談のテーマとなる割合も高く、今回の相続税をメインにした講義はとても有意義であった。
 今回の講義では、新規登録弁護士ばかりでなく、先輩方が多く出席していたことに驚いたと同時に、税務に対する弁護士の関心の高さを窺い知ることができ、その点でも有意義であった。
 (53期  中原 都実子) 

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