横浜弁護士会新聞

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2001年7月号(4)

 
 去る本年五月一二日神奈川県海老名市内のカナサシテニスクラブにおいて横浜法曹テニスクラブと裁判所選抜チームとの対抗戦が行われた。当日は盛夏を思わせる日差しの下,原田横浜家裁所長ら裁判所チームと当クラブとの間で意地と名誉を賭けた熾烈な戦いが繰り広げられた。
 試合は各チーム一三ペアで各ペアがそれぞれ二回戦い,その結果,一回戦は裁判所が一〇勝,二回戦も九勝と当クラブを圧倒した。
 試合後,裁判所チームからは「新しい世紀最初の対抗戦で歴史に残る勝利を収めた。」と喜びの声が聞かれる一方,弁護士の中からは,試合の結果をあくまで「僅差」と強弁したり,テニスクラブの体制の問題を指摘して構造改革を求める発言が出されるなど,両者の表情は対照的であった。それでも最後には互いの健闘を称え合い,より一層の精進を誓って対抗戦を終了した。今後の法曹テニスクラブにとって若手の技術の向上とベテランの体力の維持が課題であることが明らかとなった対抗戦であった。

 六月八日、九日の二日間、三浦海岸「マホロバマインズ」にて、広報委員会の合宿が行われた。
 第一日目は外部講師による、昨年度一年分の横浜弁護士会新聞についての講評であった。
 各記事の内容についての厳しい批評はもちろん、レイアウト、見出しの付け方、写真の使い方等についても鋭い(容赦ない?)指摘が多くなされた。
 新聞づくりの基本を再確認し、より読みやすい紙面を提供できるよう工夫していくことの重要性を改めて認識する良い機会であった。
 第二日目は、出席した広報委員全員により、これまでの横浜弁護士会新聞及び会報に対する反省と、今後の課題についての活発な議論が繰り広げれられた。
 特に、横浜弁護士会新聞は毎号多数の依頼原稿(広報委員以外の会員に依頼して原稿を執筆してもらもの)により構成されている。そのような現状において、速報性をどのように保っていくか、筆者の生の声を伝える意識と校正の必要性のバランスをどう取ればよいか等、依頼原稿の取り扱いについてはかなり充実した意見交換がなされた。
 横浜弁護士会新聞で人気があるのは「私の独立した頃」「私のホビー」「新人弁護士奮闘記」「私の修習日記」等である。
 そのような状況も踏まえ、会員の声をできるだけ反映しつつ「会員の、会員による、会員のための横浜弁護士会新聞」として末永く愛読してもらえるよう、よりよい紙面づくりを目指して今後も努力を続けることで出席者の意見が一致した。

弁護士の仕事は当事者に寄り添い人として紛争を解決すること
司法修習生 山口 真美 
 弁護士は『人』を扱う仕事だ。これは、私の指導担当の先生が私に向かってよく言う言葉である。弁護修習を通じて、この言葉の意味を考える機会があった。その一例を紹介したい。
 私は、交通事故に基づく損害賠償請求事件の和解期日に立ち会った。裁判所の提示された和解案は、こちら側の依頼人の主張にはとどかないものであるが、ある程度納得できる内容であった。しかし、依頼人は、相手方が事故後に不誠実な対応をしたことや事故態様について真実を語ってくれないことを考えると、和解ではどうしても納得できないと主張し、先生も和解を強く勧めることはなく、結局、和解は成立しなかった。
 私は、けっして依頼人に不利な内容ではないし、長く争われた訴訟が早期に確実に解決できることなどを考え、依頼人を和解の方向で説得できるし、そうしてもよいのではないかと思いながら聴いていた。
 その私に対し、先生は、「依頼人が事故から今までの四年の歳月を何に費やしてきたかと言えば、それは『嘆き』なんだよ。そういう気持ちをくみ取ることが大切だ」と語り、依頼人の後遺症の状況や相手方の対応のひどさ、事故を契機に仕事をなくした事情などを説明された。
 この嘆きという言葉が、依頼人が判決を求める気持ちを私に理解させた。
 弁護士の職務といえば、法律の素人に代わって法律構成をすること、訴訟などの手続を進めること、様々な交渉を行うこと等々が思い浮かぶ。しかし、当事者の代弁者としての弁護士の職務は、法律の専門家として職務を遂行すれば足りるといった単純なものではない。依頼人の思いや人生といったそれぞれの当事者の現実の中で、当事者に触れ、当事者と共に歩む、そして、人として紛争を解決することが求められている。そして、当事者と寄り添うからこそ見える真実がある。これを実感するとき、弁護士という職務にやりがいを感じることができるのだと思う。
(指導担当:岩橋宣隆会員) 

お悔やみ申し上げます。
野澤 稔之会員
 平成一三年六月一一日ご逝去
 享年二七歳
 昭和四八年一二月五日生
 平成一二年四月当会入会

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編集後記
 弁護士が扱う主な商品(?)は、「心」だと思っている。金と敷居が高いと思われている法律事務所だが、殆どの弁護士は、依頼者のために誠心誠意活動して、依頼者の様々な負担を少しでも軽くしてあげたいと考えている。  
 自由競争を是とする経済法則は、「心」自体を商品とは考えないであろう。
 そのような経済法則が主導して、弁護士が発言する機会が限られたまま弁護士制度の改革が進められる。個人的には、疑問とやり切れなさを禁じえない。
 このような気持ちを持つことが、既に時代遅れなのであろうか。
デスク 田中 隆三   一面担当 芳野 直子   二面担当 狩倉 博之
              伴  広樹
      三面担当   四面担当 佐藤  裕
        喜多 英博     須山 園子

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