横浜弁護士会新聞

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2001年7月号(3)

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 先月号で「財務委員会」構想についての理事者室の考えを述べました。今回は、事務局に関する課題とこれを継続的に検討していく「労務委員会(仮称)」の設置構想について述べたいと思います。
長期的展望に立った人事構想の確立が必要です
 現在、当会の職員は正職員二二名(内、川崎支部職員一名、小田原支部職員一名)、パート職員三九名(但し、交代制)、派遣職員一名(育児休業職員交替員)の合計六二名です。本年二月の臨時総会での報告や先月号の本欄「財務委員会」構想についての記事で初めて知って驚かれた会員も多いと思いますが、当会は六二名もの職員を抱え、人件費も本年度予算で一億七七〇〇万円にものぼるのです。
 この人件費は、本年度予算の収入のうち、会館補修積立金や共済積立金などを除いた一般消費に使える金額二億三八五九万円の実に七四%にもあたり、また会員からの会費収入予定の一億五〇〇〇万円だけでは賄えないことからみても如何に人件費が会の支出全体に占める割合が多いかがご理解いただけると思います。
 当会の業務は、今後益々増加し、複雑になっていきます。そのような状況のなかで、当会の職員をどのように構成し、採用し、配置していくか、職員全体の給与をどの程度のレベルに設定するか、そのほかにも労務管理、人事考課、研修などいずれも長期的展望にたった人事構想を確立し、それを踏まえて実行していく必要がある問題ばかりです。
労働条件の整備と組合に対する継続対応も重要課題
 また、当会の職員は平成一二年に労働組合を結成し、以後、組合からは給与に関する問題の外、三六協定の締結など労働条件に対する要求が恒常的に理事者に対して出され、理事者がこれに対応しています。しかし、この問題についてもなによりも年度を越えた継続性が要求されます。また早急かつ的確に問題に対応するためにも労務について豊かな経験と専門的知識が必要です。
財務委員会と労務委員会とは車の両輪
 このように、長期的展望にたった人事構想を確立し、年度を越えて継続的にそれを実行していくには、労務委員会という専門委員会の設置が必要と考えます。また、労務委員会では職員の給与体制や労働条件を検討していくことになりますが、それには当然財務委員会が扱う財政問題が深く関係してきますので、両者はいわば車の両輪として理事者を支えて行くことになると思います。両者をそれぞれ別の委員会とするか、同じ委員会とした方がよいかは今後の検討課題です。
(会長  須須木 永一) 

 さる平成一三年五月一二日(土)午後二時より、当会会館五階大会議室で、横浜弁護士会主催による子どもの日・憲法記念日の講演として、明治学院大学教授の松原康雄氏による講演がありました。参加者は、弁護士二一名、一般三〇名の合計五一名でした。
 松原氏は、最初にどのような人が来ているかを確認したうえで、「児童虐待の最近の状況と対策」と題して、聞き手にあった講演をしてくれました。
 講演内容は、(1)虐待とは何か……虐待と判断するためには専門家による総合的判断が必要であること、(2)虐待は増えているか……増えた通報についてきちんと判断できる体制と通報してきた関係機関が一緒になって援助に関わることが必要であること、(3)虐待を受けた子どもに対するケア……将来の子どもを救うためにも今の子どもを救う必要があること、(4)親に対する再発防止……ケースにもよるが再統合のため親に対する働きかけが必要であること、(5)虐待発生のメカニズム……虐待の世代間連鎖は科学的に証明されていないこと、(6)児童虐待防止法の意義と課題など、多面的なことを具体的な例を交えてお話しいただきました。
 親に十分な注意と愛情を向けてもらえていない子どもは、虐待を受けることにより親の愛情を確認するようなこともある。そういう形でしか人間関係を形成できない子どもになっていると、親子分離しても、施設で大人に対して虐待を受けるように仕向けてくる。施設内虐待を誘発させるような行動をとり集団の中の位置関係を確認しようとするし、それが出来るまで不安で仕方なく、妙に甘えてみたり困らせてみたりするといったお話しは、児童虐待が虐待を受けているその場限りの苦痛だけではなく、子どもの成長にとてつもない悪影響を及ぼしていることを実感させてくれました。  会場からは、実体験に基づく質問や意見などが出されました。
 また、この日は、講演会とあわせて午後一時から四時の間、電話による子どもの人権電話相談を行いましたが、相談が一件もありませんでした。当会では、毎週火曜日一時一五分から四時一五分まで常設の電話相談を行っていることから、ここ数年、臨時相談への電話が少ない傾向がありましたが、今年ははじめて〇件となり、来年以降の実施の是非や実施する場合の事前の広報活動等について考えさせられる結果となりました。
(少年問題委員会委員  高橋 温) 

早くも熱心な討議が行われる
第一回常議員会
 本年度常議員会レポート第一号である。
 第一回の常議員会は四月六日に開催されたが、議長、副議長の選出が主たる議題であり、議長については推薦された二名の候補者について投票が行われ、その結果、池田忠正会員が議長に選出された。副議長は無投票であり、私湯沢誠が選出された。この二名が今年度の常議員会の議長団となりますので、よろしくお願いいたします。
 緊急議案として人事案件が一号から三号まで提案されたが、格別問題なく、異議なく承認された。
第二回常議員会
 第二回の常議員会は四月二六日に開催された。一ないし三号は人事案件、五号は入会申し込み(四号は撤回)、六号は神奈川県社会福祉協議会のシンポジウムに対する後援の件であり、以上は異議なく承認された。
 九号議案は通常総会招集及び提出議案承認の件である。
 まず平成一二年度一般会計についての説明とこれに対する質疑がなされた。
 一般会計の収入は三億九九五三万五五一四円であるのに対し、支出は四億三一七万一四一一円であり、三〇〇万円強の赤字となっている。その原因は各事業部門ごとの人件費を含めた収支で見ると、弁護士協同組合は約一八〇万円、法律扶助協会神奈川県支部は約三六五万円、法律相談センターは約四一〇万円、あっせん仲裁センターは約五〇万円などの赤字になっていることなどである。
 今年二月の臨時総会における国選弁護手数料の値上げ、繰越金の取り崩しなどでまかなっているものの、繰越金も早晩底をつきそうな状況であり、地方弁護士会の活動が今後ますます拡大すると予想されることから支出も当然のことながら増えていくこと、弁護士会職員の残業も限界近い状況となっていることなどを考えると今後何らかの形で安定財源の確保を検討する必要があるとのことである。
 七号は網紀・懲戒制度改革についての日弁連プレゼンテーションに対する日弁連宛意見書の件である。
 これは本年一月二三日に日弁連会長が司法制度審議会において「懲戒審査会」の構想を含む意見発表を行ったことについて、懲戒審査会の設置について慎重であって欲しいこと、そのような構想を発表するにあたっては事前に会員の意見を聞くように求めるものであり、承認され、日弁連宛に提出されることになった。
 八号は同じテーマについて司法制度改革審議会宛に提出する意見書であり、同様に承認された。
 第二回は盛り沢山の内容であり熱心な討議がなされた。特に若い会員から活発な意見が出されており、今年の常議員会は順調な滑り出しといえそうだ。
(副議長 湯沢 誠) 
● 今年度の常議員は次の方々です ●
議 長
池田 忠正
副議長
湯沢  誠
常議員
稲木 俊介
 〃 
鈴木  滋
 〃 
大木 章八
 〃 
 〃 
大久保 博
 〃 
梅澤幸二郎
 〃 
本田 敏幸
 〃 
島   進
 〃 
黒木 泰夫
 〃 
須藤 公夫
 〃 
松浦 光明
 〃 
滝本 太郎
 〃 
宮島 才一

 〃 

杉原 光昭
 〃 
松井 宏之
 〃 
松本 素彦
 〃 
岸   哲
 〃 
篠崎百合子
 〃 
黒田 和夫
 〃 
本間  豊
 〃 
滝口 秀夫
 〃 
藤田 温久
 〃 
芳野 直子
 〃 
加藤  勝
 〃 
田上 尚志
 〃 
左部 明宏
 〃 
栗山 博史
 〃 
堀内  敦
 〃 
斉藤 秀樹
 〃 
大塚 由香
 〃 
鈴木 一徳
 〃 
小野  哲
 〃 
河合 秀樹

常議員からズバリひとこと
 初めて常議員になった。その日は寝不足だったが、とにかく出席だけはしよう(眠ければそっと目を閉じよう)と自分を奮い立たせて会議に臨んだ。ところが重要議題になると、議長から「若い方から発言してもらいましょう。」といきなり指名され、油断も昼寝もできぬといった印象。しかし、日頃あまり考えたことのない多岐にわたることがらを裏話も含めて知ることができるのは新鮮で素直に楽しい。よき弁護士会「研修」の場になりそうです。 
(46期 栗山 博史) 

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