横浜弁護士会新聞

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2001年9月号(3)

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 ご存じのとおり、六月一二日に二年近くに及んだ司法制度改革審議会の最終意見書が公表されました。日弁連から直接会員の皆様に送付されていますので、是非読んでいただきたいと思います。
 その内容は、多方面多岐にわたるもので、改革案自体は骨格だけを示しているものですから、それを具体化していく今後数年間が本当の司法改革の実現の場面といえるでしょう。
 とはいえ、この意見書が提言する諸制度のうち、いくつかのものは、今までの司法制度を大きく変えていき、私たちの在り方自体を大きく変えていく方向性を示しています。
法科大学院平成十六年四月からの設置を提言
 その中で、重要なものの一つは、法曹養成制度としての法科大学院制度の導入です。
 意見書では、平成一六(二〇〇四)年四月からの設置を提言しており、文部科学省も民刑のカリキュラム案を発表するなど、それに向けて動き始めています。
 今まで最高裁が法曹養成のほとんどを行っており、弁護士会はそれに関与するにとどまっていたのに対して、相当程度の関与が可能になります。実務教官の人選などが、その典型例です。
当会からは民・刑事専任教官各一名、非常勤教官八〜一〇名の構想
 当会では、五月一八日に法科大学院に関する取り組みの報告集会を持ちましたが、その後も横浜国大との協議を進めています。
 その中で、二〇〇四年開設にあわせて、少なくとも専任教官(教授クラスで週に三日以上の様々な関与を行う)一名を当会が恒常的に派遣することが要請されており、当会では更に専任教官一名を要求しています。民事刑事各一名は弁護士実務家教官が必要との判断にたってのものです。
 また、そのほかにも当会が責任をもって行う科目(非常勤教官)を八〜一〇コマを求めていきたいと考えています。
本年一〇月から横浜国大で実験自授業も開始
 このようなロースクールの授業は、今までの講義形式とは異なり、ディスカッションを中心とした授業とする予定です。
 そのため一〇月からは、横浜国大大学院で、完全に当会に任された授業を一コマ行うこととなっています。
 更に来年四月からは通年の授業となる予定で、ここでロースクール的な授業の実験をしていきたいと考えています。
 法曹人口の大幅な増員が現実的なものとなっている今、将来の法律家の質を維持するためには、俊英な会員がどしどし教官になっていただく必要があります。
 ロースクールの教官をやってみたい人、若い法律家の卵と接点を持ち新たな活力源を持ちたい人、是非希望をお寄せ下さい。
 また、ロースクール教官としてふさわしい方が会員におられれば、是非、教官になるようにお勧め下さるようお願いします。
(会長  須須木 永一) 

 五月二七日に会長から当会総合改革委員会に諮問された四つの課題のうちの一つ、「日弁連副会長候補者推薦の方法」について、去る七月二五日委員会としての結論を得て、答申第一号が会長に提出されました。
 当会に日弁連副会長が回ってくるのは、これまでは一〇年に一回でした。それが平成一四年度から、急に二年に一回(場合によってはそれ以上)となります。関東十県会枠の副会長が一名増員されて二名となり、横浜は隔年ごとに一名を出す運用が原則とされたことによるものです(なお今後、他会の分までかぶることがあるかもしれないと恐れられてもいます)。
 そんなにしょっちゅう? しかも来年から? かつての悲願はいまや重圧?実際、必ずしも十分な心構えができていなかったかもしれませんが、現に去る五月二五日の日弁連総会で増員は決定されてしまったわけです。そこでもう、待ったなし。この秋には、当会からの選出ルールが示されている必要がある、ということになりました。
 複数の立候補による論戦と活性化を期待する声、候補者難を危惧する声などが様々あり、今後どういう運用、人選が行われていくことになるのか、現状では未知数、というのが実際のところでしょう。それもあって、ともかく暫定的にせよ、当会の会長選挙の例によって、当会として適任者を投票で選べるようにしておく、という構想で、「日本弁護士連合会副会長候補者選出手続規則」案が作成されました。複数の立候補がある場合は全会員による投票を行うこと、それを当会の会長選挙と同時期に実施すること、投票事務の管理は選挙管理委員会が兼任する選出管理会を設けて行うこと、候補者の運動は原則として自由とすること(ただし「品位」が要求される)、などを骨子とするものです。
 なお、日弁連副会長は、形式的には日弁連代議員会での選挙で決定されますが、運用はブロック会が選出母体であり、単位会はブロック会へ候補者を推薦するのであり、本件はその推薦候補者をどう選ぶかの規則案、ということになります。
(総合改革委員会委員 福田 護)
(この日弁連副会長候補者選出手続規則は、八月九日に常議員会で可決成立し、一〇月一日から施行されることとなりました。)

今年の県民集会見ものだ
第四回常議員会
 一号から四号までは人事案件である。
 五号は平成一三年度県民集会実行委員会設置の件である。
 前回の常議員会において、多額の出費を伴う県民集会のあり方について、今までやってきたからということでただ漫然と行うのではなく、費用対効果を充分考えたうえで実施するかどうかを慎重に検討する必要があるなどの意見が出されたことを踏まえ、理事者において再提案を行ったものである。
 提案はこれまでの県民集会の内容を大胆に変えようというものである。
 (1) 場所は費用を考えて開港記念会館(貸切)及び弁護士会の二箇所とする
 (2) 今年の暮れから来年にかけての土曜日の一日の午後いっぱいをフルに使う
 (3) メイン会場ではビッグゲストを呼んでトークショーをする
 (4) その他の会場では各委員会、支部などがそれぞれ趣向を凝らした発表の場とする
 (5) 展示、バザー、法律相談なども行う
 (6) 名称は例えば「弁護士フェスタ2001インカナガワ」など新鮮な名称とする、などいわば横浜弁護士会の文化祭というイメージのものとするという提案である。
 これに対してさまざまな意見が出されたが、多数の賛成により、理事者提案が可決された。
 六号は入会申し込み許否の件である。
 七号、八号は弁護士法三〇条三項にもとづく営業許可申請(取締役就任)の件である。
 そのうち一社は自動車部品製造会社であるが、株式公開を機に弁護士を社外取締役に迎えたいとのことであり、もう一社はサービサーであるため弁護士を役員として就任させることが法律上求められているケースである。以上全て承認された。
 九号は今年の横浜弁護士会人権賞選考委員選任の件である。外部委員として加藤彰彦横浜市立大学国際文化学部教授、篠崎孝子有隣堂会長、作家の増田れい子氏、恩田重男毎日新聞社横浜支局長の四氏に就任していただくこととなった。
 一〇号は総合法律センター運営要綱細則一部改正の件である。
 一一号は横須賀支部パート職員採用の件である。
 緊急議案第一号はNTT東日本との会員情報公開ホームページ制作業務委託契約締結の件である。以上格別問題なく承認された。
神奈川司法計画一次案公表へ
第五回常議員会
 一号および二号は人事案件である。
 今年度に入って既に五回の常議員会であるのに、相変わらず多数の人事案件があるのに驚いてしまう。
 特に県、市など行政関係の人事案件が多くなってきているように思う。おそらくこのような傾向は今後増えこそすれ、減ることはないと思われる。
 人事委員会で適切な人選をしていると思われるのでその点はお任せするとしても、一部の人に過大な負担のかからないよう、各会員が積極的に会務を担っていく心構えが必要であると改めて痛感している。
 三号は平成一三年度人権賞選考外部委員選任の件である。
 前回四名の外部委員が選出されていたので残りの一名を決めるものである。大脳生理学の研究者としてマスコミでも有名な養老孟司先生にお願いすることとなった。
 四号は入会申込者入会許否の件である(承認)。
 五号は弁護士業務に関する市民窓口設置規則一部改正の件である。
 市民窓口とは、簡単に言えば、弁護士の業務処理に関する苦情の受付窓口である。現在、苦情はまず市民から電話で弁護士会の職員につながり、それを副会長が受けて、その後月曜もしくは木曜に弁護士会に来てもらって市民窓口担当弁護士が聞くという流れになっている。
 副会長が受ける電話の数は一ヵ月で数十件にものぼる。そしてかなり多くの部分が副会長の電話の応対で済んでしまい、窓口担当弁護士はせっかく待機していてもあまり有効に時間を生かせていないのが実情である。
 そこで規則を改正し、担当弁護士が直接苦情電話を受けるようにしようというものである。副会長の負担を減らし、市民窓口制度を有効に機能させるための改正ということで承認された。
 六号は職員のベースアップの件である。
 単年度の理事者において職員の待遇などの継続的な問題に対処していくのは限界があるとの指摘があったが、現在、総合改革委員会において新たな委員会の設置も含めて検討中との補足説明を受けて承認された。
 七号は神奈川司法計画一次案公表の件である。
 一次案の内容そのものについては格別異論はなかったが、本文だけでも一二五ページという大部なものであるため、どのくらいの部数を作成し、どのようなところに配布していくのかが議論された。そこで内容を公表することだけについて了承し、費用を伴う部分については次回に議論することとなった。
 八号は
 (1)関弁連副理事長を一名増員することの可否
 (2)増員された場合にその選出を関東十県会に求めることの可否
 (3)関東十県会に求めた場合の選出方法についての回答である。
  (1)(2)は可とし、(3)は意見なしと回答することになった。
(副議長 湯沢 誠) 

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