横浜弁護士会新聞

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2002年5月号(1)

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新会長にインタビュー
春濤やこらへてもなほたぎりくる
池田忠正会長
−会長御就任おめでとうございます。現在の心境をお伺いします
 前理事者との事務引き継ぎや事務局各課との打ち合わせなどを経て、会長としての責任の重さをひしひしと痛感しています。
−弁護士を目指されたのは?
 小中学校の頃は医師志望でした。周りに癌で亡くなった人がおり、不治の病を退治したいと思ったからです。しかし、中学の後半になると理数系が苦手になり、方向転換することになりました。父が弁護士だったこともあり、その父が私が一八歳の時に死亡し、ごく自然に弁護士になろうと決めました。
−俳句、ゴルフが趣味と伺っていますが
 俳句は五年前の三月、小田原での観梅会への参加がきっかけで始め、知人の医師に添削してもらうなどしていました。ある奉仕団体全国月刊誌へ「青森ねぶた祭」を見た時の句を応募したところ、いきなり特選に選ばれ、もう欣喜雀躍でした。また、その三カ月後に応募した句がまた特選となり、最近一年半では約千句を詠んでいます。ゴルフは年四〇回位ですが、今年は横浜法曹ゴルフや小田原法曹ゴルフの出場回数が減るのが残念です。
−では、現在のお気持ちを一句お願いできますか
 春濤やこらへてもなほたぎりくる
 私を会長に推して下さったたくさんの友の友情に込み上げるものを抗しきれない心境を春の浪に託したものです。
−印象に残った事件がありましたらお聞かせ下さい
 刑事では、帰化手続きを間近に控えたある在日韓国人の業務上過失致死事件です。無罪を主張して最高裁まで争いましたが、有罪となり帰化は叶いませんでした。最近二〇年ぶりにその人から帰化できたとの電話がありました。もう一つ、愛憎のもつれからある女性が男性を刺し殺したという殺人事件です。その女性は自殺行動に出たことがあり、それを機に違う人格になったと主張し、執行猶予となりました。最近では大磯町のエセ同和対策事件が印象に残っています。
−次に司法改革についてのお考えをお願いします
 会内に両論あることは承知していますが、現在後戻りはできず、司法改革をいかに実行し、実現していくかの問題だと認識しています。法科大学院、綱紀懲戒制度、弁護士任官、法曹一元の実現、国民の司法参加など多くの課題があります。特に法科大学院については、この一年で当会から教官の人選をする必要があり、そのための環境作り、支援体制を具体化しなければなりません。当会の司法改革関係委員会には多様な人材がいますので、そこでの意見を尊重していきます。
−当会からの日弁連の副会長推薦が二年に一度となりましたが、この点について
 重要な時期に当会会員が日弁連副会長になることになります。日弁連の情報、動きをいち早く当会会員に伝える事ができればと思います。今後、三年連続で副会長を出す可能性もあり、会としての対応を関係委員会で議論を深めて欲しいと思います。
−会内合意のあり方について
 以上の外にも会財政の問題、会名変更の問題など重要事項があります。これらの課題について会内合意を形成してゆく必要があります。総会での代理人投票制度も、その関係委員会での答申を尊重したいと考えています。
−県民集会開催の予定は?
 昨年度は前理事者の御尽力、また多くの会員の御協力により、今までの県民集会の流れを変えた「弁護士フェスタ」が開催され、大成功しました。今年度も開く予定です。県民や中高校生が参加できるイベント的な催しにできればと思います。
−支部問題について
 当会には四つの支部がありますが、当会の規則上の位置づけがありません。支部を会の法規上の制度にする必要があると考えております。支部で活動する会員の支部エリアの市民に対する貢献、情熱を十分認識しています。神奈川地域司法計画の実現という面でも重要なことです。
−県民、市民へメッセージがあれば
 一部に不祥事を起こす弁護士がいますが、それにより弁護士、弁護士会に対する市民の信頼が傷ついているのは残念です。大半の会員は弁護士倫理に則り仕事をしています。当会では研修を充実させ、万一不祥事があった場合には迅速公平に処理することで市民への信頼維持に努めたいと思います。
−最後に会員に対して一言
 会員各位には会務に関心を持ち、総会にも是非出席して欲しいと思います。また、若い期の会員との意志疎通を図るため、理事者との懇談会を年六回位は開きたいと考えています。当会の会務について多くの会員の御意見をお聞かせいただければと思っています。
(聞き手 

平成14年度 新理事者就任披露懇親会
 四月一日午後五時三〇分より、ホテルニューグランド三階「ペリー来航の間」において、当会新理事者就任披露懇親会が開催された。
 披露に先立って、昨年度の理事者を代表して小島前副会長が、日弁連副会長に就任したため到着が遅れていた須須木前会長の退任挨拶を代読した。
 続いて、新理事者が登壇し、代表して池田会長より挨拶があった。会長は、市民による司法、市民のための司法という基本理念に則って会運営をしていくとの決意を、熱い口調で語った。
 次に、仁田陸郎横浜地方裁判所長、神奈川県知事代理林英樹副知事、横浜市長代理宇野公博市民局長、小澤良明小田原市長より祝辞をいただいた。特に小田原市長は、会長が小田原支部より初めての会長で、中学時代からの朋友ということもあり、わざわざ小田原からの来臨であった。
 次いで三谷紘横浜地方検察庁検事正の乾杯の音頭で懇親会に入った。本年は来賓二九名を含め約一九〇名と例年以上の参加者があり、大盛況の中、幕を閉じた。
 なお、他の来賓は以下のとおりである(順不同・敬称略)。
横浜家庭裁判所少年部総括
 八田秀夫
横浜民事調停協会連合会会長
 村瀬統一
横浜家事調停協会連合会会長
 伊藤正一
神奈川県県民部部長
 小林 勲
神奈川県広報県民課長
 小野間重雄
横浜市市民局広報相談部長
 中上 直
神奈川県警察本部本部長
 栗本英雄
神奈川県司法書士会会長
 佃 一男
東京地方税理士会会長
 狩野七郎
神奈川県土地家屋調査士会会長
 横山一夫
神奈川県社会保険労務士会会長
 大山昭久
社団法人神奈川県不動産鑑定士協会会長
 飯田行雄
株式会社テレビ神奈川取締役
 大谷 寛
日本労働組合総連合会神奈川県連合会会長
 金子正昭
神奈川県労働組合総連合議長
 高橋勝也
横浜国立大学大学院国際社会科学研究科国際経済法学研究系系委員長
 森川俊孝
横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授
 來生 新
神奈川大学法学部長
 矢口俊昭
横浜商工会議所専務理事
 齋藤史郎
神奈川県行政書士会会長
 吉村明博
社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会かながわ権利擁護相談センター所長
 亀田 長
横浜検察審査協会会長
 川野和子
神奈川県人権擁護委員連合会会長
 織田村佳之
社団法人神奈川県社会福祉士会会長
 高島さち子

山ゆり
 毎年この頃になると通勤の電車内の密度に変化が生じる。新着のスーツ特有の香りが電車内にほのかに漂う。巷は一見して社会人一年生と思われる人々で溢れている。それぞれ期待と不安を抱いており、社会人としては右も左も分からない状態であろう
 国会では現在議員の辞職問題が盛んに取り上げられている。疑惑追及の急先鋒であった国会議員が自らの疑惑を追及され、一転して辞職に追い込まれた。その国会議員が疑惑発覚後に出演したテレビ番組の中で、当選した当時は右も左も分からない状態であったと述べているのを聞いた
 疑惑を追及されている国会議員の中にも選挙で当選して晴れて国会議員になった際には、崇高な理想等を抱いて国会の赤いジュータンを踏んで初登庁した者もいるのであろう。それが年数を経る内に次第に鈍磨し、当初抱いていた崇高な理想等は薄れていってしまうのであろうか
 「初心忘れるべからず」との諺がある。翻って自らのことに目を転ずればこの四月で弁護士になって満四年になる。自分の場合、法曹を目指すにあたり崇高な理想と呼べるものなどなかったが、受験生の時には例年この頃は択一試験まで一カ月足らずということでひたすら過去問を解いたり、朝早くから模試を受けていたような気がする
 当時の友人で未だに法曹になることを夢見て受験している者が何人かいる。偶然に彼らに会う機会があるが、そのひたむきな姿勢に接した時などには忘れかけていた受験時代のことをふと思い出すことがある
 現在は慌ただしい毎日を過ごしているが何とか初心は忘れずにやっていきたいものである。
(大和田 治樹)

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