横浜弁護士会新聞

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2003年7月号(3)

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支部便り 川崎支部 56期司法修習生支部研修実施 −恒例の川崎競馬場見学も−
 川崎支部では五月二〇日に五六期四班一三名の司法修習生が参加して支部修習が行われました。当日は、(1)三庁の支部長による支部の実情説明と見学、(2)法律事務所見学、(3)川崎競馬場見学、(4)支部会員との懇親会というスケジュールで行われました。
 まず、矢村宏裁判所支部長、渋谷勇治検察庁支部長からそれぞれ興味深いお話を伺い、庁舎内を見せていただきました。法律事務所見学では、横溝法律事務所と川崎合同法律事務所を二班に別れて見学してもらい説明を受けました。
 任官者を除き五六期四班は全員が東京の法律事務所に就職が内定しているとのことでしたが、今後の修習生の就職先として是非川崎も視野に入れてもらいたいと思います。
 恒例の(今回で四回目)競馬場見学では、詳細な説明を受け施設見学をさせていただいた後で、馬券を購入しての競馬観戦をしました。このような観戦は単なる見学では味わえない得難い経験であり、毎回(特に馬券が当たった人には)大変に好評です。
 その後、川崎随一の料亭「大沼」での懇親会には川崎支部会員多数が参加し、赤ワインが出たスナックの二次会ではカラオケで大いに盛り上がり、本年も大成功の支部修習でした。
(川崎支部長 高柳馨)

理事者室だより 総会過ぎれば楽になる?
副会長 小長井 雅晴
 六月に入り、理事者になって二か月が経過した。最初の一か月は要領も良く分からず、次から次に来る仕事をこなして行くことに精一杯であった。私の場合は主に司法改革関係と、会内人事・行政関係人事を担当していたので、大変であった。
 特に人事関係は、年度代わりによる行政関係の人事推薦案件が増加する時期にもかかわらず、当会の理事者交代時期と重なって人事案件が溜まり、その処理が多忙を極めた。当会には、数年前から人事委員会が設けられ、人事の推薦案件は、すべて人事委員会で討議される。支部の案件であれば支部の意見を聞く必要がある。そして同委員会に諮るには、担当副会長が人事関係資料を作成しなければならず、その事務作業が思いのほか苦労であった。まず、毎週月曜日にある理事者会の議を経て、同委員会にかけられ、同委員会を通った案件は、毎月一回開かれる常議員会で承認を受けることになる。その議題として上程するために、改めて提出用資料を作成する必要がある。人事は事務作業に追われ通しというのが偽らざる実感である。
 次に、司法制度改革であるが、昨年ロースクール関連法案が成立し、来年四月から開講することになった。各大学は文部科学省へ設置許可申請を準備中であり、同締切り期限が今年の六月末とされた。横浜弁護士会は、神奈川県下の大学のうち協力要請のあった横浜国立大学、神奈川大学、関東学院大学を協力支援している。当会では法科大学院特別検討委員会を設置し、その教材作り、実務家教官の派遣、講義内容(シラバス)の策定等を行っている。実務教育の中にエクスターンシップという実地教育があり、開校に際して当会が三大学に対し協力を表明すれば十分と考えていたところ、四月の中旬になって突如、文部科学省は協力事務所のリストを許可申請の際に提出することを求めてきた。仮に一大学六〇名の学生と考えると三大学で一八〇名もの受け入れ態勢を急遽整える必要があり、そのリスト提出が遅れ設置申請が不許可となれば当会の責任は重大である。候補者の選定方法を巡り議論は百出したが、同委員会で候補者を選定し、要請、受諾、委嘱の手続きを取ることにした。
 副会長の仕事は外にも多々あり、五月の総会が終了すれば楽になると聞いていたが、終了後も忙しさは全く変わっていない。少々バテ気味である。

子どもの日記念事業 「弁護士と話そう」 「教育基本法改正問題」
 五月一七日に開催された子どもの日記念事業は一般向けと子ども向けとの二部構成で企画された。子ども向け企画は「弁護士と話そう」と題し、子ども達の素朴な質問に対して回答し、また逆に子ども達の意見を聞きながら議論を深めていくというものであった。そして、当日には高校生六名の参加があり、弁護士八名と共に歓談した。参加した高校生が通う高校には法律の授業があり、重要なテーマを選択して学んでいるとのことで、その質問からは高い問題意識がうかがわれた。
 その質問は「なんで弁護士になったのか」という質問から始まり、「なぜ犯罪者を弁護するのか」「死刑制度は廃止すべきか」「黙秘権は不要ではないか」「裁判所は一週間程度で迅速に終えた方が良いのではないか」と、議論や説明を要するテーマにも及んだ。
 そのような質問については「仮に死刑制度を廃止するとして、遺族の被害感情や国民の処罰感情を満足させられるような他の制度が考えられるのか」「仮に黙秘権を保障しないのなら裁判でどのような不都合が生じるのか」等、多様な観点から論じ、議論は約二時間半にも及んだ。参加者の意欲的かつ率直な意見に触れ、今後の若者の活躍に大いに期待を抱かせるものであった。
 他方、一般向け企画は「学校教育の現状と未来・教育基本法『改正』問題をふまえて」と題し、二弁の中川明弁護士と公立中学校教諭の境光春氏を招き、教育現場からみた教育基本法改正の問題点について講演していただいた。
 現在、学校教育の現場では先にでた中間答申を先取りするような現象がおきているという。答申から見えてくる「改正」は教育における憲法といわれている教育基本法を大きく変貌させる危険があるという。
 教育の機会均等の原則がなし崩しにされ、エリート教育を重視し、配慮との美名の下に弱者が切り捨てられようとしている現状が浮き彫りになり教育現場の生の声を聞く貴重な機会となった。
(井上泰会員・榎本進一郎会員)

お詫びと訂正
 六月号一面「法科大学院」記事中、二段八行目「今年中には」の部分は「今月(平成一五年六月)中には各大学から文科省にLSの設置申請手続が開始」の誤りでしたので、お詫びして訂正いたします。

常議員会レポート第4回 平成15年6月17日
 第1号〜第3号議案については、人事案件であり提案通り承認された。
〈第4号議案、緊急議案〉
入会申込者5件については、すべて異議なく承認された。
〈第5号議案〉
平成15年度人権賞選考外部委員選任の件
 候補者3名が承認された。
〈第6号議案〉
人権救済申立事件勧告に関する社会福祉法人同愛会からの再協議申し入れに対する当会の回答の件
 当会として再協議はしないこと、同委会からの申し入れに対して書面にて回答をすることが承認された。
〈第7号議案〉
川崎支部「裁判員ドラマ」上映会についての川崎市に対する後援依頼の件
 川崎支部における裁判員ドラマ上映会について、川崎市より後援名義使用を承認する回答があり、これを確認した。
〈第8号議案〉
箱根町との法律相談業務委託契約締結の件
 箱根町が実施する無料法律相談事業に、当会から弁護士を派遣することを内容とする委託契約の締結が承認された。
〈第9号議案〉
本部市民課パート職員増員の件
 2名枠の増員を承認した。市民課事務量の増大が理由。
〈緊急議案〉
死刑の執行停止を求める法案提出に関する会長声明案が承認された。
 報告事項
1  実効性ある「ヤミ金融対策法」の制定を求める会長談話が発表されたことの報告がなされた。
2  「有事法制」3法修正法案に関する会長談話が発表されたことの報告がなされた。
3  「家庭裁判所の増築等についての要望及び質問書」に対する家庭裁判所からの回答書が届いたことの報告がなされた。
4  山登健二会員の弁護士資格喪失に当たっての談話が6月4日付で発表されたことの報告がなされた。特に、会長からは懲戒手続が遅れた原因を検証し、しかるべき対策を立てていきたいとの報告がなされた。
5  当会事務局職員夏季賞与支給の報告がなされた。
(副議長 岡部光平)
常議員からズバリひとこと
 常議員会は、弁護士会が直面する重要問題のほとんどにつき審議し、議決する機関であろう。じゃあ、常議員となった身はどうしたらよいか。資料をよく読んで、よく考え、全回出席すべきだろう。ところが、これがはなはだ難しい。既に一回欠席し、出席したときも資料をよく読めずに臨んだ。そんなとき、ある先輩曰く。語弊はあるが、気楽に、気楽に。なるほど。そして、今は、不謹慎にも、この先輩の言葉に従っている。 
(四〇期 望月 孝礼)

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