横浜弁護士会新聞

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2003年7月号(4)

 
見るのとするのは大違い−模擬裁判を振り返って− 第56期司法修習生 松田美和
 五月七日から一二日までの日程で行われた模擬裁判に、私は検察官チームの一員として参加しました。そこで、私の目から見た模擬裁判を振り返ります。
 事案は、三人で一人に対し殴る蹴るの暴行を加え、被害者に加療一〇日の傷害を負わせたというものです。争点は、被告人が暴行の実行行為を行ったか否か。そして、共犯者との間に共謀があったかどうか。被告人は否認しており、明確な目撃証言もありませんでした。ただ、被害者は、三方向から同時に攻撃された感覚を有していたので、被害者の供述を軸に立証することにしました。もっとも、調書はほとんど不同意にされているので、すべては公判廷での尋問にかかっていました。
 ところが、模擬裁判で最も痛感したのが尋問の難しさでした。これまでの修習で、刑事裁判はずいぶん傍聴したと思っていたのですが、見るのと自分でするのとでは大違いで、なかなか思うような証言が得られません。また、異議を出されると、流れが中断し、時間もロスしてしまうので、気が気ではありませんでした。しかし、これについては「学習」し、徐々に異議の出ない問い方になったと思います。他方、異議を「出す」タイミングも大変難しく、「これ、誤導では?異議出していいのかな?」などと逡巡しているうちにどんどん進み、後で悔しい思いをすることもありました。
 法廷での訴訟活動には大変な緊張を伴うことも、模擬裁判で実感しました。刑事手続についての知識不足も痛感しました。そして、弁護人が積極的に訴訟活動をすると、検察官は大変なプレッシャーを感じるということも今回わかったことの一つです。この経験は将来本物の弁護人になったときに活かしたいと思います。
 何はともあれ、実際に「やってみる」ことがいかに重要かを学んだ模擬裁判でした。

私の修習日記
フンフンと頷きつつ
第56期司法修習生 川西 薫
 いよいよ、実務修習も第四クールです。
 私は栗田誠之先生の事務所でお世話になっています。栗田法律事務所での私の仕事は、もっぱら法律相談をしている先生の隣で『フンフン』と頷いていることです。
 相談の殆どは、実態的な事案の把握自体が困難で、また、事案を把握できても、法的な解決方法がよく分からないものばかりです。先生は、まずは法律論に拘泥せず、事件の本質を把握し、解決策としてどのような方法があるか、各方法のメリット・デメリットなどを相談者に解り易く説明します。相談者は、先生の説明を聞くまで、不安をたたえた眼差で先生や私を見つめますが、そんなとき、実は私は事態の把握すらできていないことが多く、見つめられて内心冷や冷やしています。
 しかし、修習制度をよく知らない相談者から見れば、私も『法律家』。不安げな顔はできません。そこで私は、説明する先生の横で、何もかも分かっているような顔をして、腕組みしながら『フンフン』と頷いていたのですが、これが仕事のようになってしまいました。相談の際、先生は友人や後輩の相談を聞くように話し、帰り際には相談者は幾分明るい表情になっています。そして先生は、相談が終わると必ず出口まで相談者を見送るので、私はいつも先生の背中を見ることになります。先生の背中を見る都度、私は、弁護士の業務は事件の法的解決にとどまらず、傷ついた依頼者の精神的なケアの側面があることを実感するのです。
 先生の隣に座って、ただ頷いているだけで、『修習の成果』が上がっているのかはよく分かりません。しかし他方で、鋭く事案の筋を見抜き、正しく憤る先生の隣にいて、日々何かを修得できている実感も湧いています。
 弁護修習は、早くも一か月を過ぎようとしています。事務所の雰囲気にも馴染んできた私は、今日もやっぱり先生の隣で『フンフン』と頷いているのでした。
(指導担当 栗田誠之会員)

裁判所チームに圧勝 横浜法曹テニスクラブ
 五月一八日、金沢区杉田のテニスコートにおいて、初夏の涼風が心地良い晴天の下、恒例の横浜法曹テニスクラブと裁判所選抜チームの対抗戦が行われた。
 裁判所チームは、裁判官(退官者含む)一五名のほか職員関係者七名と修習生一名の二三選手で構成。わが横浜法曹テニスクラブ会員二七名と熱戦を繰り広げた。
 一昨年は裁判所チームが圧勝して当クラブに暗雲が立ち込めたが、昨年は当クラブが僅差で勝利していた。このような近年の状況からも予想されたとおり、両チームとも、その威信を賭け、各コートで熾烈な激戦を交える白熱した展開を見せた。
 試合は各チーム一四ペアで三回戦う形式であったが人数不足の為に、裁判所チームでは四試合戦った選手もいた。熱戦の末、結果としては、行われた四二試合中、当クラブが三〇勝を獲得し、勝利した。
 試合後の懇親会は、一四名の裁判官の参加によってたいへん盛り上がり、両チームとも互いの奮闘を称え、来年の対抗戦での再戦を誓い合った。
(両角幸治会員)

島八段に勝った! 将棋同好会指導対局奮戦記
 平成一五年五月二四日(土)当会会館五階で、プロ棋士三名による指導対局が行われました。当日、ご指導いただいたのは、A級棋士である島朗八段、斎田晴子女流四段、北尾まどか女流初段の三人でした。指導を受けたメンバーは、実力ナンバーワンの松延成雄会員、さきの会長杯の優勝者沢藤達夫会員をはじめ合計一三名でした。島八段には四面(後に五面)、斎田女流四段は三面、北尾女流初段には二面の多面差しをお願いしました。
 筆者は、この指導は四回目で、島八段には二枚落ちで昨年まで五連敗でした。そこで、今年こそはと気合を入れて迷わず島八段の前にすわりました。銀多伝に組んで金をいじめるという戦法をとり、角を捨てて五筋から飛車が成り込むことができて、何とか勝てる気がしてきました。そして、対局開始から約一時間で島八段が投了しました。島八段からは、ほとんど間違いがなかったという過分なお褒めの言葉をいただき、舞い上がってしまいました。
 指導将棋の後は、プロ棋士三人にもご一緒していただき、中華街で大変おいしいお酒を飲みました。島八段から当日の参加者全員にサイン入りの著書(「将棋ノート」)をいただき、感謝、感謝の一日でした。
(小林秀俊会員)

いろいろな相談にお応えします。
横浜弁護士会総合法律相談センター
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訃報
お悔やみ申し上げます
中野國幸  会員
平成一五年六月一日ご逝去
享年七八歳
大正一三年一一月一一日生
平成七年一月二四日当会入会

編集後記
 デスク一年生です。締切までに原稿は集まらなかったらどう対処しようとなどと、いろいろ考えていましたが、全く心配無用でした。記者が優秀ですとデスクは助かります。記者一年生のころ、取材記事が単語しか残らなかった私とは大違いです。そういえば、記事の体裁をなしていない原稿の単語を拾って記事にしてくれたデスクは現委員長でした。デスクとしてどれだけのことができるかわかりませんが、読みやすい紙面を目指して編集等に携わっていきたいと思います。
デスク 渡辺 穣 一面担当 佐藤 裕 二面担当 畑中 隆爾
三面担当 早川 和孝 四面担当 浜田 薫

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