横浜弁護士会新聞

back

2003年8月号(1)

next
座談会 3室室長に聞く
 当会には、調査室、財務室および事務局運営室がありますが、それらの存在、活動等について「よく知らない」という会員もあるかと思います。そこで、この度これら三室の活動状況等を広く知っていただけるよう各室長にお話いただきました。

出席者  福田  護 調査室室長
 武井 共夫 財務室室長
 花村  聡 事務局運営室室長
▼本日は、お忙しいところ有り難うございます
 はじめに各室の設置時期は何時ですか
福田 調査室は平成一二年六月で一番早いと思います。
武井   財務室と事務局運営室は、平成一三年一〇月です。
▼何人のメンバーで構成されているのですか
福田 調査室は三名の室員で、そのうち一名が室長となります。
武井   人数としては適当ですか?
福田   ほぼ適当だと思います。
花村   事務局運営室は五名の室員からなり、互選で室長と副室長が選ばれます。
武井   財務室も同じ構成です。ところで、担当副会長を経験した室員とそうでない室員とでは、発言力の違い等ありますか?
花村   事務局運営室では、職員との交流という意味からも担当副会長が残るのが望ましいと思いますが、他方、労使協議がありますので、理事者経験に関わりなく労働問題に強い室員も必要としています。
福田   逆に調査室では、理事者が今は弁護士会照会手続の審査をやらないので、仮に理事者経験者が室員になっても、そうした審査については経験がないという面があります。
設置目的と仕事内容
▼次に設置目的について伺います
福田 三室とも設置目的は、それぞれの規則に定められております。
いずれも会長からの諮問に答申するのみならず、「日常的な業務」例えば調査室では法律相談センターの受任事件の審査などをこなすので、委員会ではなく「室」という構成を採っているのだと思います。
▼主なお仕事について教えて下さい
福田 調査室の場合は主に三つ挙げられます。一つめは、本会法規の制定改廃の立案、法規集の編集等法規の管理です。二つめは、弁護士法照会の審査、照会先との対応です。三つめは、法律相談センターの受任事件の審査等です。
武井   財務室では、当会の日常の予算支出の稟議、予算編成の作業、財務に関する諮問に対する答申、税務を含めて財務問題に関する検討と提言があります。
花村   事務局運営室は、定期昇給の査定、賞与査定、残業規制や業務の見直し、職員配置等検討し、また労使協議もします。懸案であった残業手当の問題は、前執行部の努力により、前年度解決にこぎつけました。
▼どのくらいの頻度で会議など開かれるのですか
福田 調査室員三名が毎日輪番で、一六時から一八時頃まで弁護士会で執務にあたります。
全員の調査室会議を月二回程度開いています。そのほか必要に応じ総会、常議員会に出席し、発言や検討を求められております。
▼かなりハードな仕事なのですね。事務局運営室はいかがですか
花村 月一回の労使協議のほか、人事考課、賞与の査定とかで月二、三回会議を開くこともあります。財務室は忙しいの?
武井   会議は、月に一、二回程度ですが、緊急の時には持ち回りで稟議することもあります。予算編成の時には特に忙しくなり、前年度の担当副会長と打ち合わせながら作成します。また答申書や意見書を出す時には、担当者が事前に起案の準備をします。
各室の課題
▼各室ではどんな点にご苦労されていますか
福田 調査室の場合は法規の制定改廃が非常に多い中で様々な意見を調整し、長期的展望に耐え得る合理的制度をどう作っていくのかが悩みの種です。
 また、弁護士法照会は、昨今、個人情報保護ということから拒否回答が多く、再回答を求めるのも難しい状況です。
武井   再回答はどのような方法で求めるのですか?
福田   まず、電話でお話して、記録に留めるためにも書面を出すこともあります。
花村   他会も同じような問題に直面しているのでしょうか?
福田   日弁連には弁護士照会制度委員会があり、この度、当会の清水規廣会員が委員長になりました。単位会としては特に委員会はなく、理事者対応が普通で、むしろ調査室のある横浜が進んでいると言えます。
武井   財務室で苦労している点は、理事者や委員会から支出の必要性、緊急性を訴えられるのに所定の手続をとらなければならないことがあります。
 例えば、ビラを作成したい、集会を開きたいなどの要請があっても、どういう趣旨で必要なのか、なぜ緊急性があるのか等書面を作成していただいてから検討します。
 緊急時には、持ち回りで決裁する体制になっております。それが、なかなか書面が上がってこない、他方、委員会等からは財務室は急いでいるのにストップをかけるうるさい存在と思われがちです。
花村   でも、もともとお目付役でそういう役回りなのだから、仕方ないよね。
 事務局運営室では、職員の査定、人事考課に頭を悩ませています。
 室員が、直接、職員の執務状況を見る訳ではない。見ようとして室員用の机を配置してありますが、なんか見張りみたいでなかなか詰めている訳にはいかないのです。
 今後、能力給を積極的に取り入れていきたいと思いますが、査定に関する評価の公平化について苦労しています。
▼各室の運営上改善が望まれることはございますか
福田 一つは、条文作りの出来る人材の育成、確保を望みます。また新しい制度作りや制度改善の検討段階で、理事者や委員会等主管部署と調査室との役割分担、協力関係を円滑化することが挙げられます。
武井   財務問題の重要性や財務室の役割を理事者や委員会、会員に理解してもらうための一層の努力が必要であると思います。財務室の中で会計担当副会長の発言が強い傾向がありました。しかし、そうでない室員にも自由に発言していただき、財務室における継続性と新しい力の導入のバランスを取り、経験をスムースに引き継げるような体制を作る必要があると思っております。
花村   すでに述べたこととも重複しますが、室員が職員の執務を理解できる環境を整えたいと思います。
各室からみた弁護士会の展望
▼最後に今後の展望についてお聞きします
福田 法規関係担当部署は今後とも必要でしょう。人材の育成、確保の方法をぜひ考える必要がありますので、ご協力をお願いしたいと思います。
 弁護士法照会の運用は、今後は楽観できない状況です。現状分析やマニュアル作りなど今の調査室体制では困難な面もあり、体制強化が必要かも知れません。
 調査室室員は有償ですが、ほかにも会員による会務の有償化が望ましい部分が有り得るので、これを進めていただくと片身が広く(?)なります。
武井   会の支出増大が予想され、新たに税務をはじめとする様々な問題が生じつつある状況から財務室の果たすべき役割は、ますます重要になると思います。
 それに応えられるだけの体制作りと会内の議論、合意形成をしていく必要があると思います。
花村   最近は正職員の採用はありません。会の財政事情からパート職員の採用で補填しております。しかし、パート職員の中には短期間で辞める方もあり、改めて新規採用者に対する指導をしなくてはならないということになります。事務の効率化、最近の事務量の増大化傾向からいって、このまま正職員を採用しないでよいのか、賃金体系と併せて今後の検討課題だと思っております。
▼有り難うございました。各室の活動等見えてきた気がしました。いずれもハードなお役目だなというのが率直な感想です
(聞き手 副会長篠崎百合子)

山ゆり
 子どもの頃、八月は巨大な白い雲がどこまでも聳える青く突き抜けた空だった。太陽が照りつけ、砂浜も海面も目を刺すほどに銀色に輝く海だった。厚く成長し切った葉が色を濃くし、重たく茂る山だった。学校から解放され、身軽になった私は、八月が用意してくれた自然の中で夢中になって遊んだものだ。子どもの上に時間は一刻一刻、個性をもって流れるのか。あの頃の八月は一枚の写真のように記憶の中に焼き付いている
 大きくなるにつれ、八月は他の月との輪郭をなくしていった。いつの間にか一年を通して同じような生活が続き、八月も「夏」に集約され、長めの連休のある暑い時期という程度の意味しか持たなくなった
 一昨年の八月、私は実務修習地だった長崎にいた。そこで、お盆の終わりに精霊流しを見た。爆竹の轟音と煙の中を思い思いに飾り立てた船が坂を駆け上がり、海に向かって運ばれていく。乗っているのは亡くなった人たちの魂だ。去年の八月には生まれて初めて自宅の前で迎え火を焚いた。なぜ、八月に死者たちが此岸に戻ってきて、また彼岸に帰っていくと考えられたのかは寡聞にして知らない
 自分の世界を支えてくれていた人々が一人ずつ去っていく。大人になるとはそういうことかも知れない。これからの八月は懐かしい人たちとの邂逅の時間として特別の意味を持つようになるのだろうか。胸を張って彼らを迎えられるよう、一日一日を誠実に生きたい。 イラスト
(三川真由美)

▲ページTOPへ
戻る
内容一覧へ